ニュース

「スマートシティの社会基盤を東富士から世界へ」。業務資本提携を発表したトヨタとNTTの共同記者会見

スマートシティビジネスの事業化に向け相互に2000億円出資

2020年3月24日 発表

NTTとトヨタの業務資本提携に関する共同記者会見に出席したトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏(左)、日本電信電話 代表取締役社長 澤田純氏(右)

 トヨタ自動車とNTT(日本電信電話)は3月24日、スマートシティビジネスの事業化に向けた協業関係の構築を目的とした業務資本提携を発表。同日、日本電信電話 代表取締役社長 澤田純氏、トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏が登壇する共同記者会見が開催され、提携の狙いなどが話された。

 今回の合意により、両社はそれぞれが実施する第三者割当による自己株式の処分により、相互に総額約2000億円相当の株式を取得。これまで両社はコネクティッドカー分野での協業を行なってきたが、今後はスマートシティビジネスの事業化を目指して協業していく。

 スマートシティとは、先進的な技術を活用して都市機能や地域サービスの高度化を図った都市や街を示すもので、両社の合意では、ヒト・クルマ・イエ、住民・企業・自治体などに係る生活やビジネス、インフラ・公共サービスなど全ての領域への価値提供を行なうとしている。

NTTとトヨタが共同で構築を目指す「スマートシティプラットフォーム」

 まずは、その実現に必要となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築して、先行ケースとして、静岡県裾野市東富士エリアにある「Woven City」と東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)に実装して、その後、他都市への展開を目指すとしている。

トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏

 記者会見に登壇した豊田社長からは、トヨタでは2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けて、スマートシティ実現に向けた取り組みを推進していく「コネクティッド・シティ」プロジェクトを米国ネバダ州ラスベガス市で開催されたCES 2020において発表。パートナー企業や研究者と連携しながら、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる新たな街づくりに向け実証を進める計画などが紹介された。

2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を「Woven City」と名付けた街として、スマートシティ実現に向けた取り組みを推進していく
CASE革命でモノやサービスがつながる「コネクティッド・シティ」の発想が必要だとするトヨタ

 豊田社長は「2018年1月のCESで『e-Palette(イーパレット』を発表いたしました。eパレットは、TRIやトヨタコネクティッドというソフトウェアのエンジニアたちがクルマを造ればどうなるかという新たな試みでした。その次にeパレットを走らせるための道が必要だと考えて、生まれた発想が『Woven City』です。トヨタにとってWoven Cityとは、モノの見方・考え方を180度変えていくことを意味しております。クルマや住宅が先にあって、それをつなげていくという従来の発想から、上位概念は人々が暮らす『街』であり、そこにクルマや住宅をつなげていくという発想に転換する、そのために仕事のやり方を大きく変革するということだと思っております。これが、トヨタも『街のプラットフォーム』づくりに取り組む理由です」との考えを述べた。

日本電信電話 代表取締役社長 澤田純氏

 一方、NTTの澤田社長からは、トヨタとの資本業務提携について「自動運転をはじめ世界でさまざまなことに取り組まれているトヨタと私どもNTTが連携をすることで、住民や地域の社会基盤を構成していきたい、これが私たちが資本業務提携に合意した基本でございます」と話し、「モビリティの世界No.1企業はトヨタであると考えており、その広がりをお手伝いしたい」との思いを語った。

 また、澤田社長はNTTグループにおいても都市・まちのさまざまな課題解決のため、福岡、札幌、横浜や千葉などの自治体や企業などと協業を進めるなど、スマートシティ実現に向けた取り組みを進めていることを紹介。

NTTによるスマートシティ・プラットフォームの基本思想とスマートシティ実現に向けた取り組み

 澤田氏は「NTTのスマートシティへの取り組みは、例えば札幌、ラスベガス、千葉、横浜、福岡、さらにはサイバージャヤで展開しており、パートーナープログラムも出させていただきまして、街づくり用のCREをベースにした会社も整えてきております。さらに新しい再生エネルギーを用いた地域グリッド、Well-being、地域創生支援といった営みをしておりますが、そのコアとなる新結合が今回の提携だと私たちは考えております。トヨタとNTTがスマートシティの社会基盤を一緒に作り上げていく、これを東富士から世界へ広げていきたいとこのように考えております」との意気込みが述べられた。

5G、データマネジメント、再エネ直流グリッドなどを活用してスマートシティの実現を目指すという