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【ニュル24時間 2019】90号車GRスープラの佐々木雅弘選手に聞く。「夢を持って取り組めば、きっとかなう。そういうところを見てもらいたい」
2019年6月22日 13:17
- 2019年6月20日~23日(現地時間) 開催
6月22日15時30分(現地時間、日本時間6月22日22時30分)から決勝レースが始まる「第47回 ニュルブルクリンク 24時間レース」。このレースで注目を集めているのが、TOYOTA GAZOO Racingの90号車GRスープラ(佐々木雅弘/ウヴェ・クリーン/ヘルフィ・ダーネンス/モリゾウ組)だ。
先日日本でもデビューしたばかりの新型スープラが、ほぼほぼ市販車と同様の状態で参戦することに加え、モリゾウ選手ことトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏がドライバーであることなどで話題となっている。
90号車GRスープラで、モリゾウ選手らとともにステアリングを握るのが佐々木雅弘選手。戦いの激しいGAZOO Racing 86/BRZ Race最上位のプロクラスに参戦し、常に上位の結果を残しているほか、走りの説明が非常に分かりやすく、GAZOO Racing 86/BRZ Raceでは上から2番目のエキスパートクラスに参戦する橋本洋平選手の走りの師匠としても知られている。橋本洋平選手は先日のオートポリス戦で2連勝するなど、佐々木選手との出会いによって走りが確実に進化した。
その佐々木選手に、90号車GRスープラでニュルブルクリンク24時間レースに参戦することについて現地で聞いてみた。
──ニュルブルクリンク24時間レースに挑戦するのは何度目ですか?
佐々木選手:僕、初めてなんですよ。走ってみての感想は、やはりコースの全長が25kmと長いことですね。日本のサーキットの4倍~5倍にあたるので。
コースの右左は、グランツーリスモだったりシミュレータだったりを使って覚えられるのですが、何より驚いたのはアップダウン。高低差も300mあるということで、レーシングドライバーのみなさんから「縦G(重力加速度)がすごいよ」と話は聞いていたのですが、実際に体感してみないと分からなくて。上っていくGもあるのですが、下っていくGもあるんですよ。
(下っていくGの場合は)Gが抜けちゃうんですね。抜けちゃうとクルマが浮いた状態になるので、そのときのバランスを、クルマから抜けるバランスをしっかりコントロールしていくのがすごく難しいなというのが第1印象です。
──佐々木選手は、そのニュルブルクリンク24時間レースに、90号車GRスープラで挑まれる訳ですが、GRスープラについてはどうですか?
佐々木選手:実はこのクルマ(GRスープラ)は、まだまだレーシンカーと言えるようなクルマではなくて、市販の新型スープラ同様のものです。ミッションもノーマルだし、エンジンもノーマルだし、ボディもノーマルだし。燃料タンクは耐久レースのために150Lに変更、サスペンションは、市販タイヤよりグリップがはるかに高いスリックタイヤに合わせて交換したというファインチューニングはしているのですが、決してレーシングカーに近い状態にはありません。
市販車に近い状態で、レーシングカーに近いタイムが出ているので、非常に最初からバランスがよくて、生まれ持った素質がすごくよいです。楽しく乗れています。
──GRスープラで24時間を戦い続けられそうですか?
佐々木選手:はい、GRスープラは24時間レースを戦えるクルマです。僕らがミスしないで走れば、クルマはそれに応えてくれます。
──今回のニュル24時間レースはインターネットでも生中継されます。24時間生中継を見る視聴者の方に、メッセージがあれば?
佐々木選手:見るポイントとしては、夜の車載カメラ映像でしょうか。中継の中で出てくると思うので。夜はこんなに見えないんだよというのに注目していただきたいです。
夜は見えるポイントが昼間の1/10くらいになるので、その中での恐怖と戦いながらクルマをしっかり走らせていく。僕らの走りを見てもらいたいと思います。
僕みたいな走り屋育ちというか、クルマの免許を取ってから、クルマのしっかりした運転を覚えて、レースをして。走り屋からレーサーになったという僕でもというところでしょうか。
今の時代のレーサーは、(若いころから)カートに乗ってないとレーサーになれないとか、お金持ちでないとレーサーになれないとか、そう考えている方が多いのではないかと思っています。でも僕は、そういう形ではない状況で、草の根レーサーでしたし、本当に草レースから初めて、今こうやってTOYOTA GRのドライバーに選んでいただいて、ニュルブルクリンク(24時間レース)で乗れているので。本当に夢を持って、クルマに対して夢をもって、夢を持って取り組めば、きっとかなう。そういうところを見てもらいたいと思っています。