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マクラーレン、“究極のラグジュアリーカー”新型「マクラーレン GT」発表会

「ライトウェイトなグランドツアラーとして常識を塗り替えたモデル」と正本代表

2019年6月20日 開催

2645万円(消費税10%)

新型「マクラーレン GT」の発表会を開催

 マクラーレンオートモーティブ日本は6月20日、グランドツアラーの特性とスーパーカーの俊敏性を併せ持った新型「マクラーレン GT」を、都内で開催された発表会でお披露目した。マクラーレン GTの日本での価格は2645万円(消費税10%)で、納車は10月以降を予定する。

 マクラーレン GTは、同社の「スポーツシリーズ」「スーパーシリーズ」「アルティメットシリーズ」に加わる第4のシリーズという位置付け。ボディサイズは4683×2095×1213mm(全長×全幅×全高)。「モノセルII-T」モノコック(Tはツーリングの意味)と呼ばれるシャシーを採用したカーボンファイバー製ボディの重量は1530kgで、競合モデルより200kg以上軽量だという。エンジンマウントも専用のものとした結果、車内騒音は最小化され、カーボンファイバー構造から発生する低周波音も抑制されて、マクラーレン史上最も洗練度の高いマシンになったという。

 パワートレーンについて、マクラーレン GT専用に設計されたV型8気筒4.0リッター「M840TE」型ツインターボエンジンはキャビン後方に搭載され、最高出力620PS/7500rpm、最大トルク630Nm/5500-6500rpmを発生。3000rpmから7250rpmまで最大トルクの95%を供給でき、7速SSGトランスミッションとの組み合わせでシームレスかつ圧倒的な加速を生み出すという。そのパフォーマンス性は0-100km/h加速3.2秒、0-200km/h加速9.0秒、0-400m加速11.0秒、最高速326km/hというもの。100km/hから32m、200km/hから127mで停止するストッピングパワーも兼ね備えている。

マクラーレン GTのボディサイズは4683×2095×1213mm(全長×全幅×全高)
「モノセルII-T」モノコックと呼ばれるシャシーを採用したカーボンファイバー製ボディの重量は1530kg
マクラーレン GTのインテリア

グランドツーリングできる実用性を備えたボディ

マクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本支社代表の正本嘉宏氏

 発表会で最初に登壇したマクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本支社代表の正本嘉宏氏は、「マクラーレンオートモーティブは、ドライバーに究極のドライビング・エンゲージメントを堪能していただくため最高のプロダクトとカスタマーエクスペリエンスを提供する、いわばエンターテインメント・カンパニーです。そして本日、ジャパンプレミアを迎えたマクラーレンGTはマクラーレンの価値をグランドツーリングという新たなフィールドで結実させた最新モデルです」と説明。

 また、最近のマクラーレンの状況としては、「中・長期戦略である“トラック25”に則り、年初の『マクラーレン スピードテール』に続いて、フラグシップオープンモデルの『720S スパイダー』、軽量オープンモデルの『600LT スパイダー』をデビューさせ、世界中で5つ星を獲得、日本でも高い評価を得ています。また、3月のジュネーブモータショーでは、レーシングモデルの『720S GT3』、マクラーレン史上最速のハイパーGTであるマクラーレン スピードテール、トラック専用の『マクラーレン セナ GTR』の最終プロダクションモデルを披露。日本でのビジネスも順調で、グローバルマーケットでUS(米国)、UK(英国)に続いて3位のポジションをキープし、今年度の販売台数は前年比で64%増。5月には国内累計登録台数が1000台を超えました。また、マクラーレン・オートモーティブは2011年の『12C』以来9年間で、スポーツカーメーカーのゲームチェンジャーの役割を果たすことができました」と報告した。加えて「ブランド創設者であるブルース・マクラーレンのモットーである『現状に甘んじることなく、常に挑戦し続ける姿勢』を忘れず、最先端のテクノロジーを込めた1台1台をハンドメイドで送り出しています」と紹介を行なった。

中・長期戦略である“トラック25”
720S スパイダー
600LT スパイダーと720S スパイダー
720S GT3
マクラーレン スピードテール
マクラーレン セナ GTR
日本市場はグローバルマーケットでUS(米国)、UK(英国)に続く3位のポジション
5月には国内累計登録台数が1000台に

 そしてマクラーレン GTについては、「グランドツアラーとは長距離を快適に、かつ短時間で移動するためのキャラクターを持ったクルマです。ただ、長い歴史を持つGTカテゴリーはラグジュアリー志向に傾注した結果、車体は大型化し、ドライバーとの一体感が失われてきました。今回のマクラーレン GTは、こうしたGTのあり方に『New Rules(ニュー・ルール)』というヘッドラインとともに一石を投じたい、と考えて開発しました。従来のGTならではの資質とともに、抜群のパフォーマンスと俊敏なハンドリング特性を持ち、ドライバーとの一体感を高めるライトウェイトなグランドツアラーとして、常識を塗り替えた新たな価値を提供するモデルです」と説明した。その秘密は4つあり、「超軽量で革新的なマテリアルの採用」「GTならではの美しくモダンなデザイン」「マクラーレンならではのドライビングダイナミクス」「日常での使い勝手を考慮した実用性と、プレミアムなエクスクルーシビティ」であるとした。

マクラーレン GTの魅力は4点

チーフデザイナーがマクラーレン GTを解説

英マクラーレン チーフデザイナーのゴラン・オズボルト氏

 シルバーグレイの新型マクラーレン GTがアンベールされた後、登壇したのは英マクラーレン チーフデザイナーであるゴラン・オズボルト氏だ。

 オズボルト氏はまず、「マクラーレン GTは非常に特殊な使命を持ったモデルであり、高速で長距離を移動する“究極のラグジュアリーカー”です。設計理念は、流れるようなボディライン、フォーマルダイナミクス、大胆なエレガンスの3つです」と説明を開始。

「まず気がつくのはノーズ位置の高さです。特徴的なフロントのハンマーヘッド・ラインに続くティアドロップ型のキャビンは後方に長く伸び、ラジエターに導かれるサイドエアインテークと彫刻のようなリアフェンダー、ボディと一体化したリアウイング、大きなディフューザー、存在感あるエキゾーストテールパイプから構成されます。ピラーとウィンドウをガラス張りとしたことで後方視界が広がり、多くの光が差し込む明るいキャビンになりました。GT専用のマルチスポークホイールを履く全長4.7mのボディは、スポーツシリーズやスパーシリーズなどのモデルより長く、グランドツアラーらしいエレガントなシルエットを持っています」。

「最大の特徴は、後部のカーボンファイバー製リアアッパー構造に組み込まれたガラス張りの電動縦開き式リアゲートであり、その下に420Lの収納スペースを生み出した点です。エンジン高を低くし、さらにエキゾーストの取りまわしを工夫することで荷室の容量、形状、使いやすさを最適化。今までのスーパースポーツカーでは積めなかったゴルフバッグや185cmのスキー板2セットとブーツ、手荷物などを積載することができます。フロント150Lの収納スペースと合わせると、この手のモデルとしては最大級の収納容量570Lを確保しています」と解説。ここで、ステージ上の実車に実際に積まれていた、フロント2個のバッグとリアのゴルフバッグとバッグ1個を取り出して見せた。

マクラーレン GTの収納力をアピール
マクラーレン GTのリアゲート下に420Lの、フロントに150Lの収納スペースを用意

 一方、「インテリアでは長距離ドライブでも快適さを維持できるGT専用の電動式ヒーター付きシートを採用しました。パッドの量と背中のサポート材を増やすとともに、標準のナッパレザーはソフトグレインレザーかアルカンターラにアップグレードできます。2019年末ごろには、量産車で世界初の試みというカシミアもオプションに追加します。また、カーボンルーフの代わりにオプションとして選べるエレクトロクロミック・ガラスパネルルーフは、ボタンをタッチするだけでガラスの透明度を変更する仕組みになっています。車内には、ウォールナットのパネルや厚手のカーペットはありません。古いルールはやめにしました。それはマクラーレンではないからです」とした。

 さらにオズボルト氏は「革新的な工夫として、オプティマルコントロールセオリーと呼ぶソフトウェアを搭載しています。これはケンブリッッジ大学と共同で作ったもので、センサーからのインプットを通じて路面を『読み』、次に起こりそうなことを2ミリ秒で予測して適切な対応をとることができます。プロアクティブ・ダンピング・コントロールと連動して、運転するたびにその知識を進化させる能力を持っています。これにより、最悪のスピードハンプの衝撃も吸収できるようになりました」と特徴点について語った。長い前後オーバーハングを持つマクラーレン GTだが、最低地上高を110mm(リフトシステム使用時は130mm)とし、フロントのアプローチアングルは10度(リフトシステム時13度)を確保。あらゆるシチュエーションで使いやすくなっているようだ。

 最後にオズボルト氏は「マクラーレン GTは、われわれにとって新たなマイルストーンで、製品レンジをGTカテゴリーにまで広げました。これまで以上に限界を押し広げ、常識を塗り替えたいと思っています。だからグランドツアラーのための“New Rules”を作ったのです。ご賛同いただけたら幸いです」と締めくくった。

【お詫びと訂正】記事初出時に記載していた車両価格が間違っておりました。正しくは2465万円ではなく2645万円となります。お詫びして訂正させていただきます。