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スバルとSTI、2018年のニュル24時間&SUPER GT参戦マシン「SUBARU WRX STI」を富士でシェイクダウン

JALの自動車輸送サービス「J SOLUTIONS WHEEL」でドイツへ輸送

2018年2月22日 開催

2018年のニュルブルクリンク24時間レース参戦マシンを富士スピードウェイで公開

 スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル)は2月22日、富士スピードウェイで今年のニュルブルクリンク24時間レース(ADAC Zurich 24h Rennen、以下NBR)に参戦するマシンと今シーズンのSUPER GTに参戦するマシンの2台のシェイクダウンを行ない、その模様を報道陣に公開した。

 NBRのマシンは2017年と同様にSUBARU WRX STIで、1800cc以上2000cc以下のターボ車で競われるSP3Tクラスでの参戦となる。スバルはこのクラスでは過去4回ものクラス優勝を誇るものの、2017年は初参戦以来初めてのリタイアを喫してしまい、奪われたクラストップの座をアウディから奪還すべく今年の大会の臨む。また、SUPER GTに参戦するマシンも2017年と同様にSUBARU BRZ GT300で、昨シーズンのデータを元に大幅な改良を加え、今シーズンのシリーズチャンピオンを目指す。

 シェイクダウン当日、走行に先立って行なわれた説明会の冒頭でSTI代表取締役社長の平川良夫氏が挨拶を行ない、「もう一度、戦って勝つというところに立ち返り、走る、曲がる、止まるという基本のところをイチから見直し、今日のシェイクダウンの日を迎えることができました」とコメントした。

STI代表取締役社長 平川良夫氏

 説明会では2つのレースの参戦体制や、各々のスタッフ紹介のほか、今年のマシンの主だった改良点が紹介された。NBR参戦マシンでは、エキマニ形状の最適化やターボチャージャーの変更、吸気ダクトの改善などによるパワーアップとトルクバンドの拡大、ギヤ比の最適化、クラッチの軽量化、エアロパーツの形状変更による-5%を目標としたCd削減などなど、今年のレースに向けた多岐にわたる改良箇所の説明を行なった。

 また、ドライバーは2017年も参戦したカルロ・ヴァン・ダム選手、ティム・シュリック選手、山内英輝選手に加え、今年は山内選手とともにSUPER GTで戦っている井口卓人選手が加入した。なお、チームの総監督には2017年に続いてSTIの辰己英治氏が務め、全国のスバル特約店から選抜されたメカニック6名を含むチームスタッフの指揮を執る。

SUBARU WRX STI 2018年ニュルブルクリンク24時間レース参戦マシン
全国のスバル特約店から選抜されたメカニック6名もシェイクダウンに参加し、早速マシンのメンテナンスを行なった
サイズアップしたブレーキローターと摺動面積を拡大したブレーキパッドでコントロール性と制動力を向上させた2018年のマシン。BBSホイールと組み合わされるファルケンタイヤは260/660 R18(ウエットタイヤのみ240/660 R18)
Cd値5%以上の削減を目標に改良されたエアロパーツ
最高出力向上のためエキマニ、ターボチャージャーが変更された
左足ブレーキの操作性を向上
シェイクダウンではタイヤウォーマーも使用された
チーム総監督 辰己英治氏

 また、SUBARU BRZ GT300に関してもエンジンの燃料室形状の変更や、エアロパーツの見直しによる空力とメカニカルグリップの最適化、ブレーキにおけるローター径アップ、パッド面積拡大、冷却ダクトの大径化などの変更点の説明も行なわれた。ブレーキシステムは今シーズンよりブレンボ製に変更されている。

 ドライバーは2017年に続いて井口卓人選手、山内英輝選手の2人で、チームの総監督にはSTIの渋谷真氏、レース運営や車両メンテナンスをR&Dスポーツが担当し、今シーズンのSUPER GTシリーズを戦い抜く。

SUBARU BRZ GT300 2018年モデル
今シーズンよりブレンボ製が採用されたブレーキ
フロントフェンダー、カナード、ドアミラーを刷新して空力を改善
2018年モデルのボディではリアフェンダーや後部フィンの角度も変更された
チーム総監督 渋谷真氏

ニュルブルクリンク24時間レースには、JALの自動車輸送サービス「J SOLUTIONS WHEEL」で輸送

JALの自動車輸送サービス「J SOLUTIONS WHEEL」について説明を行なった、日本航空株式会社 貨物路線部国際路線室マーケティンググループ グループ長 藤田徳之氏

 2つのレースの説明終了後、会場ではJAL(日本航空)による自動車輸送サービス「J SOLUTIONS WHEEL」が、JAL 貨物路線部国際路線室マーケティンググループ グループ長 藤田徳之氏より紹介された。

 貨物専用機ではなく旅客機を使用する「J SOLUTIONS WHEEL」は、貨物便未就航空港への輸送可能地点の拡大が可能で、今後国内線にも展開予定だという。会場では、2015年に「レヴォーグ」をシドニーへ輸送したのを皮切りに行なわれてきたスバル車の国際線輸送実績も紹介。今年のNBRでは、このJALのシステムを利用してドイツに参戦マシンを輸送するとのことで、使用機材はボーイング787-9が予定されている。

「J SOLUTIONS WHEEL」の解説
車両パレットへの設置
積み込み風景
スバル関連の積み込み実績
NBRの輸送には、ボーイング 787-9を使用する予定

2台のマシンが富士スピードウェイを走行

 シェイクダウンの開始予定時間である15時ごろ、富士スピードウェイには雪が降ったもののコースに積もるまでには至らず、ウェットコンディションでまず山内選手がドライブするSUBARU BRZ GT300がコースインした。今シーズンより採用されたブレンボ製のブレーキでウェットコンディションは初走行とのことだったが、その感触を確かめる間もなくストレートを1回通過した後、次の周回でピットイン。これ以上の走行は困難との判断で、GT300マシンのシェイクダウンは終了した。

 続いてNBRに参戦するSUBARU WRX STIが山内選手のドライブでコースイン。こちらは順調に走行を重ね、後半には今年から加入した井口選手がマシンの感触を確かめながらコース占有時間いっぱいの16時まで走行した。

雪の中のシェイクダウンとなったSUBARU BRZ GT300
雪のため2周で走行を中止
関係者や報道陣が見守るなかシェイクダウンを行なったSUBARU WRX STI ニュルブルクリンク24時間レース仕様
占有走行枠をいっぱいに使いシェイクダウンを行なった

 SUBARU WRX STIが参戦するNBRは、5月10日(現地時間)に練習走行と1回目の予選、11日に2回目の予選、12日~13日にかけて決勝レースが行なわれる。また、具体的なスケジュールは未定ながら、マシンの熟成のため4月~5月の前半でVLNレースやQualifyingレースへの参戦も計画されているという。

 また、SUBARU BRZ GT300がシリーズ参戦するSUPER GTは、4月7日~8日に岡山国際サーキットで開幕戦が行なわれる。