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初代王者 川畑真人選手が「連覇を狙ってます!」と宣言した「FIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ 2018」PRイベント開催

初代優勝マシンの「GT-R」が1000馬力の咆吼を披露

2018年10月16日 開催

FIA IDCの初代王者である川畑真人選手とチャンピオンカーの「Greddy 35RX Spec-D」

 東京都渋谷区のSHIBUYA109 イベントスペースで、11月3日~4日に東京 お台場特設コース(船の科学館駅前)で実施されるFIA(国際自動車連盟)公認のドリフト世界大会「FIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ 2018」の開催をアピールするPRイベントが行なわれた。

 FIA IDC(FIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ)は、2017年10月に同じく東京 お台場で第1回大会が実施された国際ドリフト競技。この大会の開催を強く推進してきたFIAのジャン・トッド会長も来日して行なわれた初の大会では、14カ国から24人の選手が集まって競技を実施。「TOYO TIRES GLION TRUST RACING」に所属する川畑真人選手が記念すべき初の王者となっている。

 PRイベントの会場となったSHIBUYA109 イベントスペースには、川畑選手が初代王者の座を獲得したチャンピオンカーで、日産自動車の「GT-R」をベースとしたドリフトマシン「Greddy 35RX Spec-D」を車両展示。この車両の前で、初代王者の川畑選手、FIA IDCの大会名誉顧問を務めている“ドリキン”土屋圭市氏、FIA IDC 2018のイメージガールとして選ばれたばかりの藤木由貴さんと小嶋みやびさんの2人、日本発のドリフト競技「D1グランプリ」のレース実況を担当している鈴木学氏の計5人によるトークイベントが開催された。

Greddy 35RX Spec-D
ベース車両のGT-Rは4WD車だが、川畑選手のGreddy 35RX Spec-Dは後輪駆動に改造され、排気量を4.0リッターに拡大した「VR38DETT」型エンジンが発生するおよそ1000馬力をリア2輪のみで路面に伝える
ボディはホワイトをベースに、トーヨータイヤのイメージカラー「TOYOブルー」でカラーリングされている
装着タイヤはトーヨータイヤ「プロクセス R888RD」
FIA IDCの大会名誉顧問を務める“ドリキン”こと土屋圭市氏
10月13日にFIA IDC 2018 イメージガールに就任したばかりの小嶋みやびさんと藤木由貴さん(黒い上着が小嶋さん、白い上着が藤木さん)
「D1グランプリ」のレース実況でおなじみの鈴木学氏(右)が司会を務めてトークイベントを実施

川畑選手が「連覇を狙ってます!」と宣言

トークショーで川畑選手が、大会の連覇について「もちろん狙ってます!」とコメント

 トークショーでは土屋氏と鈴木氏が掛け合いのように話ながら「ドリフトとは」「FIA IDCとは」といった大会の基礎情報を集まった観衆に解説。

 この中で、2017年10月に初開催されたFIA IDCで日本人選手の川畑選手が優勝を飾ったことに触れ、土屋氏は「(ドリフトは)日本発祥のモータースポーツなんでね、1回、2回、3回ぐらいは日本人選手に勝ってもらわないとかっこつかないかなって思いますね」とコメント。これについて鈴木氏が「第2回大会での連覇は?」と問いかけたところ、川畑選手は「もちろん狙ってます! でも、現実としてそうとう厳しいかとも思います(笑)。そんなに甘くはないですよ」「(2連覇して)またFIAの表彰式に行きたいんですよ。ベルサイユ宮殿でやってるんです。他の選手に渡したくない、渡しちゃいけないですね」と答え、初回大会に参戦して肌で感じた海外勢を含むライバル選手たちのレベルの高さを紹介しつつ、2回目の大会でも優勝を目指していることを力強く語った。

 また、土屋氏は自身がドリフトを積極的に披露することになったきっかけについて「僕が(ドリフトを)やってたのもレース中ですからね。レースに勝つためにドリフトをしてて、そうしたらお客さんが喜んでくれたんで『これは面白いな』と」と紹介。これが発展してドリフト競技のD1グランプリが誕生したエピソードを明かした。

土屋氏は11月に行なわれるFIA IDCの第2回大会について、コースがテクニカルなので、マシンのパワーよりも選手の腕が問われるコース設定になっていると紹介

 また、大会で使われるドリフトマシンについて、土屋氏が現役だった当時と比べると現在はエンジンパワーも大幅に上がり、タイヤのグリップ力も以前のレーシングタイヤ並みに向上しているといったことが紹介され、この理由について土屋氏は「今はお客さんの目が肥えてきて、『(ドリフトをしていると)なんだ、こんなに遅いのかよ』って時代が終わって『ドリフトでもこんなに速いんだ』という時代に入っていますよ」と解説した。

 そんな話の流れから、鈴木氏が「そんなマシンの進化、外観からは分かりにくいかもしれません。川畑さん、これ(Greddy 35RX Spec-D)動くんですよね? エンジンかけられます?」と提案。当初は予定になかったという、チャンピオンカーのエンジンサウンドが披露されることになった。

Greddy 35RX Spec-Dのエンジンサウンド(48秒)
イベント当日はGreddy 35RX Spec-DがSHIBUYA109 イベントスペースに展示されたほか、2台のドリフトマシンを載せたローダーが都内を巡り、11月の大会をアピール
展示車やトークショーなどをスマートフォンなどで撮影し、ソーシャルメディアに「#TOKYO DRIFT」を付けて投稿した人に、「IDCオリジナルステッカー」「D1ストラップ」がプレゼントされた
エナジードリンク「モンスターエナジー」の配布イベントも行なわれた。用意されたのは日本限定の「キューバリブレ」

FIA IDC 2018ではレギュレーションを一部変更

FIA IDCを主催する株式会社サンプロス 代表取締役 齋田功氏

 PRイベントの終了後、場所を移して報道関係者向けにFIA IDC 2018の開催概要を説明する記者発表会が行なわれた。

 最初に、FIA IDCを主催するサンプロス 代表取締役 齋田功氏が登壇し、2017年に第1回大会が開催されるまで歩んできたFIA IDCの歴史と立ち位置、今後進めていく方向性、11月3日~4日に開催される第2回大会の開催概要などを紹介した。

FIAはボール1つで始められるサッカーがすそ野の広い競技で、ワールドカップの開催など世界的に高い人気を誇っているように、ドリフトでモータースポーツのすそ野を広げ、競技人口を拡大していきたいと考えているという
6月にフィリピン マニラで行なわれたFIAの会合で、2020年までにFIA IDCの「リージョナルシリーズ」を開催するなど、将来に向けた具体的なプランが定められた
20以上あるFIAのコミッションの1つとして、2019年に「ドリフトコミッション」が設立される
将来的な国際レース化に向け、地域ごとのリージョナルシリーズを開催していく
ドリフトがまだ競技として確立されていない地域の自動車連盟に、開催ノウハウなどをパッケージ化した「ドリフトツールボックス」を提供
2017年10月に行なわれた第1回大会の振り返り
「FIA インターコンチネンタルドリフティングカップ」ディレクターズカット映像(4分54秒)

 FIA IDC 2018は、初日の11月3日にFIA IDCの練習走行と、日本のドリフト国内シリーズとなるD1グランプリのシリーズ最終戦(第8戦)を実施。翌11月4日に、D1グランプリで「単走」と呼ばれ、FIA IDCでは「SOLO RUN」の表記となる1台ずつの走行を実施。ここでの上位16台がD1グランプリで「追走」と呼ばれ、FIA IDCでは「BATTLE RUN」の表記となる2台での勝ち抜き戦に進出。ここで最後まで勝ち残った選手が優勝となる。

 2回目となるFIA IDC 2018では、レギュレーションを一部変更。開催初回はD1グランプリに準拠して機械計測をメインとした審査が行なわれていたが、今後は世界的に発展させていくことを見据え、「コスト面の制約で機械計測を導入できない国でも競技が行なえるようにしたい」というFIAによる要請から、人間の審判員と機械計測でバランスよくジャッジを行なうスタイルに変更された。また、コースレイアウトについても、初回開催では参加選手の備える技量が把握しきれなかったため、あまり高い速度が出ないようなレイアウトが採用されていた。しかし、実際には各選手によって高度なドリフト走行が披露されたことから、今回はスタートしてからの加速区間を約190mまで拡大。さらに迫力あるドリフト走行によって競われる大会になることが想定されている。

第2回大会となるFIA IDC 2018の開催概要
1台で走る「SOLO RUN」は機械計測と審査員のジャッジの合計点で争われ、2台で走る「BATTLE RUN」は3人の審判員による多数決で勝者が決まる
FIA IDC 2018のコースレイアウト。第1回大会よりもスタートから加速するストレート区間が長く、さらに迫力ある大会になる予定
FIA IDC 2018の協賛企業
「集中力を切らすことなく日本代表として頑張って走りたい」とFIA IDC 2018に向けて意気込みを語る川畑選手

 続いて、第1回大会に実際に参加して優勝を果たした川畑選手から大会の振り返りが語られ、それまでドリフト競技に打ち込んでD1グランプリで3回のシーズンチャンピオンを獲得してきた自分にとっても、FIA IDCは競技人生に大きく影響を与える大会になると感じ、絶対に勝つんだという強い思いを持って競技に臨んだとコメント。出場する他の国の選手はどんな走りをするのか分からず、とくに初日は何もかも手探りという状態で進んでいったが、マシンコンディションも好調だったことから慎重に走って初日優勝を獲得。2日目は各選手が要領をつかんで競技内容のレベルが上がり、きわどい勝負になることもありつつ、決勝戦に進出した時点で自身の優勝が確定していることを把握していたという。そこで決勝戦では、自分にできる全力の走りを披露でき、満足できる大会になったと当時を振り返った。

 また、優勝直後はそれほど実感が沸かなかったが、後日に開催されたFIAの年間表彰式に招かれ、ベルサイユ宮殿を舞台にした華やかな場で歓びを実感したとコメント。今回も勝利を目指して行くと語りつつ、他の選手たちも高い実力を備えていることを前回大会で実感しているため、自身にアドバンテージがあるとは思っていないと語り、集中力を切らすことなく日本代表として頑張って走りたいと意気込みを語った。

「日本とロシアにトップドライバーが多い」と語る土屋氏

 FIA IDCの大会名誉顧問である土屋氏は「ドリフトはクルマが滑る、フィギュアスケートをクルマでしているようなものです。そこで『追走』というバトルが繰り広げられ、見ていて五感や魂に訴えかけるような走りをどちらがしているかで競う、それがドリフトの魅力だと思います。ドリフトが始まったのは、1985年に僕がレースで勝つためにドリフト走行をするようになって、それをお客さんが喜んでくれた。そこから、齋田さんとはそれまでにもドリフトのイベントを行なっていましたが、かなり上手くなってきた参加者たちを見て『これを全日本選手権にしてみよう』と2000年に始めました。それからの18年間で、世界の40か国以上でイベントが開催されるようになっています」。

「中でも日本とロシアにトップドライバーが多く、それは研究熱心なところ(が理由)だと思います。アメリカやヨーロッパにも選手は多いですが、日本やロシアほど細かい勉強や工夫をして、何をどうしたらいいかという細かいところまで考えている国の選手は、今のところは他にないですね。ドリフトを楽しんでいるんです。ですから、まだ2~3年は日本とロシアの選手がトップを取っていくだろうなと考えています」。

「ただ、このイベントが何年も続くようになれば、その先は世界から日本やロシアをやっつけるような選手が増えてくると思います。そういった意味でも(ドリフトは)日本のお家芸ですから、2000年にD1グランプリを作ってここまで育ててきて、まだ2~3年はこのIDCで日本人に活躍してもらいたい、トップグループには日本人が必ず入っているといった状態を目指してやっていきたい。今年も14か国からトップドライバーが来ます。彼らも第1回目の大会で日本やロシアの選手の走りを研究していると思います。そういった意味でも、今年はさらにレベルの高い走りが追走でも見られるんじゃないかと考えています。今年行なわれる2回目のIDCでは、皆さんにもレベルの高い追走を見ていただければわれわれも非常に嬉しいです」とコメントした。