ジェイテクト、ボールスプライン付推進軸がJR四国の新型車両「2700系」に採用

JR四国（四国旅客鉄道）の2700系特急形気動車

　ジェイテクトは2月26日、同社のボールスプライン付推進軸がJR四国（四国旅客鉄道）の2700系特急形気動車に採用されたと発表した。

　2700系はJR四国が予讃線、土讃線、高徳線で使用している2000系特急形気動車の老朽化に伴い新しく投入した特急形気動車。2000系と同様に制御付振子システムとジェイテクトのボールスプライン付推進軸が採用されている。

2700系駆動系概略図

制御付振子システム

　制御付振子システムは、山間部などカーブが多い区間での最高運転速度アップと乗り心地を両立させるため、カーブによる遠心力を緩和する方向に車体を空気シリンダで傾斜させる機構で、制御付振子システム採用により2700系の車両最高運転速度は130km/hを達成する。

ボールスプライン

ボールスプライン付推進軸

　ボールスプライン付推進軸はエンジン側の変速機と動軸側の減速機をつなぐ部品で、制御付振子システムが作動すると推進軸も伸縮するため、ボールスプライン付推進軸では雄スプラインと雌スプラインの間に複数列のボールを配置。ボールの転がりによりスライド抵抗を大幅に低減しているので、振子作用を妨げることなく車両の性能を十分に発揮することが可能になるとしている。

一般的なスプライン（雄スプラインにナイロンコーティングあり）。一般的なスプラインでは雄スプラインと雌スプラインの間にすべりが生じるため、スプライン部のスライド抵抗が大きくスムーズな振子作用の妨げになるという

トルク負荷時のスプラインスライド抵抗

　同社ボールスプライン付推進軸の実績としては、1990年の2000系量産開始以降、他のJRおよび第3セクターの制御式振子気動車にも採用されており、30年近い実績を有してる。また、大型観光バスや路線バス用ノンステップ低床バスにもエンジン振動吸収による乗り心地向上を目的としてボールスプライン付推進軸が採用されている。

バス用ボールスプライン付推進軸

ノンステップ低床バス