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ジェイテクトグループの宇都宮機器、ニードルローラーベアリングの新生産拠点「清原工場」開所式
開発から生産まで一貫したモノづくり体制を宇都宮に構築
2018年8月22日 00:00
- 2018年8月21日 開催
ジェイテクトグループの宇都宮機器は8月21日、NRB(ニードルローラーベアリング)生産の新拠点として、栃木県宇都宮市に「宇都宮機器 清原工場」を設置。同日開所式を開催した。
ジェイテクトの100%子会社となる宇都宮機器では、自動車のプラネタリーギヤやマニュアルトランスミッションに使用されるラジアルタイプのNRB、ATやコンプレッサーに使用されるスラストタイプのNRBを生産している。
新しく建設された宇都宮機器の清原工場では、これまで宇都宮機器の本社工場と第二工場で生産していたラジアルタイプのNRBを移管集約して生産。一方、本社工場ではスラストタイプのNRBの生産に注力し、2拠点での効率的な生産により現在の売上高78億1000万円(2018年3月期)から、2020年度の売上高100億円を目指すとしている。
同日、報道陣に工場内が公開された。新工場の内部は空調機器により温度管理がされていて、室内照明のほかトップライトを採用して自然光が入るなど明るい空間となっているのが印象的。生産ラインの中にフォークリフトを入れないなど安全にも配慮したという。
ジェイテクトの売上3割を支える軸受事業
開所式で挨拶をしたジェイテクト 専務取締役 宮﨑博之氏は「ジェイテクトは4つの事業で成り立っており、軸受事業、クルマのステアリングシステム、駆動部品、工作機械。この4つの事業を中心にモノづくりをしている会社です。事業規模は売上高は約1兆4000億円で、グローバル連結で従業員は5万人近くまで増えています。その中で軸受事業の売上は約4000億円で全体の3割弱。棚軸受、ころ軸受、ニードル軸受を生産しており、この清原新工場はニードル軸受の新たな生産拠点となり、グローバルで展開する軸受の最新工場」と新工場を紹介。
続けて、「ニードル軸受の用途としては、自動車のトランスミッション、エンジン、それ以外にも幅広く使われており、われわれとしてはまだまだ拡大できる軸受と考えています。宇都宮の地に新しい工場を作り、本社工場も含めてグローバルな拠点になるように再構築することを考えております。研究開発をしてしっかり作り込んだ技術をグローバルに展開することで、ますます軸受事業やジェイテクトが拡大していくよう今後も努力してまいりたい。さらには栃木県、宇都宮市の発展に貢献していきたい」と意気込みを話した。
宇都宮機器 代表取締役社長 荒木恵司氏は「ジェイテクトとの連携を強化して、ニードルローラー軸受の生産拠点として発展していきたい。2020年度には、現在の80億円の売上を100億円に拡大する計画です。新工場は安全と環境に配慮した建築設計とレイアウトにしており、一例として生産ラインにフォークリフトが入らない安全を考慮した設計としています。生産体制はラジアルタイプのニードルローラー軸受の生産工場として整備していき、今後の受注拡大に向けてさらに効率のよい生産体制を構築していきます。一方、本社工場では生産設備の増強や物の流れの整流化を図り、ジェイテクトの設計、開発、実験評価といった商品開発力の強化を図っていき、高品質、低コストの製品を開発から生産まで一貫したモノづくりを実現して、さらなる発展をしていきたい」と話した。
設計・開発~試作~評価試験~量産の一貫生産体制を構築
また、ジェイテクト 常務執行役員 横田邦彦氏はジェイテクトの事業戦略について説明。現在ジェイテクトでは、ステアリング事業と駆動系部品事業を展開する「JTEKT」、軸受事業の「Koyo」、工作機械・メカトロニクス事業の「TOYODA」といった、3ブランドで4つの事業を展開していることを紹介。ジェイテクトの2017年度の売上高1兆4411億円のうち、軸受事業は4223億円と約3割を占める事業であることを示した。
軸受事業の中でもNRBについては、世界シェアでシェフラーに続く第2位、日本国内では第3位のシェアを有するという。NRB事業では世界に10か所の生産拠点を持ち、国内の生産拠点では、ジェイテクト東京工場に加えて、グループ工場として宇都宮機器と日本ニードルローラー製造の3つの生産拠点を構える。
新工場の清原工場は、将来の事業拡大の受け皿としての役割を担うとの位置付けで、今後の計画として本社工場のある雀宮地区では、清原工場へ移管したラジアルタイプの生産跡地を有効利用して、スラストタイプの整流化を図りさらなる高収益体質を構築。ニードル事業拡大の拠点として「設計・開発~試作~評価試験~量産」の一貫生産体制の構築するという。
横田氏は「清原新工場への移管により、本社工場の空いたスペースに開発拠点である評価設備、試作機能、設計開発機能を集約します。この開発部隊と一体となって製品開発を行ない、国内の売上を2020年度までに2割ほど上げたい」との意気込みを示した。