ニュース

英マクラーレン、計1050PSで最高速403km/hの“3人乗り”ハイパーGT「Speedtail」

価格は175万ポンド(税別)で106台の予約販売は完了

2018年10月26日(現地時間)発表

175万ポンド(税別)~

マクラーレン「Speedtail」(税別157万ポンド)

 英マクラーレン・オートモーティブは10月26日(現地時間)、アルティメットシリーズの最新モデル「Speedtail」を発表した。価格は175万ポンド(税別)からで、限定生産する106台の予約販売はすでに完売状態となっている。

「マクラーレン市販車史上初の“Hyper-GT”であり究極のロードカー」と位置付けられたSpeedtailは、マクラーレンの象徴的モデル「マクラーレン F1 ロードカー」にインスパイアされた中央配置のドライバーズシートを備え、後方両サイドに2つのパッセンジャーシートを持つ3人乗り。これにより、独自のカーボン・ファイバー製モノケージ構造を採用した全長5.2mのボディは、エアロダイナミクスを最適化したティアドロップ型のデザインを採用し、「最もエアロドラッグを低減させたマクラーレン・ロードカー」となっている。

中央配置のドライバーズシートなどにより、エアロダイナミクスを最適化したティアドロップ型のデザインを採用
McLaren Speedtail(1分10秒)
Speedtail

 計1050PSを発生するガソリンエンジンとエレクトリックハイブリッド・パワートレーンを搭載し、全ボディパネルをカーボン・ファイバー製にしているほか、アルミニウム製のアクティブ・サスペンション、カーボン・セラミック製ブレーキの採用など車体全体で軽量化が推し進められ、乾燥重量は1430kgを達成。

 Speedtail用に開発された「ヴェロシティ・モード」を選択することで、ハイブリッド・パワートレーンが最適化され、「アクティブ・リア・エルロン」の角度を調整。格納式の「デジタル・リアビュー・カメラ」で空気抵抗を減らし、「ヴェロシティ・アクティブ・シャシー・コントロール」がロードクリアランスを35mm下げ車高を1120mmまで抑えるなどにより、最高速はマクラーレン F1 ロードカーを上まわる403km/h(250mph)を実現。また、0-300km/h加速は12.8秒となり、直線加速でマクラーレン・ロードカーの新たなベンチマークになっているという。

 空気抵抗を減らしてドラッグを低減するイノベーションの1つとして導入された軽量カーボン・ファイバー製の「スタティック・エアロカバー」は、前輪の20インチ、10スポークの鍛造アロイホイールに組み込まれ、ホイールが回転しても位置が固定されてフラットな面を保ち、走行時に車体表面で発生するエアの流れを車体に密着させ、ディヘドラル・ドアの先端にあるドアブレード方向にガイドするようになっている。

ティアドロップ型でエアロダイナミクスを最適化したボディ形状に加え、前輪に軽量カーボン・ファイバー製の「スタティック・エアロカバー」を設定
車体後方にある特許技術の「アクティブ・リア・エルロン」は、デザインの一貫性を保ちつつ、エアロドラッグを最小限に抑制
従来のドアミラーの代わりとなる格納式の「デジタル・リアビュー・カメラ」。小型の高解像度デジタルカメラを使うことでエアフローへの影響を最小限に抑制し、「ヴェロシティ・モード」を選択した場合はカメラがドア内部に格納される
ドライバーズシートを中央配置するSpeedtailのインテリア

 ドライバーズシートが中央に配置されるSpeedtailではバランスのいい視界が確保され、ステアリングの前には高解像度ディスプレイとタッチスクリーンがダッシュボード全面に展開されるコントロール・システムを用意。既存モデルにあるようなボタンやスイッチ類がほぼすべてが取り除かれ、エンジンのスタートや「アクティブ・ダイナミクス・パネル」の起動、ヴェロシティ・モードの選択、ウィンドウとドアの開閉制御などの操作は、ドライバーのヘッドアップパネルで行なわれる。

 さらにインテリアでは、スイスの時計ブランド「リシャール・ミル」とのコラボレーションで、先駆的な時計製造法を活用する新素材「シンプライ・テクノロジー・カーボンファイバー」を自動車業界で世界初採用。オーバーヘッドコンソールやパドルシフト、ステアリングホイールの加飾パネルなどに組み込まれたシンプライ・テクノロジー・カーボンファイバーは、無数の極薄カーボン層を45度の角度で並べており、厚さはわずか30ミクロン。表面を引き延ばすと水流のように層状になったきらきらと光る構造が現われるという。

インパネの両サイドにデジタル・リアビュー・カメラのモニターをレイアウト
ドライバーズシートはダーク・グレイシャーの全面アニリン仕上げとクール・ホワイトの軽量セミ・アニリン仕上げのレザーで構成
オーバーヘッドコンソールなどに新素材「シンプライ・テクノロジー・カーボンファイバー」を採用

 新型モデルであるSpeedtailについて、マクラーレン・オートモーティブ アルティメットシリーズ・ビークルライン担当ディレクター アンディー・パーマー氏は「マクラーレンのマシンの頂点に立つアルティメットシリーズであるマクラーレン Speedtailは、テクノロジーの限界を引き上げています。マクラーレン セナと同じように、マクラーレン Speedtailも極限のエアロダイナミクス・テクノロジーと重量削減を実現しています。しかしマクラーレン Speedtailは、空力抵抗の低減、息を呑むような加速、そして極限のスピードを追求しながら、デザインの洗練さと重量削減を新たなレベルに引き上げることにありました」とコメント。

 また、マクラーレン・オートモーティブ デザイン・ディレクター ロブ・メルヴィル氏は「マクラーレン Speedtailが類を見ないクルマである理由は、他車の追随を許さない、視覚的な見事さや、極限のスピード、優れたエアロダイナミクスを備えているからだけでなく、テクニカルなラグジュアリーさや、ビスポーク・カスタマイゼーションの基準をかつてなかったレベルまで引き上げたからです。物理的なパフォーマンスの限界を押し上げるための、マクラーレンの無限のイノベーションとクリエイティビティが、先駆的なデザインと最高水準の素材品質で裏打ちされたこの上なく見事なインテリアを作り上げるという挑戦に挑む原動力となりました」とSpeedtailについて表現している。