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GT500に続き、GT300は埼玉トヨペットのGRスープラが優勝。SUPER GT開幕戦 富士は“GRスープラ祭り”に

2020年7月18日~19日 開催

GT300クラスを優勝した52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)。GT500クラスもGRスープラが優勝しており、GRスープラは両クラスデビューウィン

 SUPER GT開幕戦「2020 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」が7月18日~19日の2日間にわたり富士スピードウェイで無観客開催された。通常SUPER GTのレースは土曜日に予選、日曜日に決勝が行なわれるが、現在は新型感染症(COVID-19)の感染防止対策のため、無観客レースとして開催。通常のスケジュールが変更されて日曜日に予選と決勝を行なうというワンデーレースとして行なわれた。

予選では65号車 LEON PYRAMID AMGがポールポジションを獲得

 9時30分から行なわれたGT300クラスの予選では、予選1回目(Q1)はA組、B組の2つのクラスに別れて10分ずつ行なわれ、上位8台ずつが予選2回目(Q2)へと進んだ。

 Q1は朝方の降雨により所々濡れているという路面状況で行なわれ、路面状況が刻々と変化した。天候としては日差しも出るなど路面は徐々に改善していく方向に。そのような状況の中で各車タイムアタックを行なうことになった。

 A組のトップタイムは56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)が獲得した。以下2位に10号車 TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R(星野一樹/石川京侍組、YH)、3位に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)となった。

 このQ1では番狂わせも起きており、2017年のチャンピオンマシンである4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)が9位、そして昨年のチャンピオンカーである55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹組、BS)はウェットタイヤをチョイスしたことが裏目にでて11位となっており、強豪がQ1で意外な脱落となってしまった。

 B組のトップタイムは11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信、DL)、以下2位は65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組K、BS)、3位は5号車 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号(坂口夏月/平木湧也組、YH)となった。

 このB組では、34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/ジェイク・パーソンズ組、YH)が最後までギリギリ8位で通過できるところにいたが、最後の最後で9位だった18号車 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/松浦孝亮組、YH)が7位にジャンプアップ、これにより惜しくもQ1落ちが決定してしまった。

 予選2回目(Q2、10分間)では65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組、BS)がトップタイムをマークして午後の決勝に向けてポールポジションを確保した。2位には11号車 GAINER TANAX GT-R、3位は2号車 シンティアム・アップル・ロータス(加藤寛規/柳田真孝組、YH)が入った。4位はこのレースがデビューレースとなるJAF-GTのGR Supraの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)が入った。

決勝レースではドライバーも車両もデビュー戦の52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが優勝

GT300のスタートシーン

 GT300の決勝レースは、予選2位の11号車 GAINER TANAX GT-Rが抜群のスタートを決め、ポールの65号車 LEON PYRAMID AMGを逆転。オープニングラップのGT500のアクシデントによる事故によるセーフティカーが出るまでにトップに立った。レースがリスタートすると、予選3位の52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)も加わってのトップ争いが展開された。

 予選で下位に沈んでいた55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹組、BS)は激しい追い上げをみせていたが、にリスタート時の手順違反をとられてしまい、ピットスルーペナルティが出ることになった。これにより、55号車は再度下位に沈んだものの、最終的には7位でゴールした。

 レースの大きな転機はピットストップにあった。トップを争っていた65号車がピットに入り、タイムを節約するために左側のタイヤだけを変える作戦を採ったのだが、なんとその左リアの交換に手間取ってしまい、4輪交換するよりも時間がかかってしまった。その結果、大きく順位を下げただけでなく、右側のタイヤは未交換というハンデも背負うことになった。

 多くのクルマがピット作業を終了後、トップに立ったのがピットイン時にタイヤ無交換作戦を採った52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT。52号車は今シーズンよりJAF-GT規定の新車両「GR Supra GT」を投入しており、この富士がデビュー戦。ドライバーの川合孝汰選手もこのレースがデビューレースだが、ベテラン勢に交じって確実にレースを走りきって見せた。

 コース上に360号車 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/田中篤組、YH)が止まってしまったことにより、2度目のセーフティカーが出て、それまでにピットインしていなかったチームもセーフティカー期間終了後にピットストップを実施。これで大まかな順位は確定した。

 52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTは、セーフティカーが出たことによりリードがなくなったものの、セーフティカー期間終了後にも再びリードを築く走りを見せ、そのままゴール。同チームとしても初優勝、そして新車両となるGR Supra GTとしても、そして川合孝汰選手にとっても、デビューレースとなる記念すべきレースで初優勝を記録した。

 2位は11号車 GAINER TANAX GT-R、3位にはレース終盤に追いすがる56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)を辛くも引き離して表彰台を獲得した5号車 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号で、56号車が4位。5位は10号車 TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R、6位は65号車 LEON PYRAMID AMG。

2位は11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信、DL)
3位は5号車 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号
GT300 決勝レース結果
順位カーナンバー車両ドライバータイヤ周回数タイム(2位以下は差)
152埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰BS621:53'57.330
211GAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信DL623.268
35マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号坂口夏月/平木湧也YH624.596
456リアライズ 日産自動車大学校 GT-R藤波清斗/J.P.デ・オリベイラYH625.097
510TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R星野一樹/石川京侍YH625.37
665LEON PYRAMID AMG蒲生尚弥/菅波冬悟BS626.152
755ARTA NSX GT3高木真一/大湯都史樹BS626.489
834Modulo KENWOOD NSX GT3道上龍/ジェイク・パーソンズYH6212.8
94グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH6218.354
109PACIFIC NAC D'station Vantage GT3藤井誠暢/ケイ・コッツォリーノMI6223.51
1196K-tunes RC F GT3新田守男/阪口晴南DL6225.63
122シンティアム・アップル・ロータス加藤寛規/柳田真孝YH611 Lap
1360SYNTIUM LMcorsa RC F GT3吉本大樹/河野駿佑MI611 Lap
146ADVICS muta MC86阪口良平/小高一斗BS611 Lap
157Studie BMW M6荒聖治/山口智英YH611 Lap
16244たかのこの湯 RC F GT3久保凜太郎/三宅淳詞YH611 Lap
1721Hitotsuyama Audi R8 LMS川端伸太朗/近藤翼YH611 Lap
1833エヴァRT初号機 X Works R8ショウン・トン/篠原拓朗YH611 Lap
1925HOPPY Porsche松井孝允/佐藤公哉YH611 Lap
2050ARNAGE AMG GT3加納政樹/山下亮生YH611 Lap
2130TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT永井宏明/織戸学YH602 Laps
2218UPGARAGE NSX GT3小林崇志/松浦孝亮YH602 Laps
2348植毛ケーズフロンティア GT-R田中優暉/飯田太陽YH602 Laps
2422アールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹YH593 Laps
2588JLOC ランボルギーニ GT3吉田広樹/川合孝汰YH593 Laps
2687T-DASH ランボルギーニ GT3高橋翼/山田真之亮YH5210 Laps
2731TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT嵯峨宏紀/中山友貴BS4319 Laps
R360RUNUP RIVAUX GT-R青木孝行/田中篤YH3329 Laps
R61SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL3032 Laps

GT300 優勝後のコメント

川合孝汰選手

 公式テストから順調で、予選B組でQ1を突破することができた。今回デビューする僕にスタートを任せてもらい、落ち着いて行けとアドバイスされたこともあって落ち着いてレースができた。

 後半は吉田さんが無交換作戦を成功させて勝つことができた。FIA F4では一度勝った後なかなか勝てないレースが続いていたので、SUPER GTにステップアップしてすぐ優勝できたことは本当に嬉しい。埼玉トヨペットさん、スポンサーの皆さん、応援していただいたすべての方に感謝したい。

川合孝汰選手
吉田広樹選手

 素直に嬉しい。去年もこのチームで勝てそうで勝てないときがあり、もっと精進しないといけないと思っていた。今シーズンは車両がスープラに替わり、チームメカニックも去年までは外部にお願いしていたのを、内部に変えて最初のレースでこうして優勝できるとは思っていなかった。今回はタイヤ無交換で戦ったので、それを成功させることができたのはブリヂストンさんのお陰で感謝したい。これまでも服部尚貴さんをはじめとした先輩が沢山チャンスをくれていたのに結果を出せていなかった。

 恩返しということではないが、そうした皆さんの前で結果を出せたのは嬉しい。(無交換作戦について聞かれ)実はレース前から今回は無交換でいこうと決めていた。そこでブリヂストンとも話して、ロングランのテストでも無交換を前提にしたタイヤを選んで使っていた。2位だった11号車はタイヤを交換していたので、65号車が脅威だと考えていたが、あちらは2本交換を選んでいた。もし彼らにピット作業のトラブルがなくても同じぐらいでの戦いになると考えていた。その意味では運に助けられた部分もある。

吉田広樹選手

【お詫びと訂正】記事初出時、52号車「埼玉トヨペットGB GR Supra GT」についてマザーシャシーベースと記しておりましたが、正しくはJAF-GT車両となります。お詫びして訂正させていただきます。