ニュース

自律走行ロボットが荷物配達でエレベーターに乗降。WCPがデモ公開

2020年1月8日 開催

荷物を載せて移動を開始する「Cuboidくん」

 WCP(Wireless City Planning)は1月8日、総務省から受託した「自律走行ロボットエレベーター連携実証事業」の一環として、自律走行ロボット「Cuboidくん」がオフィスビルに設置されたエレベーターに乗降して、荷物を運搬するデモンストレーションを公開した。

 1月8日の20時ごろから開始された取材会では、Cuboidくんが日比谷パークフロント(東京都千代田区内幸町2-1-6)にある地下駐車場から2階の受付まで荷物を届ける走行デモが行なわれた。

地下駐車場に待機するCuboidくん

 デモに使用されるCuboidくんは、LTE、Wi-Fi、LPWAといった複数の通信規格のインターフェースを備える自律走行ロボット。WCPの自律走行ロボットエレベーター連携実証事業においては、カバレッジや通信速度などの電波環境の測定・分析をすることや、エレベーターなどインフラとの通信によって実現する各機能に最適な通信規格の組み合わせを検証している。

 デモの流れは、地下駐車場に待機するCuboidくんに宅配業者を想定した人が荷物を載せ、近くに設置されたタブレットでビル内にある届け先を指定する。荷物を受け取ったCuboidくんはエレベーターホールに移動、通信を利用して自分のいるフロアにエレベーターを呼ぶ。エレベーターが到着するとCuboidくんが乗降開始、所定の位置に停車して乗降が完了すると扉が閉められる。そして、エレベーターが目的階に到着すると、無事に受付まで荷物を届けることに成功した。

タブレットに表示された荷物の届け先。宅配業者などの人がタブレットでビル内にある届け先を指定する
開発を担当するWireless City Planningの古谷智彦氏
荷物を載せてCuboidくんがエレベーターホールへと移動する
目的のフロアに到着するCuboidくん(荷物を載せていないのは2回目のデモのため)

 Cuboidくんは、37×37×67cm(幅×奥行き×高さ)の自律走行ロボット。デモで使用された仕様ではロボットアームなどは装備されておらず、人間のようにエレベータホールでボタンを押してエレベータを呼ぶことも、行き先階のボタンを押すこともできない。

自分のいるフロアへエレベータを呼ぶCuboidくん

 今回のデモ走行に向けてWCPは、三菱電機ビルテクノサービス機器と協力してエレベーターにインターネットに繋がるインターフェース装置を設置している。Cuboidくんは無線通信のLPWAを利用してインターネット上の制御サーバーと通信しており、エレベーター側も動作サーバーを経由してインターネット上の制御サーバーと通信、Cuboidくんとエレベーターが連携することで、Cuboidくんの乗降を実現することができた。

 WCPの自律走行ロボットエレベーター連携実証事業では、屋内型自律走行ロボットがエレベーターと連携することで、サービス付き高齢者向け住宅やオフィスビルにおいて、自律走行ロボットが複数階を移動して、荷物の宅配、人の見守りなどを代行することで、労働生産性や生産力などを向上させることを目指している。

自律走行ロボットのCuboidくん。LTE、LPWA、Wi-Fiといった複数の通信規格に対応。人感センサーなど各種センサーを搭載する
フロアの地図
Cuboidくんが見ている空間情報

 開発を担当するWireless City Planningの古谷智彦氏によると、人の往来のある日中の時間帯に稼働させるにはさらなる検証が必要とのことで、このデモ走行もビルが閉館した時間帯で実施されている。人と協調するロボットの実用化に向けて、引き続き取り組みを進めていきたいとの考えを示した。