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【SUPER GT 第7戦 SUGO】11月の交流戦にアウディ4台、BMW3台が来日。アストンマーティンは参戦せず

坂東正明氏によるGTA定例会見

2019年9月22日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 9月21日~9月22日の2日間に渡り、SUPER GT第7戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 7 SUGO GT 300km RACE」が宮城県村田町のスポーツランドSUGOで行なわれている。14時から行なわれる予定の決勝レースに先立って、SUPER GTのプロモーターとなる株式会社GTアソシエイション(以下GTA) 代表取締役 坂東正明氏による定例会見が行なわれた。

 この中で坂東氏は「11月に行なわれるDTMとの交流戦には、ドイツからアウディ4台、BMW3台がやってくる。残念ながらアストンマーチンは不参加になる」と述べ、11月の交流戦にドイツからアウディ4台、BMW3台が参加し、プライベートチームに委託する形でDTMに参加しているストンマーティンに関しては今回は不参加になったと説明した。

オートポリスでは混乱もあったが、安全さえ確保されていればそれもレース一部

DTMとの交流戦などに関して説明する坂東氏

司会:冒頭に坂東代表から挨拶を……

坂東氏:(今日のレースについて)今のところ順調だが、雨が落ちてきそうなのでそれに対応していきたい。今ヘリコプターで外の駐車場周りを見てきたが、渋滞はほぼ解消に向かっているが、駐車場からサーキットまでの6台のシャトルバスが、お待ち頂いているお客様多く毎回乗れないという状況が発生していた。そのシャトルバスのお客様を降ろすところが(筆者注:人も多くクルマの渋滞が発生しやすい)パドックの裏手になっているので、もう少し別の場所でよいのではないかというのをサーキットの社長と話をしてきた。天候の方は心配だが、よいイベントにしていきたい。

──今回のレースも天候が危ぶまれているが、前戦オートポリスの決勝では雨の状況によってピットに入る車両が集中したということがあった。ここのスポーツランドSUGOでもピットレーンが狭いなどの課題を抱えているが、レギュレーションの改定などの取り組みはあるか?

坂東氏:レギュレーションの変更というよりも、ピットを大きくするなどの取り組みが効果的。サーキット側に今のクルマに合わせたピット作りをして欲しいというお願いをしている状況。何より重要なのは安全性の確保でそれを第一優先に考えていかないといけない。だが、チームやドライバーからすると、現状ではクルマがどんどん速くなっている状況で、その中で安全性の確保を考えていかないといけない状況が発生しており、オーガナイザーとも話をしている。クオリティが高いレース造りをしていくことが重要だ。

 オートポリスのレースでは混乱があったことは否定できないが、それもレースという側面がある。例えば米国のNASCARで、イエローが出た時に一斉に入ってくるという状況でもやれている。それを考えれば我々にできない理由はない。そういう中で、クオリティを高める意味で、違反があった時にはペナルティを科すことをやっている。できればそういうことはしたくないのだが、それでもチームにはクオリティの高さを求めていきたいからだ。より高いチーム造りをできるように、我々としても応援していきたい。

──オートポリスのレースでは天候が変化し、タイヤチョイスの妙によってエキサイティングなシーンがあった。タイヤは黒くて丸くて、観客から、TVの視聴者もそうだけど、どっちのタイヤを選択しているのかがわからないという意見もある。視覚的な方策を検討しているか?

坂東氏:そこはワンメイクとそうでないかの違いを考慮する必要がある。ワンメイクであれば、ハード、ソフト、レインとドライの違いを見せていくことに意味がある。しかし、前回のレースでいうと、GT300で吉本選手だけが10秒速いという状況が発生していたが、そこから「これはなんだ?」と考えることができる。それが面白さにつながるし、1つの楽しみ方になる。

 サイドにマークを入れるのは、横浜ゴムさんがスーパーフォーミュラでやられているが、ブリヂストンさんに聞いてもスプレーなどを利用してサイドに入れることはできると聞いている。それをどのように伝えていくかは今後も議論していかなければいけない。

 そしてタイヤメーカーはそれぞれ開発という要素があって、ソフト、ハード、ドライ、ウェットでゴムや構造を工夫して競争している。例えばちょっと濡れた路面ならダンロップのスリックが速いとかあるが、それを教えることがチーム競争としていいのかは議論があると思う。むしろタイムを見てもらって、ファンの皆さんにも判断して頂けるような手法を取るのがいいのではないか。

交流戦にはアウディが4台、BMWが3台、アストンマーティンは参戦せず

開始前に報道陣とジョークをかわして笑う坂東代表

──11月に行なわれるDTMとの交流戦「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT×DTM 特別交流戦」に関してのアップデートを教えて欲しい。

坂東氏:DTMの最終戦では、向こうに持って行く3台のステッカー、横に東レが入る。こちらの交流戦に来る車両に関してはアウディが4台、BMWが3台来るとなった。アストンマーティンは残念ながら来ない。ゼッケンの所には向こうのDEKRAやこちらのスポンサー、BHオークションなどが入ることになる。

──タイとマレーシアの連戦に関してのアップデートを教えて欲しい。

坂東氏:この間お話ししたところから変わっていない。先方の回答を待っているところだ。今月末という期限を設定し、それまでに決めたいと考えている。この間お話ししたとおり、7月17日~18日にマレーシアのセパン、7月3日~4日にタイのブリーラムという予定で考えており、その間のロジスティックスに関してタイ側と相談しているところだ。

──オートポリス戦の後、2020年のクラス1レギュレーションの車両を3車がお披露目した、その感想を教えて欲しい。

坂東氏:日産の車両の来季モデルは、フロント・フェンダー周りを登録パーツから購入して作るが、ラインで作らないといけない。そのあたりは日産の動きとして確認しないといけない。ラインの状況かの中でそれをやっていかないといけない。ニスモや日産の動きからはやる気になっているのかなということを感じた。

 スープラに関してはオートサロンで公開されたコンセプトカーとは大分違うように見えた、これからのシェイクダウンが楽しみだ。

 DTM/ITRとの規則統合に向けたグローバル化の動きの中で、認知度やクオリティの向上がホンダ側にも伝わっていて、それを応援しよう、協力しようという中でクラス1規定に合致した車両造りをして頂いた。この状況下の中で、これまではミッドシップハンデなどがあったが、これからは1つの規則の中でガチンコで3メーカーが戦う体制が出来上がって、ホンダさんには非常に感謝しており、来季からは3メーカーの戦いが政治的な駆け引きなしにファンの皆様に楽しんでいただける。

──交流戦でのGT300のスプリントカップのエントリー状況に関して教えて欲しい。

坂東氏:GT300にはプライベートチームもいらっしゃるので義務化するのはどうかと思っていたが、現状では10台弱という状況。GTAとしては、GT500とDTMの交流戦ということで節目となるレースだ。そこにはGT300も参加して欲しいという想いがあり、エントリーをお願いしている。エントリーは10月半ばまで受け付けているので、それまでには増やしていきたい。GTAのターゲットとしては15台を目指している。

──再来週にはホッケンハイムのDTM最終戦に、日本の3メーカーの車両が参加するという歴史的なイベントが待っているが、坂東氏のそれについての感想を。

坂東氏:向こうが木曜日に占有走行の時間を用意すると言っているが、その割には参加費をという話になっているのだが(苦笑)。その後でBOPを決めたいといっているのだが、こちらはプッシュトゥーパスもなく、DRSもない、ハンコックタイヤの経験もほとんどなく、あまり経験の無いスプリントレースという状況の中で参加することになる。チャンピオンが決まったとは言え、公式戦になるので、郷に入れば郷に従えでやっていきたい。ドイツに人達に対しては、とても歴史的なことなので、そこに対して一緒にやっていきましょうということを訴えたい。

──DTMからくるチームやドライバーは?

坂東氏:そこはまだ向こうから連絡が来ていない。ただ、日本に来たいドライバーは多いのではないだろうか。ロイク・デュバル選手のように日本で走っていたドライバーは、来たいということはあるのではないだろうか(笑)。向こうから今後発表があると考えている。

FCYの導入は常に検討しているが、サーキット側のコストなどの課題解決が必要

説明する坂東代表

──この2戦では、セーフティカーの介入で勝負が決まるという展開が続いている。これからのセーフティーカーの運用、FCY(フルコースイエロー、ECUなどの操作などにより自動的に速度を抑える方式)の導入などについての考え方を伺いたい。

坂東氏:例えば、富士での6号車がSCボードが出るほんの数秒前にピットに入ったというのは、本当にわずか数秒の差でああいう展開になった。それも1つのレースではあるけど、他の車両が1周遅れになってしまうとかは防ぎたいと考えている。

 FCYの導入というのは検討している。だが、課題はサーキットによって対応状況が異なるということだ。FCYの導入には、それを実現する為にGPSやトランスポンダーの導入が必要になるため、費用の問題がついて回る。例えば、SUZUKA 10Hの時にはアンテナをサーキットの多くで立ててやってみてできることがわかった。だが、それが全部のサーキットできるかといえば、そうではないというのが現状だ。SUPER GTだけでなく、スーパーフォーミュラやスーパー耐久などでもできるなら、サーキット側としても検討の余地があるかもしれない。そういう話し合いは常に続けている。

──SUPER GTではセーフティーカー導入時にストレートで整列して順位整理が行なわれる。WECなどで導入されている複数のセーフティーカーで順位を整理するなどの検討をしているか?

坂東氏:ロングコースだと、FCYもセーフティカーもメリハリが出るという意味で役立つ。しかし、ここのサーキットのようにショートコースだとまた話は違う。現在のようにストレートで整列しているのは安全性の観点から導入したシステム。現在セーフティカーの出る回数が多くなったりしているのは検討しないといけない。服部(筆者注:SUPER GT レースディレクターの服部尚貴氏)は毎回苦しみながら決断している。大きな事故が起きてからでは困るので、安全性を第一に検討していきたい。

──現在GTAがSUPER GTのサポートレースとして行なっている若手ドライバーの登竜門となっているFIA-F4は成功しているが、その一方でその上位カテゴリーで、スーパーフォーミュラとの中間に位置している全日本F3選手権は来年からスーパーフォーミュラ・ライツとして新たなスタートを切る。そのあたりのFIA-F4との関係に関して坂東代表としてはどうお考えか?

坂東氏:フォーミュラのことはフォーミュラの関係者に聞いて欲しいが、我々がFIA-F4を始めたのは、カート、FJ、J-F4というヒエラレルキーがあって、それらのジュニアフォーミュラの関係を整理して、モータースポーツに入ってくる若い人達を応援したいという想いからだ。その上がF3からライツになり、リージョナルも始まるなどの状況をどうしていくかは、関係者がFIAともよく協議して欲しいと考えている。どのようにジュニアフォーミュラのカテゴリを作れば、一番上に位置しているスーパーフォーミュラにつながっていくのか、検討していく必要があると考えている。現状ではFIA-F4、ライツ、リージョナル、スーパーフォーミュラが皆プロモーターが違っているので、我々のFIA-F4で育った人がどこへ行くかに関しては、GTAとしては関与しない。仮に行く道がないというのであれば、FIA-F4からGT300という道を提案したい。FIAのシングルシーター委員会などの関係者には、営利目的でなく、若手育成のためにしっかりした道筋を示して欲しい、そう求めていきたい。

司会:最後に坂東代表から一言。

坂東氏:最後の2レースは本当に面白いレースになると思う、最後の最後でガチンコになってきている部分があるので、お客様には楽しんで頂きたい。

GTA 坂東代表