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なぜ、インテルは自動運転に注力するのか? インテル 執行役員 Automotive担当 大野誠氏が解説
調査レポートも公表
2018年4月18日 11:43
- 2018年4月17日 開催
インテルは4月17日、本社内で「自動運転社会に向けた課題と取り組み」と題した説明会を開催。インテル 執行役員 Automotive担当 大野誠氏が、その詳細を解説するとともに、英国の経済情報機関であるザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU) エディター ソートリーダーシップ 近藤奈香氏が自動運転が日本の自動車大手に与えるインパクトに関した調査レポートを発表した。
なぜ、インテルは自動運転に注力するのか?
大野氏は、「インテルは今年で設立50周年。PCのカンパニーからデータカンパニーへ」と、インテルの方向性が変わりつつあることを紹介。今後については、自動運転、5G、AI、VR&ARの4つの分野に注力しているとし、なぜインテルが自動運転に力を入れていくのかについて語った。
今後の自動運転車を見た場合、自動運転車は1日4TBのデータを生み出していくという。この4TBのデータを処理するには、高速な処理性能や遅延の小さい通信環境が必要とし、インテルであればクルマ、ネットワーク、クラウドデータセンターでのエンドtoエンドでのスケーラブルなプラットフォームを提供できるという。
この数年インテルは、車載事業分野への取り組みを強化しており、FPGAのAlteraや自動車メーカーへの採用が進んでいるMobileyeをグループ化。開発者向けのSDKも用意し、開発者が容易に開発できるような環境を整えているという。
インテルでは、2017年に「インテルガレージ」という自動運転ラボを開設。BMWとの協業のほか、デルファイやFCAと協業し、自動運転車の開発を進めているとのことだ。
このようにインテルが積極的に自動運転分野への投資&開発を続ける背景には、自動運転によってもたらされる社会的、経済的価値が大きいことが挙げられるという。世界では年間125万人以上が亡くなっており、その半分以上がヒューマンエラーによるものとされている。自動運転車によって、58万5000人以上の人が助かり、交通事故が減ることで社会的コストを削減。乗客が自動車を所有しないことによる利益を勘案すると、7兆ドル(1ドル100円換算で700兆円)という経済高価になるという。
その自動運転を実現していく上で、インテルとMobileyeの組み合わせは最良の組み合わせであるとし、最高レベルの顧客体験を提供していくとした。
オリンピックのオッズ-自動運転が日本の自動車大手に与えるインパクトとは
EIU エディター ソートリーダーシップ 近藤奈香氏は、インテルから委託を受けて調査したという「オリンピックのオッズ-自動運転が日本の自動車大手に与えるインパクトとは」というホワイトペーパーを紹介。
現在は、馬車から自動車に変わる時点のようなものとし、過去にあった、雇用の問題、安全の問題などの試行錯誤を軽く紹介。日本では自動運転の担い手としては、自動車会社が信頼されている結果が出ているとし、76%の人が伝統的自動車会社が自動運転技術の担い手であるべきだという結果は、各国に比べて高率であるとした。
ただ、この部分については、どのような母集団を対象にどのような調査をしたかという部分についての記載がないことに質問があり、それについては、後ほど回答するとのことだ。
この時期自動運転に関することとしては、Uberによる自動運転実験時の死亡事故についてがある。この部分については、Mobileye CEOであるアムノン・シャシュア氏の見解が示された。これはインテルが3月26日に「Experience Counts, Particularly in Safety-Critical Areas. - Now Is the Time for Substantive Conversations about Safety for Autonomous Vehicles」として発表したもので、Mobileye独自の画像解析と今後の安全性に関する議論を呼びかけるものとなっている。
Uberの事故により、より慎重な自動運転開発が求められており、そういった意味でも自動運転開発にはより高い開発力が要求されるようになる。すでに多くの自動車メーカーに採用されているMobileyeをはじめ、インテルの持つ豊富な開発ソリューションは、そうした自動運転時代の主要な選択肢であることを示すものだろう。