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ラディ クール ジャパン、クルマへの応用も可能な「Radi-Cool放射冷却技術」発表会
エネルギーを使わずに物体を冷却できる
2019年6月12日 05:00
- 2019年6月11日 開催
ラディ クール ジャパンは6月11日、同社の設立記者発表会を東京會舘(東京都千代田区丸の内)で開催した。
2月に設立されたばかりのラディ クール ジャパンは、カルビーの会長やRIZAPグループ取締役を務めた経験のある松本晃 代表取締役会長 CEOが立ち上げた会社。エネルギーを使わずに物体を冷却できる製品をシンガポール、マレーシア、中国などで販売開始しており、日本での展開を視野に入れていることから今回発表会を開催した。
同社が展開する製品は、「Radi-Cool放射冷却技術」を用いているのが特徴になる。これは熱を大気の窓領域(大気の影響を受けにくい領域)の8~13μm波長の赤外線に集約して、低温の宇宙(-270℃)へ放射するというもので、放射自体にエネルギーを使わず物体の表面温度を下げられるという。
この技術を反射フィルムやスチール屋根板材などに用いることで、日光を反射させつつ物体の放射冷却を行なえるようになる。2019年中にはテントやヘルメットなどに使える塗料の販売を予定するとともに、現在は多色塗料や防錆・防腐食塗料、自動車用塗料などの開発を進めているとのこと。
同社の実験結果も公開しており、クルマのルーフにフィルムを貼って車体の表面温度を計測したところ、未施工の場合は41.2℃、施工した場合は18.5℃(最高外気温は15℃)だったという。また、Radi-Cool放射冷却技術を用いた塗料を使ったクルマの車内温度を計測したところ、無塗装では47.5℃、塗装済みでは28℃(外気温は22℃)だったという結果を明らかにしている。
発表会では松本CEOとともに、取締役でRadi-Cool放射冷却製品開発担当者の楊栄貴氏が製品のプレゼンテーションを実施。
楊氏はRadi-Cool放射冷却技術の概要について、「地球というのは-270℃という広大な宇宙の中に存在します。そして、5500℃の太陽が地球に対して絶えずエネルギーを提供しているわけですが、それが300nm~3μmの可視光線と近赤外線になります。地球は宇宙に対して赤外線を放射することによって、人類が生きることができる地球の温度を保つことができるのです。地球が放射冷却の効果を得るためには、太陽光をしっかりと反射させていく必要があり、同時に絶えず宇宙に対して赤外線を放射していく必要があります。そして、8~13μmの波長というものは大気からの障害を受けることがありません。この8~13μmという波長によって、Radi-Coolのフィルムの表面を触ったときにひんやりとした感覚が出てくるのです」と解説。
また、「私たちのフィルムの中には多くの小さなガラス玉が入っており、このフィルムは太陽光に対して96%の反射率を有しています。8~13μmという大気の窓を持って、宇宙に対して絶えず赤外線のエネルギーを放出し続けるのです。Radi-Coolの製品ですが、太陽の下に置いたとき、だいたい大気温度と比較して7.5℃ほど低くなります。仮にRadi-Coolのフィルムを家に40m 2 分貼ったとしたら、それは1台の空調設備に相当します」と述べるとともに、「反射材、断熱材との比較も行ない、Radi-Coolのフィルムを貼ったものだけが大気の温度と比較して10℃ほど低くなった結果が出ています」とアピールを行なった。
なお、日本での展開としては国内の繊維メーカーとのコラボレーションも検討しているとのことで、松本氏から一例として夏場の高校野球、2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップ2019日本大会の観戦時に活用できるポンチョなどの開発に意欲を見せていた。
【お詫びと訂正】記事初出時、松本晃氏の経歴表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。