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ブリヂストン 2018年度決算発表会。売上高0.2%増の3兆6501億1100万円、純利益1.2%増の2916億4200万円で増収増益
2019年2月15日 22:16
- 2019年2月15日 開催
ブリヂストンは2月15日、2018年12月期(2018年1月1日~12月31日)の決算を発表。同日に都内で決算内容について解説する決算説明会を開催し、合わせてブリヂストン 代表執行役 CEO 兼 取締役会長の津谷正明氏がブリヂストンにおける経営の基本的な考え方についてプレゼンテーションを行なった。
2018年度の連結業績は、売上高が前年比0.2%増の3兆6501億1100万円、営業利益が同3.9%減の4027億3200万円、経常利益が同4.9%減の3811億3200万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.2%増の2916億4200万円となった。
決算内容の解説はブリヂストン 執行役員 CFO・財務担当 菱沼直樹氏から行なわれた。菱沼氏は2018年度の連結業績について、事業別のタイヤ部門において、新興国通貨が下落し、中南米の為替レートの影響を受けたが、18インチ以上の高インチタイヤ、建設・鉱山車両用タイヤといった高付加価値タイヤの販売増で2%の増益を実現。多角化部門においてはソリューション事業を軸とした事業再構築を進めており、このため一時的な費用が発生して営業利益が72%減となっていると説明。このほか、純利益では2018年7月に米グッドイヤーとの合弁で設立した新会社「TireHub(タイヤハブ)」の設立に伴って発生した特別利益、投資有価証券の売却益などを計上して1.2%増の増益になっていることを紹介した。
続けて2019年12月期(2019年1月1日~12月31日)の業績予想では、売上高を前年比1%増の3兆6900億円、営業利益を同2%増の4100億円、経常利益を同5%増の4000億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同3%増の3000億円と増収増益している。
最後に菱沼氏は、引き続き建設・鉱山車両用タイヤや18インチ以上の高インチタイヤなどの継続的な伸長に加え、適切な価格ポジションの維持、製品ミックスの改善、コスト削減施策などを着実に実施して、業績計画の達成を目指していくと総括した。
トム トム テレマティクスの買収を足がかりに「断トツのソリューション」を作る
津谷氏によるプレゼンテーションでは、2019年1月1日付けで行なわれた江藤彰洋氏を新社長とする現経営体制で、さらなる体制刷新を2月16日から順次進め、グローバルで事業を行なう同社の経営をチームで進めていく新しい組織体制について最初に紹介。
同社では会社全体での役職に加え、担当する事業分野や所在地ごとにCEO、COOを設定して役割分担を明確化し、「Global EXCO」(グローバル経営執行会議)と呼ばれる社内組織のメンバー12人が全体の情報共有を行ない、戦略の方向を決定している。
この組織体制についても模索を続けている段階と津谷氏は明かし、どんな形が最もよいのか実験途上であるとした。また、あまり役割分担を固く規定してしまうと機能しなくなるとして、グローバルでさまざまな部署が連携し、グローバルの事業体としての一体感をどのように作り上げていくかについても改善を続けていくと津谷氏は語った。
また、津谷氏は2017中期経営計画について継続して取り組んでいると述べ、新たな取り組みの代表例として、1月に発表したトム トム テレマティクスの買収によるデジタルフリートソリューション事業について紹介した。
トム トム テレマティクスは欧州トップのフリートマネージメント会社であり、地続きでトラックドライバーが国境を越え、異なる言語を話す人々のところに荷物を運ぶ機会のある欧州の地理的要因から、個人事業主も多いトラックドライバーをサポートしている。このトム トム テレマティクスが持つテレマティクスを利用した効率のいい配車の仕組みと、同社のタイヤやメンテナンスサービスなどを融合させ、サービス品質のさらなる向上につなげていくという。
今後はトム トム テレマティクスの買収によるデジタルフリートソリューション事業をさらに広げ、注目を集めているMaaS(Mobility as a Service)の分野から入手できる情報を自社のタイヤ開発サイクルに取り込んでいくほか、メンテナンスサービスなどついてもさらなる改善と進化を続けていき、サービス網を活用して「断トツのソリューション」を作り上げるとのコンセプトを示した。
説明会の後半に行なわれた質疑応答では、決算発表内で述べられた米国市場での販売取りこぼしについて解説が求められ、これにブリヂストン 代表執行役 COO 兼 社長の江藤彰洋氏が対応。江藤氏は「これは一昨年ぐらいからのことで、米国でSUVなどの補修用タイヤ市場で完全には需要増加を取り切れていない部分があるということです。そこには2つ要素があって、1つは新車用タイヤの需要が非常に旺盛で、ここはやはり将来のビジネスの種になる部分なので、これはしっかりと取っていかなければならない。そこに優先的に製品を供給していったということ。それから生産能力の増強を始めたのですが、実際のタイヤ生産にきちんと貢献するまでに時間が掛かったということがございます。これが2018年までその傾向が続いていたのですが、今年に関しては継続的に生産の改善をしてきていますし、手応えを感じています」。
「それから、幸いなことにと言うのか、2019年の北米での乗用車用タイヤは新車用の需要が少し落ち込んでいるので、その部分から補修用もしっかりと販売にまわして需要を獲得できると計画に盛り込んでおりますし、自信も持っていると申し上げられます」と回答した。
また、米国と中国の貿易摩擦による世界的な経済減速についての受け止めでは、津谷氏が「アメリカはいろいろあっても結構強いんです。今、一番よく分からなくなっているのは欧州ですよね。ブレグジットとかもよく分からなくて、どのように進展していくのか。そしてそれがどう影響してくるのか。そこが一番読めないところだと思っています」とコメントした。