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TomTom、技術ブリーフィング開催。リアルタイムの地図作成などで次世代モビリティに貢献

日本でのサポート体制を強化

2018年10月10日 開催

「次世代モビリティのプラットフォームを実現する革新的なデジタル地図」と題する講演を行なった、TomTom 本社取締役会メンバーのアラン・デ・タイエ氏

 オランダを拠点に地図・位置情報サービスを展開するTomTom Internaionalは10月10日、デジタル地図およびリアルタイムマップやナビゲーションの最先端テクノロジーに関する技術ブリーフィングを都内で開催した。

 同社は1991年設立のカーナビゲーションデバイスなどを提供してきた企業で、現在は交通情報サービスや、自動運転向けのHDマップ(高精度3次元地図)の作成などに取り組むとともに、企業や政府機関、交通管理機関などに向けて位置情報ビッグデータの提供なども行なっている。

 この日はTomTom 本社取締役会メンバーのアラン・デ・タイエ氏が登壇し、「次世代モビリティのプラットフォームを実現する革新的なデジタル地図」と題して講演を行なった。タイエ氏は、都内を無数の自動車が行き交う様子を表したデジタル地図を紹介し、現在このようなデータは世界中の都市で収集することが可能で、TomTomは過去10年にわたってこのようなデータを収集してきたと語った。その数は、累積の匿名データポイントが19兆で、1日あたりの匿名データポイントの件数は約215億にも上るという。

 このようなビッグデータを収集しているのは、継続的に更新される自動車用のマップを作成するためであり、地図作りの多くの工程は自動化され、AIや機械学習、ディープラーニングなどの技術を用いて作成されている。

 同社の地図作りにおけるコアテクノロジーは、CPP(コンテンツプロダクションプラットフォーム)と呼ばれる技術であり、それぞれの情報をトランザクションごとに処理することが可能で、各トランザクションが非常に高い品質を持っていることが特徴という。道路などに起きた変化をすばやく捉えて1つのトランザクションとして処理を行ない、その変化はすぐに地図に反映されて自動車に伝えられるという仕組みになっている。

 このシステムは拡張することが可能で、膨大な変化の情報も十分に処理する力を持っており、1時間あたり200万件以上の地図情報を更新できる。同社が提供するアプリでは、地図は1週間に1回更新されるが、必要であれば日々更新することも可能で、場合によっては1時間ごとに更新することも可能という。

 さらに、自動車からセンサー情報をクラウド(CPP)に情報を送り(ローダグラム)、反映した地図情報や交通情報などを自動車に再配信する(オートストリーム)ことを繰り返す「クローズド・ループ」を行なうことにより、従来型の交通情報と自動車のセンサー情報を組み合わせることが可能となる。

「クローズド・ループ」の仕組み

 自動運転の時代に求められるHDマップは精度約10cmと、通常のナビゲーションシステムで使われるマップよりもさらに高精度であり、それは常に更新されなければならない。このHDマップについてもTomTomは業界をリードしており、現在HDマップのカバーエリアは40万km以上にも上る。今後もさらにクローズド・ループなどの技術を活用してカバーエリアを拡張していく方針だ。

HDマップのカバーエリアを拡大中

 タイエ氏は最後に、「この技術についてTomTomは世界に先駆けて取り組み、リアルタイムの地図情報や交通情報として提供できる状態になっています」と語った。

 このほか、同社オートモーティブ・マネージングディレクターのアントワン・ソシエ氏による「クローズド・ループ」の技術解説や、バイスプレジデント トラフィック&トラベル・インフォメーションのラルフピーター・シェイファー氏による交通情報サービスに関する発表も行なわれた。

セールスバイスプレジデント兼日本代表の山田茂晴氏

 最後に、セールスバイスプレジデント兼日本代表の山田茂晴氏が登壇。山田氏によると、欧州ではすでにプローブを利用した各種サービスが登場しており、公共インフラと融合することでコストを削減しながら正確でタイムリーな交通情報を提供しているという。また、自動運転の分野では、リアルタイムマップとリアルタイムトラフィックを融合させて、渋滞最後尾を検知してクルマの制御をするといった新しい機能が実現している。

 TomTomでは今後、このような技術を積極的に日本の顧客へ紹介していく方針であり、そのために現在、日本でのサポート体制を強化している。「われわれの特徴はリアルタイムマップであり、リアルタイムトラフィックです。これらの技術が今後開花していく次世代モビリティに大きく貢献できると信じています。企業や政府の皆さんにこのような新しい技術を取り入れていただき、それを使って新たなモビリティサービスを開発していただきたいと願っています」と語った。