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ヤマト運輸、宅配業務に特化した新型EVトラック公開。女性でも乗り込みやすいシートなど採用

ドイツポスト DHL グループ傘下企業と共同開発。2020年1月から首都圏に順次500台導入

2019年11月19日 発表

女性でも乗り込みやすいシートなどを採用した小型商用EVトラック

 ヤマト運輸は11月19日、宅配に特化した日本初の小型商用EV(電気自動車)トラックを公開した。ドイツポスト DHL グループ傘下のストリートスクーターと共同開発した車両で、2020年1月から首都圏に順次500台を導入する。

 両社が共同開発した小型商用EVトラックは、「女性でも乗り込みやすいシート」「キーを操作せずに運転席、荷室の施錠開錠ができるキーレスエントリー」「荷物の積み下ろし時の体への負担を最も軽減する地上高90cmの荷室床面」「車両の死角を360度解消するマルチビューモニターの装備」といった特徴を持つ。

女性でも乗り込みやすいシートなどを採用した小型商用EVトラック
女性でも乗り降りしやすく、体への負担を低減した運転席シート:業務中、1日平均200回の乗降を考慮してシート高を普通乗用車並みとした。加えてドア側(外側)のシート側面をフラットにすることで乗降性をさらに向上。さらに、素早く温感を得ることができるシートヒーターも標準装備した
荷物の積み下ろし時の体への負担を最も軽減する「地上高90cmの荷室床面」:低すぎる、高すぎる荷室は、荷物の積み下ろしに際しての足腰への負担が最も大きくなる。大きく屈むことなく、また荷室に乗り込むこともなく荷物の積み下ろしを行なえ、最も体に負担をかけない設計として、荷室床面を90cmの地上高とした
360度車両の死角を視認することができる「マルチビューモニター」:車両を真上から見下ろした映像が映し出される「バードビュー」に加えて、走行中シフトレバーがD(ドライブ)レンジにあるときは車両前方下部が、R(リバース)レンジにあるときは車両後方下部が、さらに方向指示器を左右に操作したときにはそれぞれ左右のドアミラーの死角となる側面下部がモニターに映し出される

 ヤマト運輸ではこの車両を首都圏に順次500台を導入することで、CO2の削減や住宅街での騒音低減といった環境面での取り組みを強化するとともに、従来のトラックよりも小型で運転がしやすく、ドライバーの立場に立った設計とすることで、車両を使った業務に慣れていない人でもセールスドライバーとして活躍できるようになることなど、同社の働き方改革を推進していく考え。

 初期導入の500台は、2020年1月から1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)で順次稼働予定。将来的にはEVを含む次世代モビリティの開発・導入を積極的に進め、2030年までに小型集配車両の半数にあたる約5000台の導入を目指すとしている。

 ヤマト運輸 代表取締役社長 栗栖利蔵氏は「今回、約2年の開発期間を経て宅配業務に特化した新型車両を導入することができました。新しいEVトラックは、環境負荷の低減だけでなく、実際に車両を使用するドライバーの立場に立った設計を追求することで、より多くの方々に活躍していただくことを実現しています。この車両を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます」とコメント。

 ストリートスクーター CEO イエルグ・ゾマー氏は「ヤマト運輸がラストマイルネットワークの持続的な再構築に向けて、私たちの電気自動車をご使用いただけたこと非常にうれしく思います。環境にやさしい最初の5台を東京で一緒にお披露目することができ、本日はストリートスクーターにとって特別な日です。加えて、ヤマト運輸との親密なパートナーシップが、日本の自動車市場へ世界最高水準の環境性能を有する電気自動車を推進していく1歩となります」とコメントした。