【鈴鹿10時間 2019】BMW Team Schnitzerの42号車がポール獲得。2位はアウディ25号車、3位もBMW

42号車 BMW M6 GT3（BMW Team Schnitzer、アウグスト・ファーファス/マーティン・トムチュク/ニコラス・イェロリー組）

　三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて、2019 第48回サマーエンデュランス「BH オークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース」（以下SUZUKA 10H）が8月23日～25日の3日間において開催されている。

　SUZUKA 10HはFIA-GT3規格、SUPER GTのGT300、スーパー耐久のST-Xクラスの車両を利用して行なわれる10時間の耐久レース。昨年から現在のフォーマットになったSUZUKA 10Hは、ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースなどに参戦している欧州の強豪レーシングチームに、SUPER GT/GT300などのに参戦している日本のレーシングチームが挑むという構図のレースが展開される。

　8月24日には明日の決勝レースのグリッドを決定する予選が行なわれた。予選は3人のドライバーがそれぞれ1回ずつ走る、予選1回目（Q1）、予選2回目（Q2）、予選3回目（Q3）が行なわれ、その合算タイムで順位が決定され、上位20台はポールシュートアウトと呼ばれる特別セッションに進む仕組みで行なわれた。

　そのポールシュートアウトでトップタイムをマークしたのは42号車 BMW M6 GT3（BMW Team Schnitzer、アウグスト・ファーファス/マーティン・トムチュク/ニコラス・イェロリー組）。BMWの事実上のワークスチームであるBMW Team SchnitzerがSUZUKA 10Hでポールを獲得したのは初めて。

25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo（Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・バンスール/フレデリック・ヴェルヴィッシュ組）

　2位は25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo（Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・バンスール/フレデリック・ヴェルヴィッシュ組）、3位も34号車 BMW M6 GT3（Walkenhorst Motorsport、クリスチャン・クログネス/ニッキー・キャッツバーグ/ミッケル・ジェンセン組）が入り、BMWが1-3となった。

34号車 BMW M6 GT3（Walkenhorst Motorsport、クリスチャン・クログネス/ニッキー・キャッツバーグ/ミッケル・ジェンセン組）

　日本勢は777号車 Ferrari 488GT3（CAR GUY Racing、ジェームス・カラド/ケイ・コッツォリーノ/ミギュエル・モリーナ組）の4位が最上位。

777号車 Ferrari 488GT3（CAR GUY Racing、ジェームス・カラド/ケイ・コッツォリーノ/ミギュエル・モリーナ組）

　日本人ドライバーの最上位は00号車 Mercedes-AMG GT3（Mercedes-AMG Team Goodsmile、谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉組）で6位。注目されたミカ・ハッキネン選手がドライブする11号車 McLaren 720S GT3（PLANEX SMACAM RACING、ミカ・ハッキネン/久保田克昭/石浦宏明組）は予選25位となった。

00号車 Mercedes-AMG GT3（Mercedes-AMG Team Goodsmile、谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉組）

Q1/Q2/Q3はアウディ、フェラーリ、メルセデスが上位を占める、それに続いたのがKCMGのニッサンGT-R

　今回のSUZUKA 10Hは金曜日は、ほぼ全時間でウェットになってしまったため、土曜日の朝一時間のフリー走行が今回のイベントにおける最初のドライタイヤでの走行時間帯となった。特にSUPER GT/GT300のチームにとっては普段のレースでは履いていないピレリタイヤでの走行になる（昨年のレースに引き続きピレリタイヤのワンメイク供給、なお、鈴鹿サーキットは2020年～4年間ピレリタイヤとの契約を更新したことを明らかにした）ため、もう少しドライでの走行をしたかったところだが、今回初めてピレリタイヤを履くSUPER GTのドライバーにとってはやや不利な状況で予選に突入することになった。

　13時から行なわれたQ1、Q2、Q3の予選では、前述の通り各チームのドライバーが1回ずつ走行し、上位20台がポールショットと呼ばれる上位20台をにより争われる最終予選に進む形となる。

11号車 McLaren 720S GT3（PLANEX SMACAM RACING、ミカ・ハッキネン/久保田克昭/石浦宏明組）

　11号車 McLaren 720S GT3（PLANEX SMACAM RACING、ミカ・ハッキネン/久保田克昭/石浦宏明組）に搭乗する1998/1999年のF1世界チャンピオンのミカ・ハッキネン選手はQ1に搭乗し、2分03秒340というQ1では11位に相当するタイムを出し、なかなかの滑り出しを見せる。そのタイムも黄旗や赤旗が出るという波乱の状況の中でタイムしたマークで、さすが元世界チャンピオンという走りを見せてくれた。ただし、その後、Q2、Q3ではタイムが伸び悩み、11号車は結局25位で明日のレースを迎えることになった。

　こうした中でトップタイムをマークしたのは、25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo（Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・バンスール/フレデリック・ヴェルヴィッシュ組）。

27号車 Ferrari 488 GT3（HubAuto Corsa、ヘイキ・コバライネン/ニック・キャシディ/ニック・フォスター組）

　2位は日本でSUPER GT/GT500で活躍するコバライネン選手、キャシディ選手が搭乗した27号車 Ferrari 488 GT3（HubAuto Corsa、ヘイキ・コバライネン/ニック・キャシディ/ニック・フォスター組）、3位は77号車 Mercedes-AMG GT3（Mercedes-AMG Team CraftBamboo Racing、マキシミリアン・ゲーツ/ルカ・シュトルツ/イェルマー・ブルマン組）となり、いずれも欧州の強豪チームが上位を占めた。

77号車 Mercedes-AMG GT3（Mercedes-AMG Team CraftBamboo Racing、マキシミリアン・ゲーツ/ルカ・シュトルツ/イェルマー・ブルマン組）

　日本関連チームの最上位は777号車 Ferrari 488GT3（CAR GUY Racing、ジェームス・カラド/ケイ・コッツォリーノ/ミギュエル・モリーナ組）の4位。それに続いたのが35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3（KCMG、千代勝正/ジョシュア・バードン/松田次生組）の5位。今シーズンはGT3の海外レースに専念している千代選手と、ニュルブルクリンク24時間、スパ24時間とFIA-GT3の海外でのレースに積極的に参加している松田選手が乗るKCMGの35号車はニッサンのワークス的な存在と言え、上位で戦えることをこの予選で証明したと言える。KCMGはもう1台の018号車NISSAN GT-R NISMO GT3（KCMG、アレクサンドレ・インペラトーリ/エドアルド・リベラッティ/オリバー・ジャービス組）も9位に入っており、アウディ、メルセデスの隠れワークス勢が上位を占める中で、KCMGの2台はレースでそれらのアウディ、メルセデス勢の間に入る存在になりそうだ。

35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3（KCMG、千代勝正/ジョシュア・バードン/松田次生組）

　もう1つ上位で活躍した日本のチームはJLOCだ。JLOCは88号車 LAMBORGHINI HURACAN GT3（JLOC、アンドレア・カルダレッリ/マルコ・マペッリ/デニス・リンデ組）が6位、日本人トリオの87号車 LAMBORGHINI HURACAN GT3（JLOC、小暮卓史/元嶋佑弥/関口雄飛組）が17位となっており、今回JLOCは普段SUPER GTに投入している車両とは別のHURACAN GT3を用意し、88号車に関してはランボルギーニのワークスドライバートリオになるなど、力を入れた体制で臨んでおり、こちらも優勝候補の一角と言っていいだろう。

88号車 LAMBORGHINI HURACAN GT3（JLOC、アンドレア・カルダレッリ/マルコ・マペッリ/デニス・リンデ組）

Q1/Q2/Q3合算の順位表

ポールシュートアウトでは42号車 BMW M6 GT3がトップタイムをマークしてポールを獲得

42号車 BMW M6 GT3（BMW Team Schnitzer、アウグスト・ファーファス/マーティン・トムチュク/ニコラス・イェロリー組）

25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo（Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・バンスール/フレデリック・ヴェルヴィッシュ組）

34号車 BMW M6 GT3（Walkenhorst Motorsport、クリスチャン・クログネス/ニッキー・キャッツバーグ/ミッケル・ジェンセン組）

　17時35分から開始されたポールシュートアウトでは上位20台による15分間のタイムアタックが行なわれ、上位20位までのグリッドが決定された。既に夕暮れを迎えた鈴鹿サーキットは、天候は曇りになり気温もやや下がり暗くなってきたこともあり、各チームはヘッドライトを点灯させた状態でコースインしていった。

　この中でQ1/Q2/Q3でのタイムはあっという間に破られ、上位勢は2分00秒台にタイムは突入して激しい競争が繰り広げられた。その中でポールを獲得したのは42号車 BMW M6 GT3（BMW Team Schnitzer、アウグスト・ファーファス/マーティン・トムチュク/ニコラス・イェロリー組）。42号車は2位になった25号車 Audi R8 LMS GT3 Evoにわずか0.076秒差をつけてトップタイムをマークして、見事ポールポジションを獲得した。SUZUKA 10HでBMWがポールを獲得したのは初めてとなる。3位にも34 号車 BMW M6 GT3（Walkenhorst Motorsport、クリスチャン・クログネス/ニッキー・キャッツバーグ/ミッケル・ジェンセン組）が入り、BMWは1-3となった。

　日本勢の最上位は4位に入ったCAR GUY Racing の777号車 Ferrari 488GT3。日本人ドライバーの最上位は6位に入った00号車 Mercedes-AMG GT3（Mercedes-AMG Team Goodsmile、谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉組）。00号車は昨年のレースでも上位に入っており、明日のレースでも上位を争うことを期待できそうだ。期待のKCMG勢は35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3が13位、018号車 NISSAN GT-R NISMO GT3が17位となった。

ポールシュートアウトの結果表