ニュース
【JAF鈴鹿グランプリ 2018】SF最終戦、山本尚貴選手が優勝してチャンピオン獲得
最終ラップでチャンピオン争いが決着、0.65秒差で逃げ切り
2018年10月28日 16:20
- 2018年10月26日~28日 開催
三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された「2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 最終戦 第17回JAF鈴鹿グランプリ」で10月28日、スーパーフォーミュラの決勝レースが行なわれ、山本尚貴選手(16号車 TEAM MUGEN SF14)が優勝、自身2度目のスーパーフォーミュラチャンピオンを獲得した。
今回のレースは、5人のドライバーにタイトルを獲得する権利があり、うち3人は自力での獲得が可能という状況でのレースとなった。
後半、ニック・キャシディ選手(3号車 ORIENTALBIO KONDO SF14)が猛烈に追い上げてチャンピオン争いは緊迫したが、最後は0.65秒差で逃げ切って山本尚貴選手(16号車 TEAM MUGEN SF14)が優勝。自身2度目のスーパーフォーミュラチャンピオンを獲得した。
スタートを決めた山本尚貴選手がレースの前半を支配、石浦選手は早々にチャンピオン争いから脱落
レース前のグリッドウォークに、山本尚貴選手(16号車 TEAM MUGEN SF14)はやや遅れて登場した。テレビのレポーターがマイクを向けるものの、すべての言葉は短めで、聞いてくれるなというオーラを放っているように見えた。それが緊張していると取るのか、それとも気合いが入っていると取るのかは取る側次第だが、いずれにせよいつもよりもその度合いは大きいように見えた。
だが、いったんスタートして見れば、山本選手は抜群のスタートを切り、すぐに2位以下を大きく引き離していった。むしろ1コーナーでは2位からスタートした山下健太選手(4号車 ORIENTALBIO KONDO SF14)、3位からスタートした中嶋一貴選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM’S SF14)がそれぞれインとアウトで1コーナーに絡み合ったまま入っていったが、2コーナーまでに中嶋選手が引き、結局予選の順位のまま何も混乱なくスタートが切られた。
山本選手とチャンピオンを争うニック・キャシディ選手(3号車 ORIENTALBIO KONDO SF14)は温まりがわるいミディアムタイヤを付けていたこともあり1周目になかなか温めることができず、2周目の1コーナーで後ろを走る塚越広大選手(17号車 REAL SF14)に抜かれて5位に落ちることになった。
チャンピオンを争うもう1人の石浦宏明選手(1号車 JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14)はスタートで1つ順位を上げて10位、その後9位まで上がったところでいち早くピットイン。他車が交換していない間にタイムを縮める作戦にでたが、それを見て、チーム無限は反応し、山本選手のチームメイト福住仁嶺選手(15号車 TEAM MUGEN SF14)をピットインさせ、石浦選手の前に送り出すことに成功。これで、石浦選手が山本選手においつく可能性はほぼなくなるという状況になってしまった。
ソフトからミディアムタイヤに乗り換えたキャシディ選手が怒濤の追い上げを行なうが届かず、山本選手が優勝して戴冠
その後、3位を走っていた中嶋一貴選手が14周目にピットインすると、レースは1位山本選手、2位山下選手、3位キャシディ選手という展開になった。山本選手は2位のキャシディ選手まで10秒以上の差を付けていた。
そしてその2位の山下選手は18周目にピットストップすると、その翌周にトップの山本選手がピットイン。これで、ピットインした中ではトップを走っていた山下選手の前に出て、ピットインした中ではトップを維持したままコースに戻る。これにより、仮にセーフティカーがでても、安全な状態になり、あとはこれで暫定トップに立ったキャシディ選手との見えない戦いが繰り広げられるようになった。この時点でキャシディ選手との差は30秒、ピットインにはロスタイムとピット作業を含めて40~50秒程度かかるため、計算上は山本選手が10~20秒程度前に行っている状況だ。
その後、山本選手は1分43秒台後半、キャシディ選手は1分43秒台前半で周回しており、キャシディ選手が徐々に見えない差を詰めている状況になった。山本選手はピットを終えているため燃料が重く、キャシディ選手よりも不利な状況になっていた。29周目にキャシディ選手がタイヤ交換、給油のピットストップを終え、これでピットストップをした中では山本選手につぐ2位でコースに戻った。キャシディ選手はミディアムタイヤでスタートしたため、ソフトタイヤに交換。それに対して山本選手はミディアムタイヤに交換してかつ使い込んでタイヤなので、コース上の戦闘力ではキャシディ選手に軍配があがりそうな状況に変わっていった。
32周目には平川亮選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)がメインストレートでバーストし、スピンしながら1コーナーのイン側に停止した。これでセーフティカーであると思われたが、平川車は安全なところに停止したと判断されそのままレースは続行。その直後に全車のピットストップが終わり、トップが山本選手、2位はキャシディ選手というチャンピオン争いをしている2人が1-2となった。チャンピオンシップの行方はコース上で見たままとなり、2人によるチャンピオン争いがコース上で繰り広げれることになった。
徐々にキャシディ選手が差を縮めてきて、残り5周の段階で差は約2.8秒。キャシディ選手が毎周0.6秒程度縮めてきており、計算上は最終ラップ近くで追いつきそうな状況。残り4周で約2.2秒、残り3周で約1.9秒、残り2周で約1.2秒と1周1周縮まってきており、レースはクライマックスへ向かい、サーキットは息が詰まる緊張感に包まれることになった。
最終ラップに突入した段階で差はなんと0.8秒、ヘアピンやシケインでキャシディ選手が山本選手のテールに張り付くものの、山本選手は隙を見せることはなく、最後シケインでキャシディ選手が立ち上がりでスライドして遅れると勝負あり。そのまま山本選手がチェッカーを受け、チャンピオン争いでも1ポイント差で王座獲得となった。
2位はキャシディ選手、3位は山下選手、4位は国本雄資選手(2号車 JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14)、5位中嶋選手、6位塚越選手、7位松下信治選手(6号車 DOCOMO DANDELION M6Y SF14)、8位関口雄飛選手(19号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)となった。
スーパーフォーミュラ決勝結果表
順位 | カーナンバー | ドライバー | 車両名 | 周回数 |
---|---|---|---|---|
1 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM MUGEN SF14 | 43 |
2 | 3 | ニック・キャシディ | ORIENTALBIO KONDO SF14 | 43 |
3 | 4 | 山下 健太 | ORIENTALBIO KONDO SF14 | 43 |
4 | 2 | 国本 雄資 | JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14 | 43 |
5 | 36 | 中嶋 一貴 | VANTELIN KOWA TOM’S SF14 | 43 |
6 | 17 | 塚越 広大 | REAL SF14 | 43 |
7 | 6 | 松下 信治 | DOCOMO DANDELION M6Y SF14 | 43 |
8 | 19 | 関口 雄飛 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 | 43 |
9 | 5 | 野尻 智紀 | DOCOMO DANDELION M5S SF14 | 43 |
10 | 50 | 千代 勝正 | B-Max Racing SF14 | 43 |
11 | 1 | 石浦 宏明 | JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14 | 43 |
12 | 15 | 福住 仁嶺 | TEAM MUGEN SF14 | 43 |
13 | 18 | 小林 可夢偉 | KCMG Elyse SF14 | 43 |
14 | 8 | 大嶋 和也 | UOMO SUNOCO SF14 | 43 |
15 | 7 | トム・ディルマン | UOMO SUNOCO SF14 | 43 |
16 | 65 | 伊沢 拓也 | TCS NAKAJIMA RACING SF14 | 43 |
17 | 64 | ナレイン・カーティケヤン | TCS NAKAJIMA RACING SF14 | 43 |
R | 37 | ジェームス・ロシター | VANTELIN KOWA TOM’S SF14 | 33 |
R | 20 | 平川 亮 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 | 32 |