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JEITA、2030年には自動運転車は700万台以上。会長会見
CASEのデバイス試乗は13.3兆円に
2018年12月20日 00:00
- 2018年12月18日 開催
電子情報技術産業協会(JEITA)は12月18日、「2030年における電子制御装置(ECU)およびCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)からみた注目デバイスの世界生産額見通し」を発表した。
2030年には自動運転車は700万台以上に達し、環境対応車の生産台数は約9000万台へと大きく増加するとともに、電子制御装置の世界生産額は、2030年には2017年比で約2倍に成長。CASEに必要とされるデバイス市場は、13兆3000億円の市場規模へと大幅に成長すると予測した。
同日に会見を行なった同協会の柵山正樹会長(三菱電機取締役会長)は、「ビッグデータの利活用、人工知能やネットワークなどの技術の進展によりIoTの時代が本格的に到来し、モビリティの分野においても『CASE 1』と呼ばれる大きな革命が進行しつつある。なかでもクルマは、機械分野のみならずIT・エレクトロニクス分野も巻き込み、業界の垣根を越えた変革が動き出している。この潮流はますます加速していくものと推測される」と前置きし、「今回の調査は、クルマの進化を支える電子制御装置(ECU)と、CASEからみた注目デバイスの世界生産を定量的に把握することを目的にしている。その前提として、自動運転車や環境対応車といった新しいタイプのクルマが2030年までにどれほどの規模になるのかを、生産台数で予測した」と説明した。
なお、CASEは「Connected(つながる)」「Autonomous(自動運転)」「Shared&Service(シェアリング&サービス)」「Electric(電動化)」の頭文字を取ったキーワードで、モビリティ革命を表す4つのメガトレンドと位置付けられている。
今回の調査によると、レベル3以上の自動運転車の年平均成長率は65.8%増となり、2030年には713万台(レベル3車625万台、レベル4車88万台)の生産台数になると予測している。また、環境対応車の年平均成長率は20.1%増となり、2030年には8872万台に達すると予測した。そのうち、EV(電気自動車)は2030年には2003万台に達し、現在のクルマ全体の1%から拡大。全体の15%を占めることになるとの予測も発表した。
今後、日米欧ではクルマの総台数は減少傾向にあるが、環境対応車は増加すると予測。とくに中国では、政府による優遇施策がEVやPHEV(プラグインハイブリッド)、MHV(マイルドハイブリッド)の成長を牽引することになるとみている。また、レベル3以上のクルマが普及するのは2020年以降とみており、欧州では自動運転対応やMaaS(Mobility as a Service)の同時展開が進められていることを示した。
こうした自動運転車や環境対応車の高い成長率を背景に、その進化を支えるECUの市場規模は、2017年には9兆5157億円だったものが、2030年には17兆8280億円へと約1.9倍に拡大。とくに、環境対応系のECUは環境対応車の普及に伴って、年平均13.5%増で増加し、2030年には2017年の5.2倍へと大きく成長すると予測した。
ECUについては、安全系、情報系、センシング系、環境対応系、パワートレーン系、ボディ系の6つの系統に分けて算出。2030年には、ボディ系ECUは約5兆円、情報系ECUは約4兆円、安全系ECUは約4兆円、センシング系は約1兆7000億円、環境対応系は約1兆7000億円、パワートレーン系は約1兆5000億円になると予測した。
クルマ1台あたりのECU搭載金額は、2017年は9万7796円だったところ、2030年には13万6380円と約1.4倍に増加すると予測した。
また、CASEに必要となるデバイスは年平均10.8%増で成長。2017年には3兆4923億円の市場規模だったものが、2030年には13兆25250億円となり約4倍の世界生産額になるとの見通しを発表した。
とくに成長が期待できるデバイスとして、自動運転に必要とされる情報収集を担うカメラモジュールの生産数量が、2030年には2017年比で約4.8倍となる4億5458万個、省エネのカギとなり電動化に必要とされるインバータの生産数量は約5.7倍となる2257万個へと、いずれも2030年に向けて大きな成長が見込まれている。また、通信モジュールやスマートキーも2倍以上の成長を遂げることになる。
調査では、クルマを取り巻くインフラやサービスの進展も含めた「モビリティの未来像」のイメージも提示。「環境問題の解決」「渋滞問題の解決」「安心・安全の実現」「豊かな生活の実現」「人口減少社会への対応」という観点から、クルマの進化だけでなく、クルマを取り巻くインフラや新たなサービスとの連動、クルマ以外の移動手段と組み合わせたMaaSの実現により、各種課題を解決した未来像を示している。
ここでは、環境対応車の普及や効率的な走行により、省エネや排ガス削減が進むこと、空飛ぶクルマの実現による渋滞緩和、自動運転によるトラックなどの運転手不足の解決や無人宅配サービスの実現、AIコンシェルジュによる気分に合わせた車内環境の実現などが提供されるとしている。
JEITAでは、今回の調査結果をベースとして、IT・エレクトロニクス産業としてモビリティ分野の新たな価値創造につなげるために、国や各種機関、会員各社と連携して、さまざまな施策に取り組んでいくとしている。
なお、今回の調査結果はJEITAが12月に発行した「注目分野に関する動向調査2018」に詳細をまとめている。「車の進化を支える電装機器」「CASEからみた注目デバイス」「モビリティの未来像」の3つの項目で構成。A4判8ページで、頒布価格はJEITA会員が2160円、JEITA会員外が3240円となっている。