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【ニュル24時間 2019】STI新社長、平岡泰雄氏に聞く。ニュル24時間レースは“チャレンジ”であり、人を育てる

2019年6月20日~23日(現地時間) 開催

スバルテクニカインターナショナル株式会社 代表取締役社長 平岡泰雄氏。ニュルブルクリンク到着後、すぐに話をうかがった

 6月20日~23日(現地時間)にドイツ ニュルブルクリンクで開催される「第47回 ニュルブルクリンク 24時間レース」。初日となる6月20日20時30分(日本時間 21日3時半)から、第1回目の予選(Q1)が行なわれた。

 この予選初日、STI(スバルテクニカインターナショナル) 代表取締役社長 平岡泰雄氏に話を聞くことができたので、ここにお届けする。

 STIの新社長である平岡泰雄氏は、スバルにおいては、EJ系などのエンジン開発に携わり、現在のスバルの主力製品となっているFA/FB系エンジンには企画段階から参加。スバル技術本部 エンジン設計部 部長、戦略本部EV事業推進室 室長などスバルの開発畑を歩み、その後、設計品質などを担当。2017年にはスバルをいったん離れ、ジーテクト 執行役員 群馬工場 工場長を努めた後、2019年2月にスバルに復帰。2019年4月からSTI 代表取締役社長に就任した。スバルの中で、技術開発部門を幅広く担当してきた人物だ。

到着後すぐの難しい質問にも、丁寧に答えていただいた
スバル&STIの参戦マシン「SUBARU WRX STI」
SUBARU WRX STIのコクピットまわり

──STIの社長になられて2か月ほどとのことですが、社長に就任されて今はどのような気持ちですか?

平岡社長:エンジニアでずっとクルマの開発をしていましたので、開発の現場に戻ってこられたのが、とてもうれしいです。楽しいです。

──平岡社長は、スバルで開発をずっと担当されていたとのことですが、スバルの開発と、STIの開発で異なるところはどこになりますか?

平岡社長:STIでのレース向けにおけるエンジン開発も、市販車に搭載する量産エンジン開発も、基本的に行なっていることは同じです。STIのレース開発においても、それほど違う開発プロセスではありません。地道に開発をしています。

 ただ、狙うべきレベルはちょっと違いますが、プロセスはほとんど一緒です。そういう意味でも、古巣に戻ったなと感じています。現場に戻ったなという感覚です。私的には非常にうれしく思っています。

──社長としてのマネジメント関連はどうでしょうか?

平岡社長:STIとしての使命というのがありますので、そこをきっちり出していかなければなりません。スバルのイメージを、STIという立場で増幅していく。そこをしっかりやらなければなりません。そのためにどうリソースを配分していくか、これからしっかり考えていきます。

──ニュルブルクリンク24時間レースは、どのように位置づけられていますか?

平岡社長:ニュルブルクリンク24時間レースは“チャレンジ”という位置づけになります。それと、人を育てるという意味で、非常に需要なチャンスだと思っています。ここは大事にしていきたいです。SUPER GTも同様となります。

──2019年のニュルブルクリンク24時間レースをどう見ていますか?(平岡社長は、取材日の午後にサーキット入りしているので、到着後間もなくの質問となった)

平岡社長:ここまでの状況はさまざまな形で報告されています。これまでのセッションの調子を見ていると、昨年に比べると少し自信が持てるかなと。期待しています。

──平岡社長はスバル時代にEJ系エンジンの開発に携わっていたとのことですが、「SUBARU WRX STI」に搭載されてニュル24時間を戦っているEJ系エンジンをどう思っていますか?

平岡社長:よいエンジンだと思っています。勝ってほしいなと。やはり、ちゃんと成果を出したいなと思っています。

SUBARU WRX STIが搭載するEJ20型エンジン。ショートストロークタイプかつこれまでの開発知見のため、スバルのレーシングエンジンの代名詞となっている。FA型やFB型エンジンのほうが効率がよく現代の用件に合っているため、EJ型エンジンは市販車の搭載モデルも減る傾向にある

──2019年の「SUBARU WRX STI」では、空力改善を行なうという「サメ肌」ボディが話題となっていますが……。

平岡社長:事前に、辰己総監督からも見せてもらっていて、見栄えがするなとすごく思っています。空力的にもかなりよいということなので。(レーシングマシンでは)これからのスタンダードになっていくのかなと思っています。

──以前、辰己総監督にインタビュー時、「市販車はムリだけどサメ肌オプションならありかな」とうかがったこともあるのですが。STIでオプション設定などは考えているのでしょうか?

平岡社長:確かに量産車には、これ(サメ肌)はムリですね。

──オプションとしては?

平岡社長:ま、ありかもしれませんね。そういう意味でも、まずはきちんと成果を出す必要があります。成果を出さないとお客さまもちゃんと見てくれませんので。


 最後のサメ肌ボディについては、ややムリヤリ聞いてしまった面もあるが、「まずはきちんと成果を出す必要があります」と、勝利を求める強い気持ちを感じた。スバルとSTIは、ニュルブルクリンク24時間レースを“チャレンジ”と位置づけており、そのチャレンジの模様を楽しみにしたい。