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【ニュル24時間 2019】STI 辰己英治総監督に予選前にちょっと聞く。「雨が降るとスバルにアドバンテージがあるけど、リスクがやだな」

公式サイトには「NBR CHALLENGE 2019 スペシャルトーク」掲載

2019年6月20日~23日(現地時間) 開催

ニュルブルクリンク 24時間レースに参戦するSUBARU&STIチームの総監督 辰己英治氏

 6月20日~23日(現地時間)にドイツ ニュルブルクリンクで開催される「第47回 ニュルブルクリンク 24時間レース」。初日となる6月20日20時30分(日本時間 21日3時半)から、第1回目の予選(Q1)が行なわれた。

 そのQ1前、STI(スバルテクニカインターナショナル)の辰己英治総監督に少し話を聞くことができた。ニュル24時間レースでは、このQ1後、21日14時55分(日本時間 21日21時55分)に予選2が行なわれ、22日15時30分(日本時間 22日22時30分)に決勝が始まる、戦い前のひとときに、実際にニュルブルクリンクにマシンを持ってきて、走らせての感想を辰己総監督に聞いてみた。

予選へ向けて整備の進む「SUBARU WRX STI」。夜間の予選に備えて、ライトが増設されている
さまざまな箇所の整備が行なわれていた
各地のスバル販売店の協力
こちらにも「スバル部品用品会」の文字が見える

 辰己総監督によると、「2019年のマシンの仕上がりはよいと思う」とのこと。ただ、よい仕上がりと思いつつも、今年のニュルは走行時間中に雷雨が降ったりするなど、どのチームも真の実力を発揮する走行ができていない。STI/スバルチームも同様で、スリックタイヤで出ていったら雨が降るなどして、方向性は見えているが、真の実力はまだ見極められていないようだった。

 富士スピードウェイのインタビュー時に辰己総監督が話をしていた、(関連記事:「サメ肌は……、ゴルフボールから思いついた」。Cd値も0.05低下)スクラブ半径の変更の効果については「ぜんぜんよかった(笑)」とのこと。このスクラブ半径に問題はないが、実はセッティングを富士スピードウェイのテストから「もっとよくなるかなぁっと思って」変更した部分があり、そこはネガ(よくない方向)になっているという。そのため、予選に向けてはその部分の変更を考えているとのことだった。

「サメ肌」なのでマットな仕上がり。戦うクルマとしてのたたずまいを持つ。よく見るとミラーの上に流線型の「お魚フィン」らしきものが……。整流効果だろうか?

 雨が降ったりやんだりという気まぐれな天気のニュルブルクリンクだが、話題の「サメ肌」は、雨のときにも効果はあるのだろうか? その点について聞くと、「何が要因か分析できていないが、ストレートでのスピードが2km/h~3km/h向上している」と語る。これがサメ肌によるものかどうか分からないが、確かにある区間の最高速度が上がっていることから、「サメ肌もその効果の一部になっていると思う。それだけではないと思うが」と、笑って答えてくれた。最終コーナーのコーナリング速度も(先ほどのスクラブ半径調整の効果もあり)去年のマシンより速く、それもストレートスピードに影響しているとのこと。サメ肌だけが話題になりやすいが、総合力向上の1つであると辰己総監督は位置づけている。

「雨がねぇ~」と空を見ながら語る辰己総監督

 雨が降ると気になるのが、スバルが独自採用しているシンメトリカルAWDによる、4WDのアドバンテージ。雨、しかもうねりあるニュルブルクリンクだけに、クルマの接地性にはシビアなものが求められる。このAWDシステムのアドバンテージについては「雨が降るとスバルにアドバンテージがあるけど、リスクがやだな」とのこと。雨が降ると相対的にスバル/STI車の性能は、ドライの時にライバルだったクルマを上まわるものの、雨による視界の悪化、雨による事故の増加、などレースが荒れるリスク要因が増えるのがよくないとのこと。「できればドライでやりたい」と、悪天候によるスバル/STIの相対的ポテンシャルアップはハッキリ感じながらも、もらい事故などのリスク要因が増えるのを総監督として嫌っているようだった。

 逆に言えばドライで十分自信があるからこそであり、雨によるアドバンテージの上積みは必要ないとの判断だろう。

総合でできるだけ上位を狙い、クラス優勝

 今回のニュルブルクリンク24時間レースは、有料ながらJ SPORTSオンデマンドで24時間レースのライブ中継が行なわれる。予選前の最後に、辰己総監督にレース中継を見る人に向けてのメッセージを聞いてみた。

「勝って、とにかく勝ってね。勝たないと意味がない。勝って帰ることだけを考えている。最善を尽くすだけですね。スバルのファンの方は、本当に熱く応援してくれているので、われわれとしてもそれを励みに、総合でできるだけ上位を狙うのと、クラス優勝は当然で。それだけのモチベーションをみんな、ドライバー含めてね、持っていますので。きっとよい結果になるのではと思います」。

 なお、スバル/STIは公式YouTube「SUBARU On-Tube」で「NBR CHALLENGE 2019 スペシャルトーク」を公開している。決勝前にこちらも見ておくことで、24時間レースの視聴に臨んでいただきたい。

NBR CHALLENGE 2019 スペシャルトーク