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トヨタ、2020年 WRC第3戦でオジエ選手が今季初優勝し、ドライバーズタイトル首位浮上

エバンス選手は4位、ロバンペラ選手も5位入賞し、ドライバーズタイトル2位と4位をキープ

2020年2月12日~14日(現地時間) 開催

WRC 第3戦 ラリー・メキシコでTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオジエ選手が今季初優勝

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(トヨタ自動車)は、3月12日~14日(現地時間)に開催されたWRC(世界ラリー選手権)第3戦 ラリー・メキシコで、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が総合1位、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合4位、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が総合5位で全車完走し、開幕戦から3戦連続でトップ5以内に入ったことを発表した。

セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(17号車)

 WRC 第3戦のラリー・メキシコは、メキシコ中央高原グアナファト州の都市レオンを中心に開催。シーズン最初のグラベル(未舗装路)コースとなる。最大の特徴はサービスパークが置かれるレオン市街地でも1800m以上で、ステージの最高地点は2737mに達する標高の高さ。本来3月15日まで4日間競技が行なわれる予定だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な蔓延により、多くの国で渡航および入国制限が厳しくなり、選手やチームなどWRC関係者が安全かつスムーズに帰国できるようにと会期が1日短くなり、土曜日の最終ステージであるSS21をもってフィニッシュとなった。

エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)

 2日目に2位に対して13.2秒差を築き首位に立ったオジエ選手は、3日目オープニングのSS13「グアナファティート1」で、今大会4回目となるベストタイムを記録。午前中のステージが終了した時点で差を28.3秒に広げた。午後のステージではベテランらしい確実性の高い走りを続け、2日目のSS4以降1度も首位の座を譲ることなく、チームに加入して初の勝利を手にした。これにより、ラリー・メキシコでのオジエ選手の優勝は過去8年間で6回目となる上、今回の優勝でチームメイトのエバンス選手に替わりドライバーズタイトルの首位に立った。

カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)

 エバンス選手は2日目に不利な先頭スタートを担ったが、力強く戦い総合4位で終えた。ラリー・メキシコ初出場となる19歳のロバンペラ選手は、金曜日の2日目が終了した時点で表彰台まで2.7秒差の総合5位につけていたが、思うようにタイムが伸びず総合5位でフィニッシュとなった。

セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組

ラリー終了後のコメント

チーム総代表 豊田章男氏:WRC復帰以来、毎年苦しい思いをしてきたラリー・メキシコで、ついに優勝することができました。オジエ選手、イングラシア選手おめでとう。ありがとう。最初の2年はオーバーヒートで完走もままならぬ状況でした。ラジエーターを開発するエンジニアたちも努力を続けてくれて、ようやく手にした優勝です。改善を続けてくれたラジエーターエンジニアたちの“冷却魂”にも感謝したいと思います。

 今回の大会開催にあたっては、主催者をはじめとする地元の皆さまが、大会をより安全に開催できるように配慮されていたと聞きました。ファンの皆さまにラリーを楽しんでいただけたのも、彼らの懸命な働きによるところだと思います。本当にありがとうございました。また、選手たちはファンといつもより距離を置いて接さざるをえなかったとも聞きました。そんな中でも、ファンに残念な思いをさせまいと、精一杯のファンサービスをしてくれたドライバーたちの姿を大変うれしく思います。みんなありがとう。

 次戦のアルゼンチン戦の延期も発表されていますが、ヤリスWRCが元気に走る姿をファンの方々に見ていただける日が、一刻も早く訪れることを願っております。

スポーティング ディレクター カイ・リンドストローム氏(中央)

スポーティング ディレクター カイ・リンドストローム氏:非常に満足できる結果です。何よりも、セブとジュリアンがわれわれのチームで初勝利を挙げたことを、そしてチームがメキシコで初めて勝ったことをうれしく思います。2017年に初めてメキシコに出場した時はとても苦戦しましたが、われわれは失敗から多くを学び、トップ5に3台が入るまでに成長しました。エルフィンは、金曜日の出走順がトップだったにも関わらず、クリーンな走りで素晴らしい仕事をしてくれました。また、カッレはルーキーにとって最も難しいラリーの1つである、ここメキシコで信じられないくらいよい走りをしました。ラリーが1日早く終わってしまったのは残念で、少々複雑な気持ちですが、世界が厳しい状況に置かれている今、チームのメンバーたちを確実に、家族のもとに返さなければなりません。

セバスチャン・オジエ選手

セバスチャン・オジエ選手:よい週末になりました。スタート直後からいいフィーリングが感じられ、金曜日の朝はトップに立つ好機が訪れました。今日はスタート順がよかったので最初から攻めて差を拡げることに成功し、そして、最後までその差をコントロールできました。このような状況では、何とも言えない奇妙な勝利ですので心から喜ぶ気持ちにはなれません。それでも、この週末に素晴らしい仕事をしてくれたチームに感謝しています。クルマは週末を通して問題なく、とても信頼性が高く、速かったと思います。それは、選手権を戦う上で大きなアドバンテージだと言えます。

エルフィン・エバンス選手

エルフィン・エバンス選手:簡単にはいかない週末でしたが、よいドライビングができたと思います。今朝は自分の力をフルに発揮して走りましたが、出走順の影響もあって奏功しませんでした。午後はいくつか小さなミスをし、少し問題も生じたので、順位争いに挑めず少し残念です。それでも、ラリー・メキシコで金曜日の出走順が1番だったにも関わらず、総合4位に入れたのはわるくない結果だと言えます。ヤリスWRC全3台が完走したことで、チーム力の高さとクルマの強さが証明されたと思います。

カッレ・ロバンペラ選手

カッレ・ロバンペラ選手:全体的に、とても満足していますが、最高の週末とは言えません。いくつかアンラッキーな出来事がありましたが、攻めた時のペースがよかったのはポジティブな材料です。初めてWRカーでこのラリーに挑むドライバーにとって、速く走るのは簡単なことではないので、喜ぶべきでしょう。今日は、ほぼ1日中路面を掃除しながら走りました。順位を守り、路面を掃除しながら走る術を学ぶために堅実な走りに徹しました。大きなミスをすることなくラリーを戦い、時々安定して速いペースを示すことができたので、自分にとって、本当によいシーズン序盤戦になったと思います。

ラリー・メキシコ デイ3の結果(現地時間3月14日11時時点)

1位 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(トヨタ ヤリス WRC)
2位 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒュンダイ i20クーペ WRC)
3位 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン組(フォード フィエスタ WRC)
4位 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタ ヤリス WRC)
5位 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタ ヤリス WRC)
6位 ポントゥス・ティディマンド/パトリック・バース組(シュコダ・ファビア R5)
7位 ニコライ・グリアジン/ヤロスラフ・フェドロフ組(ヒュンダイ i20 R5)
8位 マルコ・ブラチア/ジョバンニ・ベルナッキーニ組(シトロエン C3 R5)
9位 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン組(フォード フィエスタ WRC)
10位 オーレ・クリスチャン・ヴェイビー/ヨナス・アンダーソン組(ヒュンダイ i20 R5)

次回のWRCに関して

 WRC次戦は、第4戦として4月23日~26日にかけて「ラリー・アルゼンチン」の開催が予定されていたが、世界的に蔓延する新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により大会は延期が決定。そのため、5月21日~24日にかけて開催予定の「ラリー・ポルトガル」が次戦となる。ラリー・ポルトガルはメキシコに続く今シーズン2回目のグラベルコースとなり、2020年もポルト近郊のマトジニョスにサービスパークが置かれる。