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村田製作所の全固体電池、「CEATEC AWARD 2019」経済産業大臣賞を受賞

2019年10月14日 発表

村田製作所が開発した全固体電池(写真:茶色の物体が業界最高水準の容量を持つ全固体電池)

 村田製作所は10月14日、同社が「CEATEC 2019」に出展した「業界最高水準の容量を持つ全固体電池」が、「CEATEC AWARD 2019」経済産業大臣賞を受賞したと発表した。

 一般的な電池で使用する電解液の代わりに、酸化物セラミックス系電解質を使用する全固体電池は「燃えない」「熱に強い」特性を有するといい、同社が開発した製品は小型かつ高エネルギー密度を実現するなど、ウェアラブル機器の小型化や信頼性の向上に貢献するという。

 今回、同社が開発した全固体電池は電解質が酸化物セラミックスとなり、サイズは5~10×5~10×2~6mm(縦×横×高さ)。容量は2~25mAh(25℃)で、定格電圧が3.8V。SMD(Surface Mount Device:表面実装部品)として、ペースト状のはんだを塗布した基板表面へ実装が可能な電子部品となり、用途としてはウェアラブル機器やIoT機器などを想定している。

 同社は主力製品の積層セラミックコンデンサや多層デバイスなどで培ったプロセス技術と、最先端の電子部品を開発する中で蓄積した多様な材料技術を組み合わせて開発。開発した製品は、従来のリチウムイオン二次電池と比べて、優れた安全性・耐久性を実現しているため、特に高い安全性が要求され、長時間の利用が前提とされるワイヤレスイヤホンなどのヒアラブル機器や広がりをみせるIoT社会の多様なニーズに対応てきるとしている。

一般的な二次電池領域と本製品のターゲット領域

 CEATEC AWARD 2019 審査委員会による選評としては「⼩型で、かつ⾼容量を実現し、過酷な環境下でも⾼いパフォーマンスを発揮。さらに、従来のリチウムイオン電池と⽐べ、優れた安全性・耐久性を実現している。これまで実現が難しかったウェアラブル機器のさらなる⼩型化や信頼性の向上、また、⾼い安全性が要求され、⻑時間の利⽤が前提とされるワイヤレスイヤホンなどのヒアラブル機器や広がりをみせるIoT社会の多様なニーズに対応し、豊かな社会の実現に貢献することが期待される」と評価された。

 同社 代表取締役 専務執行役員 モジュール事業本部 本部長 中島規巨氏は「当社の技術を結集した全固体電池が栄誉ある賞をいただき、大変うれしく思います。成長著しいウェアラブル市場では特に高い安全性が求められており、電解液を用いない全固体電池のニーズは今後さらに高まっていくと考えています。また、全固体電池は面実装が可能であり、セットの小型化と実装コストの削減に貢献します。今後も当社の得意とする積層技術・材料技術などを活用しながら、サイズや容量のラインアップ拡充を含め、さらなる改良に取り組んでいきます。」とコメントしている。