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【ニュル24時間 2018】決勝レポート。Manthey Racingの912号車 ポルシェ911 GT3 Rが濃霧によるレース中断後のスプリントレースを制して2011年以来の総合優勝

度重なるトラブルに見舞われたSTIとTOYOTA GAZOO Racingも完走を果たす

2018年5月10日~13日(現地時間)開催

46回目となる「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」が開催された

 2018年で46回目を迎えた伝統の「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」が5月10日~13日の4日間に渡って開催された。

 4年連続して5月の開催となった同レースは、練習走行と予選1回目が行なわれた10日と決勝日の13日に天候が崩れたものの、4日間で実に21万人の観客がニュルブルクリンクを訪れた。

 予選結果は既報の通りで、Manthey Racingの911号車 ポルシェ911 GT3 Rが8分9秒105をマークしてポールポジションを獲得。2位、3位にもポルシェ911 GT3 Rが入り、ポルシェ勢が速さを見せることになった。

Manthey Racingの912号車 ポルシェ911 GT3 R

 決勝レースは12日の13時30分からスタート進行が始まり、エントリーした147台のマシンが3つのグループに別れてグリッドに着いた。ニュルブルクリンクの天候は11日の金曜日から回復し、決勝スタートの際も日差しが照り付け半袖でグリッドウォークを楽しんでいる人の姿も見受けられた。約1時間30分のスタート進行を経て、決勝レースは予定通りの15時30分に始まった。

 レース序盤から圧倒的な速さを見せたのは、ポールポジションからスタートした911号車 Porsche 911 GT3 R。1スティント8周のルーティンを繰り返し、ピットタイミングの違いによって他車にトップを譲ることはあっても、連続周回が始まるとすぐにトップに復帰するという状況が続いた。レース開始から6時間が経過しても911号車のトップは変わらず、徐々にリードを広げていく展開となる。

 しかし、911号車を追いかけるライバル勢も決してラップタイムが見劣りする訳ではなく、トップ10は約3分~5分程度のギャップの中に位置していて、何かのトラブルが起きればすぐに順位が逆転する状態だった。レース開始から6時間が経過した21時30分になるとニュルブルクリンクを闇が包み込み、クラッシュが頻発するナイトセッションへと入った。

レースから6時間後にナイトセッションへ突入

 日付が変わって13日の0時になっても911号車のトップは崩れるどころか、僚友となるManthey Racingの912号車が2番手につけ、ワンツー体制を築くことになる。だが、このワンツー体制は長く続かず、1時30分をまわった66周目に911号車がコーナーイン側に撒かれていた砂にタイヤを取られてクラッシュを喫してしまう。911号車は左右のガードレールに接触して、そのままリタイアに追い込まれてしまった。

 ナイトセッションも4時間を超えた2時を過ぎると、ニュルブルクリンクのグランプリコースと西側を中心に雨が降り始める。30分も経つとコース全域で降雨となり、フルウェットのコンディションとなった。全車がレインタイヤを装着して走行する中でも912号車は強さを見せ、Mercedes-AMG Team Black Falconの4号車 Mercedes-AMG GT3とAston Martin Racingの7号車 Aston Martin Vantage GT3などが追う展開となる。

深夜からは雨の中のセッションが続いた

 雨量は時間帯によって激しく降るときもあれば小雨のときもあり、コース状況は刻々と変化していった。5時を過ぎるとニュルブルクリンクは夜明けを迎える。首位争いは、ピットタイミングの状況で912号車と4号車がトップを入れ替えていて、トップ5のみが同一周回での戦いとなった。夜が明けると雨とともに霧が発生し、コースを次第に覆っていく。雨と霧という難しいコンディションの中でもトップ争いをするGT3勢は、ペースを緩めずに走行を続けるが、レーススタートから20時間半が経過した13日の12時に、濃霧のために赤旗が提示されてレースは中断してしまう。

立ちこめた濃霧の中でレースが行なわれるも赤旗で中断

 2時間の中断を経て14時にレースはリスタート。残り1時間半の激しいスプリントレースが始まった。リスタートの時点でトップを狙える可能性があるのは、中断直前にトップに立っていた4号車と912号車の2台。3番手以降は周回遅れとなっていたため、総合優勝はこの2台に絞られた。4号車は、ニュルブルクリンク24時間耐久レースをはじめ、多くの耐久レースで優勝経験を持つアダム・クリストドーロウ選手が、912号車は日本でもレース経験のあるフレデリック・マコヴィッキィ選手が最終スティントを担当。

 レースのハイライトとなったのは、リスタートから2周目となる128周目の1コーナーで、トップを走る4号車がイン側を守ったがブレーキングで止まりきれず912号車がクロスラインで2コーナーに進入する。2コーナーのクリッピングポイントでは912号車がクルマ半分リードしていたが、4号車も譲らずにサイドバイサイドで接触してしまう。4号車はこの接触によりハーフスピンを喫してトップの座を譲ってしまった。トップに立った912号車はリードを保ち、135周目にチェッカーを受けて総合優勝を飾った。

 2位には4号車、3位には4号車の僚友となるMercedes-AMG Team Black Falcon の5号車が入った。

24時間を走り終えた車両がピットへ戻り、表彰式が行なわれた

 一方、ワークス体制で挑んだTOYOTA GAZOO Racingの56号車 Lexus LCとSTIの90号車 Subaru WRX STIは、序盤からトラブルに見舞われてしまう。WRX STIは、スタートドライバーを務めたカルロ・ヴァン・ダム選手の走行が終わり、第2スティントを担当するティム・シュリック選手の走行時にパワーステアリングに異変を感じて緊急ピットイン。オイルリークが見つかり、修理するのに約1時間を要してしまう。

 その後は、ティム・シュリック選手、山内英輝選手、井口卓人選手の順番で周回を続ける。夜半から降り出したウェットコンディションでは4WDの威力を発揮し、上位クラスに匹敵する10分~11分台のラップタイムを刻み、一時は140番手まで落ちてしまった順位を51番手まで浮上させクラストップに返り咲いた。

 しかし、赤旗中断後にレースがリスタートすると、今後は電気系のトラブルによってエンジンが吹けない状態に陥ってしまい、コースにマシンを止めてしまう。それでもメカニックの懸命な作業によってマシンは復活し、112周目にチェッカーを受けて無事に完走。結果は総合62位で、クラス優勝も獲得した。

総合62位で完走を果たした90号車 Subaru WRX STI

 Lexus LCもスタートドライバーを担った松井孝允選手のスティントは無事に走行を終えたが、その後は、ブレーキトラブルやタイヤのスローパンクチャー、トランスミッションの交換、センサー故障によるエンジンの停止など多くのトラブルが襲いかかってくる。その都度、チームは最適な判断と作業を行ないLexus LCをコースに復帰させる。度重なるトラブルに見舞われたが97周を走行し、総合で96位、クラストップの結果を得た。

総合96位となった56号車 Lexus LC

 また、日本人ドライバーが乗り込んだ42号車のLexus RCFと43号車 Lexus ISF CCS-Rは、24時間を無事に走り切り、42号車が総合45位でクラス2位、43号車が総合46位でクラス3位と2台ともに有終の美を飾った。