ニュース
【SUPER GT 第7戦 SUGO】雨を制した3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rと55号車 ARTA NSX GT3の優勝者会見
優勝した3号車はミシュランのワイドレンジな「ダンプタイヤ」を選んでいた
2019年9月23日 00:29
- 2019年9月22日 開催
9月21日~9月22日の2日間に渡り、SUPER GT第7戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 7 SUGO GT 300km RACE」が宮城県村田町のスポーツランドSUGOで行なわれた。14時から始まった決勝レースでは、レーススタートのわずか10分前に雨が降り出すという、誰にも予想できない展開に。各チームともにどのタイヤでスタートするか頭を悩ます中、ウェットタイヤをうまく使いこなしたチームが上位に来る結果となった。
GT500で優勝したのは、3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ組、MI:ミシュラン)、両ドライバーにとっては日産に移籍後の初優勝となった。GT300の方は今シーズン1度もリタイヤやノーポイントがなく確実にポイントを積み上げてポイントリーダーになっていた55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺組、BS:ブリヂストン)。
決勝レース終了後には、優勝した両クラスのドライバーが参加して優勝者会見が行なわれたので、その模様をお伝えしたい。
3号車が選んだタイヤはウェットではなく“ダンプタイヤ”
──レースを終えて今のお気持ちを
平手選手:正直な気持ちはうれしい。今年移籍をして、速さはあったけど結果につなげられないレースが続いて苦しかった。今回は結果を残そうという気持ちでチームもニスモもこのサーキットに来たので、せめて表彰台と思っていたら、素晴らしい初優勝を遂げることができた。僕のスティントでは雨が降り始めてきて、これまでの経験を踏まえて自分達が持っているベストなタイヤとしてインターを選んだ。それが功を奏して、前を追いかけることができた。フレッドに交代するときにコース状況などをアドバイスできた。今日のチームの仕事としては百点満点だ。
マコヴィッキ選手:素晴らしい結果だ。晃平が言うとおり、僕達には競争力があった。言うまでもなく、GT500はハイレベルで勝つのはすごく難しい。その中でこんな結果を出せたのは、すべてをパーフェクトにできたからだ。岡山や富士でもそうだったように、日産とミシュランの組み合わせはレインではとてもよく、チーム全員がいい仕事をしてくれた。
自分が担当してステアリングを握っていたときには難しいコンディションだった。特にセーフティカーの後はコールドタイヤで走らないといけないため難しかった。また、最後はコンディションがフルウェットになってしまい、インターのタイヤで走るのは大変だった。晃平、チーム、ミシュラン、日産、みんなにおめでとうを言いたい。
高木選手:予選2位なのでよいスタートを切りたいと考えていた。1位と3位がスリックタイヤという情報が入ってきたが、最初は小雨だったのでライン上ではドライのところもあったりして、最初の10~15週は左のタイヤをいたわりながら、後ろの4号車とのマージンを10秒程度にキープしながら走った。ミニマムのピットインのタイミングを過ぎてからは(いつでも入れるので)それからはフルプッシュで走った。セーフティカーが出たときにはSPコーナーでピットインしてくれという無線が入って、セーフティカーが入る直前にピットに入れたのもよかった。そうした複雑な状況の中でも、ブリヂストンのタイヤは乾いた状況、濡れている状況、どちらでも確実に動作した。
福住選手:初優勝なのでうれしい。ドライバー交代した時に、タイヤ4輪を交換した。それから雨量が増えてきたので辛い状況が続いて、もしかして難しいかと思ったが、その後は発熱して動作しはじめて、後ろを引き離すことができた。その後燃費の問題が出てきてちょっとだけ燃費走行して、後半大丈夫だと言われてからプッシュした。無事にクルマを運ぶことができてうれしい。
──3号車はどのようなタイヤをチョイスしたのか?
平手選手:ウェットではなく、水が少ないときに履く「ダンプタイヤ」と呼ばれるタイヤを選んだ。
マコヴィッキ選手:晃平と同じタイヤを選んだ。雨量が増えてきた時でもダンプタイヤは問題なく動作した。非常に広いウインドウを持っているタイヤで、常に路面に対してよい状況だった。
昨年のARTAは2位との12点差から逆転された。今年はそんなことがないように……
──福住選手が担当した後半にGT500の車両に追いついて、2位の車両との差が縮まったシーンがありましたが、その時はどういう状況だったのでしょうか?
高木選手:「邪魔だー」と言ってた(笑)
福住選手:そういうこと言わないでください(笑)。その時は36号車だったと思うが、(レース後に)関口さんが僕のところに来てくれてゴメンねと言って頂けた。おそらくタイヤ選択かデグラデーションの問題でペースが上がっていなかったのではないかという状況で、抜きたかったがGT500はストレートが速いので抜けないという状況だったし、どうしていいのかわからない状況で行っていいのかどうしたらいいのか……。
平手選手:いやそこは行っていいと思う(笑)
福住選手:それに加えて、こちらも燃費走行をしていたことが影響していたと思う。
──3号車の2人は日産に移籍してきて初勝利だが、どんな気持ちか?
平手選手:新しいチャレンジとして新たな移籍をして結果を残したいと思っていた。レクサスが強いレースが続いていて、SNSを見ると厳しめなコメントが載っているという状況だったので、僕を選んでくれたニスモの関係者にも恩返しができた。この結果に甘んじず、チャンピオンシップは関係ないけど、最終戦でも結果を残して2020年につなげていきたい。
マコヴィッキ選手:今年は新しいプロジェクトとして、日産とミシュランの昨年苦戦したのをなんとかしたいということで、異なる哲学で始めたプロジェクトになる。ドライバー、チーム関係者なども総取っ替えに近い状況からスタートして、6か月が過ぎ、競争力を証明できるようになった。チャンピオン争いには絡めないけど、最終戦では来年に向けて頑張りたい。
──55号車の2人は14.5点差と大量リードで最終戦に臨むが、その気持ちや展望は?
高木選手:2年連続大量リードですごいが、十数年チャンピオンを取れていない状況なので、ツインリンクもてぎでは何かがあるかなと……。2位が新田さんということで、あちらも子供ぐらいの年の相棒を連れてオッチャン同士で頑張ろうと思っている。ポイントでは圧倒的に有利ではあるので、レースでしっかりと戦略を組んでやっていきたい。
福住選手:去年のARTAは最終戦に臨む段階で12点差あったんですが、最終戦で大逆転されちゃったそうなので……。
高木選手:それを思い出させるなよ!(苦笑)
福住選手:(笑)。ただその例のように逆転というのは充分あるのがGTというカテゴリーなので。有利な位置ではあるけど、しっかりレースしてポイントを取り、チャンピオンを取れるようにしていきたい。