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【MOVIN'ON 2018】世界サミット開催の狙いを仏ミシュラン 次期エグゼクティブ イヴ・シャポー氏に聞く

2018年5月30日~6月1日(現地時間) 開催

日本メディアのインタビューに応えた仏ミシュラングループのマネージングパートナーのイヴ・シャポー氏

 仏ミシュランは、カナダ モントリオールで持続可能なモビリティの発展に関する世界サミット「MOVIN'ON 2018」(現地時間:5月30日~6月1日)を開催した。

 3日間の日程で開催された「MOVIN'ON 2018」は、ミシュランが主催する世界サミット。グローバルで持続的かつ多様なモビリティ実現に向けて、民間、政財界や国際機関など官民の枠を越えて、COP21、脱炭素化、緑化ビジネスなどさまざまなテーマを設定してセッションが展開された。5月31日に開催された会議では、日本から環境省 参与 梶原成元氏も参加し、水素を利用したFCV(燃料電池車)の普及に取り組む日本の状況を報告。そのほかにもさまざまなテーマの会議が設定されていた。

仏ミシュランCEOのジャン=ドミニク・スナール氏とモントリオール市長 ヴァレリー・プラント氏も登壇したオープニングセレモニー
環境省 参与 梶原成元氏が登壇したセッション
代替エネルギーに関するセッションでは、日産ノースアメリカ社長のDenis Le Vot氏やアウディのPeter F. Tropschuh氏らも登壇した

 イベントはステージに登壇したキーマンの議論や報告を聞くセッションが中心となったほか、会場にはテスラ、BMW、本田技研工業、日産自動車、カルマなどのEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッドカー)の試乗コーナー、協賛企業やスタートアップ企業の出展もあり、多くの来場者があった。

 2019年6月4日~6日に再びモントリオールで開催されることが決定したMOVIN'ON。ミシュランがどのような狙いでこの世界サミットを開催したのか? 2019年に次期CEOのフロラン・メネゴー氏とともに次期エグゼクティブに就任予定となっている仏ミシュラン マネージングパートナーのイヴ・シャポー氏が、日本メディアの質問に答えた。

2018年5月18日にミシュラングループのマネージングパートナーに就任したイヴ・シャポー氏。2019年に次期エグゼクティブに就任予定

――ミシュランがMOVIN'ONに取り組む理由を教えてください。

シャポー氏:MOVIN'ONは、20年前の1998年に始まった「チャレンジビバンダム」のコンセプトを引き継いでいます。2005年には日本でも開催し、皇族の方にもいらしていただきました。チャレンジビバンダムの時代はミシュランのイベントという色が強かったのですが、ジャン=ドミニク・スナールがCEOに就任したときに、“1つの企業で収まる問題ではない”と、より大きなコンセプトとしてサミットを立ち上げることになりました。今では自動車メーカーやサービスプロバイダー、NGO、政府の方々が重要な役割を果たしています。

――モントリオールで開催する理由というのは?

シャポー氏:モントリオールはエコシステムがうまく機能している都市だと感じます。多くの研究機関があり、政府機関のサポートもあり、企業が集まっています。また、C40(世界大都市気候先導グループ)に参加しており、より安全で効率的な生活を提供することをコミットメントしている都市であることから、モントリーオールで開催することになりました。

――タイヤメーカーのミシュランが考えるサスティナブル・モビリティとは?

シャポー氏:モビリティへの貢献はミシュランのDNAで、われわれは将来のモビリティの発展のために多くの研究・開発リソースを投入しています。ミシュランがタイヤのサスティナブルモビリティとして考えているのは主に3つで、安全性、耐久性、省エネルギー性。新品の時に高い性能を発揮するのは当然で、その後に走行を重ねていっても性能が変わらないタイヤの製造を目指しています。

――2017年に3Dプリンターを使用してトレッドパターンを再生するコンセプトタイヤ「MICHELIN VISIONARY CONCEPT」の発表がありました。

シャポー氏:3Dプリンターを使用したコンセプトタイヤは、ミシュランが思い描くモビリティの未来の一部です。そのコンセプトや技術は、少しずつ現在のタイヤにも取り入れ、進化を進めています。

――2017年にMOVIN'ONは初開催されましたが、どのような成果がありましたか?

シャポー氏:サミット自体も多くの人に集まっていただき成功に終わりました。その後もヨーロッパでオープンラボが開催されたり、北米でも企業のコラボレーティブワークが実施され、より安全で効率的かつ環境にやさしいモビリティのアイデアの交換が継続しました。オープンイノベーションは、1つのプレイヤーや技術ではなしえません。これからも、継続的な「場の提供」が重要かと思います。

――将来的にここでの取り組みの成果が、モントリオールの都市に実装されることも期待されます。また、このMOVIN'ONをどのように発展させていきたいと考えていますか?

シャポー氏:開催地はモントリオールですが、この取り組みが各国で花開くことがわれわれの目的です。今年も欧州、タイ、南アフリカなど世界中から人が集まっています。その人たちが何かを持ち帰り世界に伝播することを期待しています。MOVIN'ONの将来については、その時代のトピックや社会の動きがあるので一概には言えませんが、ミシュランとして1つ決めているのは、製品とサービスを越えて、社会に対してより安全でよりクリーンでより効率的なソリューションを出し続けていくということです。これはタイヤメーカーの使命として、ずっと考えていきたいと思っています。

電動化されたボートやカートを体験することもできる
自動運転関連の技術出展もあった
ピックアップトラック用の電動ユニットの出展
バッテリーの交換が可能なEVバス
屋内で展開されるセッションや出展、展示物の様子
日産自動車、BMW、テスラなどの電動化車両に試乗できるコーナー
2019年6月4日~6日に再びモントリオールでMOVIN'ONが開催されることが決定した