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【ニュル24時間 2019】予選結果、日本勢は88号車SUBARU WRX STIは総合53位でクラス首位。90号車GRスープラは総合99位など
2号車 Mercedes-AMG GT3が総合ポールを獲得
2019年6月22日 04:34
- 2019年6月20日~23日(現地時間) 開催
6月20日~23日(現地時間)に「第47回 ニュルブルクリンク 24時間レース」が開催されている。6月21日(現地時間)には、予選2回目とポールポジションを決定する「Top-Qualifying」が行なわれ、22日15時30分にスタート予定の決勝レースに向けたグリッドが決定した。
総合ポールポジションを獲得したのは2号車 Mercedes-AMG GT3(アダム・クリストードゥールー/マルコ・エンゲル/マヌエル・メッツガー/ダーク・ミューラー組)、2位は48号車 Mercedes-AMG GT3(クリスチャン・ホヘンナデル/デビッド・ランス・アーノルド/ラファエル・マルチェロ/マキシマリアン・ゴッツ組)、3位は991号車 Porsche 911 GT3 R(アール・バンバー/マイケル・クリステンセン/ケビン・エストレ/ローレンス・ヴァンソール組)となった。
日本勢は総合優勝を争うSP9クラスにエントリーしているコンドーレーシングの45号車 Nissan GT-R Nismo GT3(トム・コロネル/高星明誠/藤井誠暢/松田次生組)が最上位で総合25位グリッドを獲得、RACING PROJECT BANDOHの19号車 Lexus RC F GT3(ドミニク・ファーンバッファー/マルコ・ゼーフリート/吉本大樹/ミハエル・ティシュナー組)が総合32位。Toyota Gazoo Racingの2台は56号車 LEXUS LC (土屋武士/蒲生尚弥/松井孝允/中山雄一組)が総合35位、90号車 GRスープラ(佐々木雅弘/ウヴェ・クリーン/ヘルフィ・ダーネンス/モリゾウ組)が総合99位となった。
クラス優勝を狙う88号車 SUBARU WRX STI(山内英輝/井口卓人/ ティム・シュリック/ カルロ・ヴァンダム組)は総合53位で、SP3Tクラス首位となった。
プロトタイプカー中心のル・マン24時間レース、市販車ベースのGTカー中心のニュル24時間レース
ル・マン24時間レースを筆頭に、世界中にはいくつかの24時間レースがある。ル・マン24時間レースに次いで有名なのは、アメリカ フロリダ州にあるデイトナ・スピードウェイで行なわれているデイトナ24時間レースだが、この2つのレースに共通していることは、トップカテゴリーがル・マン・プロトタイプ、デイトナ・プロトタイプと呼び方は異なるが、プロトタイプカーと呼ばれるワンオフで作られる順レーシングカーで競われていることだ。
例えば、ル・マン24時間レースの場合には、トヨタのTS050-Hybirdのように自動車メーカーなどが作成するプロトタイプカーがLMP1というトップカテゴリーを走る形になっている。
そうしたプロトタイプカーが主役のル・マン24時間レースやデイトナ24時間レースに対して、ニュルブルクリンクで行なわれているニュルブルクリンク24時間レースでは、主役は市販車ベースのGTカーとなっている。
非常に複雑なクラス分けがなされているため、全部は紹介できないのだが、トップカテゴリーとなるSP9は、日本のSUPER GTのGT300クラスでもおなじみのFIA-GT3規格のGTレーシングカーを利用してレースが行なわれる。このためGT300にも登場している、BMW M6 GT3、Mercedes-AMG GT3、Porsche 911 GT3 R、Lamborghini Huracan GT3 Evo、Nissan NISSAN GTR Nismo GT3などが走行して、トップを争うレースとなる。このSP9にはメーカーのワークスチームや実質的なワークスチームといった本気で総合優勝を狙うチームが参戦するクラスとなっている。
そうしたトップを争うSP9クラスだけでなく、実に数十にわたるクラス分けが細かく行なわれており、それぞれクラス優勝を競っている。このため、車両も前出のFIA-GT3の車両からOpel Calibra TJ-R、TOYOTA Toyota C-HR、Porsche Cayman SといったそれこそSUVまで参戦しており、本気で優勝を狙っているというより、記念参戦しているというチームも走っている。
GPコース+ノルトシュライフェで合計25kmのコースに約160台のレーシングカーが走る
こうしたレースであるため、今年のレースには約160のチームが参戦しており、ピットの場所などは足りないため、1つのピットボックスを複数のチームでシェアして利用する、そうした状況でのレースとなっている。
だが、160台という台数が一挙に走ったら、コースが大渋滞になるのではないかと疑問に感じないだろうか? そこは問題がない。というのも、今回の会場になっているニュルブルクリンクにはグランプリコース(かつてF1ドイツGPやF1ヨーロッパGPが行なわれていたコース)というショートコース(5.148km)と、北コース(ノルトシュライフェ、20.832km)の2つがあり、レースはその2つのコースを連結した1周25kmのコースを利用して行なわれるからだ。
このため、約160台という台数が走っても、スタート直後やセーフティカーからのレース再開時は大渋滞になるが、そのうちにばらけるので、きちんとレースとして成立するようになっている。
このノルトシュライフェと呼ばれる北コースは、世界中の自動車メーカーが開発コースとしても使っていることで有名なコースでもある。というのも、作られたのが1925年と古く、現代のサーキットしては考えられないぐらい路面の凹凸などもあるからだ。もちろん路面の舗装などはやり直されているものの、それでも車が跳ねてエアロパーツが壊れたりということは今でも起こっている。そんな過酷なコースであるため、市販車の開発に適しているとも言えるのだ。
このため、このノルトシュライフェのタイムが自動車メーカーにとっては自社のスポーツカーなどの性能を表現するのに使うことも多く、よく自動車の記事などで「ニュルブルクリンクの北コースで○分○秒」という表現が出されるのはこのためだ。
そうしたノルトシュライフェとグランプリコースが組み合わされたコースで行なわれるニュルブルクリンク24時間レースであるため、自動車メーカーにとっては「走る実験場」の意味がある。
その延長線上で参戦しているのが、Toyota Gazoo Racing(TGR)の56号車 LEXUS LC (土屋武士/蒲生尚弥/松井孝允/中山雄一組)、90号車 GRスープラ(佐々木雅弘/ウヴェ・クリーン/ヘルフィ・ダーネンス/モリゾウ組)だったり、STI(スバルテクニカインターナショナル)の88号車 SUBARU WRX STI(山内英輝/井口卓人/ ティム・シュリック/ カルロ・ヴァンダム組)という日本メーカーのワークスチームとなる。
いずれも市販車ベースのレーシングカーを利用して、SP-PROクラス(56号車)、SP8Tクラス(90号車)、SP3Tクラス(88号車)のそれぞれのクラス優勝を目指している。
また、総合優勝を目指すSP9には日本の2つのレーシングチームが挑戦している。コンドーレーシングの45号車 Nissan GT-R Nismo GT3(トム・コロネル/高星明誠/藤井誠暢/松田次生組)とRACING PROJECT BANDOHの19号車 Lexus RC F GT3(ドミニク・ファーンバッファー/マルコ・ゼーフリート/吉本大樹/ミハエル・ティシュナー組)の2台となる。いずれも日本のSUPER GTのGT500に参戦している強豪チームであり、上位陣に何かがあれば十分に総合優勝を狙える実力を秘めている。
トップ・クオリファイングで2号車 Mercedes-AMG GT3がポール獲得
ニュルブルクリンク24時間レースの予選は特殊な形で行なわれている。予選1回目、予選2回目という2回の通常の予選セッションに加えて、「Top-Qualifying」(トップ・クオリファイング)と呼ばれる上位勢だけが走るセッションが最後に行なわれる。このトップ・クオリファイングには、すでに行なわれているVLN(ニュルブルクリンクで行なわれているレースシリーズ、日本で言えばスーパー耐久のようなシリーズ)での上位ランカーなどに優秀な成績を収めたチーム17チームがシードされており、その17チームは自動的にトップ・クオリファイングに進出できる(日本のチームではコンドーレーシングの45号車 Nissan GT-R Nismo GT3がこの17台の中に選ばれている)。
それに加えて、予選1回目、予選2回でシードされた17チーム以外で選ばれた19チームのうちいくつかがトップ・クオリファイングに進める仕組みになっており、シード以外では11台が選ばれ合計28台がポールを争うトップ・クオリファイングに進出してトップ・クオリファイングを戦うことになった。この時点で29位以下のグリッドは自動的に決定されたことになる。
トップ・クオリファイングでは、1台ずつ決められた順序に間隔を空けて一台ずつスタートしていき、他車の影響がないように配慮された形での戦いとなる。ただし前走車がミスをしてスピンやコースアウトすれば差は縮まって詰まるという可能性はないわけではない。タイムアタックのチャンスは2回のみで、ミスをすれば即順位は大きくさがることになる
現地時間19時から行なわれたトップ・クオリファイングでは、主催者が発表したグリッドに並んだ順にオフィシャルの指示をまってスタートしていった。日本チームでこのトップ・クオリファイングへと進んだのはシードされていたコンドーレーシングの45号車 Nissan GT-R Nismo GT3だけだ。
こうした中でポールを獲得したのはマルコ・エンゲル選手がドライブした2号車 Mercedes-AMG GT3(アダム・クリストードゥールー/マルコ・エンゲル/マヌエル・メッツガー/ダーク・ミューラー組)。2位はマキシマリアン・ゴッツ選手がドライブした48号車 Mercedes-AMG GT3(クリスチャン・ホヘンナデル/デビッド・ランス・アーノルド/ラファエル・マルチェロ/マキシマリアン・ゴッツ組)となっており、Mercedes-AMG GT3の1-2となっている。3位はローレンス・ヴァンソール選手がドライブした991号車 Porsche 911 GT3 R(アール・バンバー/マイケル・クリステンセン/ケビン・エストレ/ローレンス・ヴァンソール組)となった。
松田次生選手がドライブしたコンドーレーシングの45号車 Nissan GT-R Nismo GT3(トム・コロネル/高星明誠/藤井誠暢/松田次生組)はトップ・クオリファイングで25位。同じくSP9クラスを戦う19号車 Lexus RC F GT3(ドミニク・ファーンバッファー/マルコ・ゼーフリート/吉本大樹/ミハエル・ティシュナー組)は予選タイムでは23位だが、トップ・クオリファイングには進めなかったため、予選の結果は32位となった。
SP-PROクラスを戦う56号車 LEXUS LC (土屋武士/蒲生尚弥/松井孝允/中山雄一組)は予選35位、SP3Tを戦う88号車 SUBARU WRX STI(山内英輝/井口卓人/ ティム・シュリック/ カルロ・ヴァンダム組)は総合53位でクラス首位。2位との差は19秒以上となっており、予選のタイムでは圧倒的な差をつけている。SP8Tクラスを戦う90号車 GRスープラ(佐々木雅弘/ウヴェ・クリーン/ヘルフィ・ダーネンス/モリゾウ組)は総合99位でSP8Tクラス6位となっている。
総合順位 | クラス | カーナンバー | マシン | ドライバー |
---|---|---|---|---|
1位 | SP9 | 2 | Mercedes-AMG GT3 | アダム・クリストードゥールー/マルコ・エンゲル/マヌエル・メッツガー/ダーク・ミューラー |
2位 | SP9 | 48 | Mercedes-AMG GT3 | クリスチャン・ホヘンナデル/デビッド・ランス・アーノルド/ラファエル・マルチェロ/マキシマリアン・ゴッツ |
3位 | SP9 | 911 | Porsche 911 GT3 R | アール・バンバー/マイケル・クリステンセン/ケビン・エストレ/ローレンス・ヴァンソール |
25位 | SP9 | 45 | Nissan GT-R Nismo GT3 | トム・コロネル/高星明誠/藤井誠暢/松田次生 |
32位 | SP9 | 19 | Lexus RC F GT3 | ドミニク・ファーンバッファー/マルコ・ゼーフリート/吉本大樹/ミハエル・ティシュナー |
35位 | SP-PRO | 56 | LEXUS LC | 土屋武士/蒲生尚弥/松井孝允/中山雄一 |
53位 | SP3T | 88 | SUBARU WRX STI | 山内英輝/井口卓人/ ティム・シュリック/ カルロ・ヴァンダム |
99位 | SP8T | 90 | GRスープラ | 佐々木雅弘/ウヴェ・クリーン/ヘルフィ・ダーネンス/モリゾウ |