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Supra is Back!!、SUPER GT開幕戦 富士をGRスープラが驚異の1-2-3-4-5フィニッシュ。GT500デビュー戦を圧勝

GT300クラス優勝は52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT

2020年7月18日~19日 開催

優勝した37号車 KeePer TOM'S GR Supra

 SUPER GT開幕戦「2020 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」が7月18日~19日の2日間にわたり富士スピードウェイで無観客開催された。通常SUPER GTのレースは土曜日に予選、日曜日に決勝が行なわれるが、現在は新型感染症(COVID-19)の感染防止対策のため、無観客レースとして開催。通常のスケジュールが変更されて日曜日に予選と決勝を行なうというワンデーレースとして行なわれた。

 午前中に行なわれたGT500クラスの予選では、37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)がポールポジションを獲得。GR Supraのデビューレースに華を添えることになった。2位には8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)が入り、トヨタ、ホンダがフロントローを分け合う形となった。

 15時から行なわれた決勝レースでは、ポールからスタートした37号車 KeePer TOM'S GR Supraが優勝し、2位には36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組、BS)、3位には14号車 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔組、BS)が入り、この他にも5位までGRスープラ勢が入り、デビューレースで大勝利という結果を収めた。

フロントロー、セカンドローにトヨタとホンダが並びあう激しい予選。デビューレースのGRスープラがポールを獲得

 10時から始まったGT500クラスの予選1回目(Q1、10分間)では、昨日の公式練習の低い気温、低い路面温度から打って変わった、高い気温、高い路面温度の中で行なわれることになり、様相が一変した。

 1位はGT500デビューレースとなる福住仁嶺選手がドライブする8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)が新しいコースレコードをマークしてトップタイム、2位には100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組、BS)が2位と、NSX-GT勢が1-2であることは変わりないのだが、3位には昨日の公式練習では下位に沈んでいた3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正組、MI)が3位に上がってきた。路面温度が変わったことで、ミシュランタイヤ+GT-Rが大幅にパフォーマンスアップを果たした。

 GRスープラ勢のトップは37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)の4位で、5位には、こちらもこのレースがGT500デビューレースとなる笹原右京選手のドライブする16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/笹原右京組、YH)が入る大健闘を見せた。その一方、ホンダBS勢の一角でQ1突破は間違いないと思われていた17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)は9位でまさかのQ1落ちになってしまった。

 予選2回目(Q2、10分間)では、これまでホンダ勢に押されているように見えたデビューレースとなるGRスープラ勢が逆襲。37号車 KeePer TOM'S GR Supraがトップタイムをマークして、新型車両のデビューレースに華を添えることになった。2位はQ1トップだった8号車 ARTA NSX-GTで、3位には36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組、BS)が3位に、4位に100号車 RAYBRIG NSX-GTが入り、フロントロー、セカンドローをトヨタとホンダが分け合う形となった。

ポールポジションのコメント

ニック・キャシディ選手

 ポールポジションを取れて最高の気持ちだ。言うまでもなくポールポジションからレースをスタートするのは最高だし。Q1のタイヤは8時半の段階で決めたので、あまりコンディションには合っていなかった。Q2で選んだ方のタイヤの方がよかったのでそれをポールにつなげることができた。

(Formula E参戦が決まって、日本でのレース活動をどうするのか問われて)来年から世界選手権となるフォーミュラ Eに参戦することは楽しみだ。これまでの6年間を過ごしてきた日本のレースを僕はとてもリスペクトしており、トヨタとの関係を含めて叶うならば続けたいと思っているが、今後さまざま調整して発表していきたい。

平川亮選手

 今年から新しくクルマも変わり、開幕戦の場所も変わったが、今年は富士のレースが多いので、その中で速さを見せられたのはいいことだ。今日はこれからすぐに決勝が始まるので、集中してレースに臨みたい。Q2で選んだタイヤはハードタイヤで決勝でスタートするにはその方が嬉しいと思っていたが、そちらが選ばれたのでほっとしている。

ポールからスタートした37号車 KeePer TOM'S GR Supraがレースを支配、徐々にGRスープラ勢が上位に

GT500のスタートシーン

 路面温度(レース中には32℃まで上がっている)や気温が上がるという真夏の夏の富士のような環境の中で、レースは15時にフォーメーションラップからすぐにスタートとなった。

 スタートで飛び出したのはポールを取った37号車 KeePer TOM'S GR Supra。2位には予選2位からスタートした8号車 ARTA NSX-GT、3位には予選4位からスタートした100号車 RAYBRIG NSX-GTが1コーナーで浮上。予選3位の36号車 au TOM'S GR Supraは4位に下がることになった。

 そのオープニングラップに、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/平峰一貴組、BS)のリアに64号車 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹、DL)のフロントが突っ込むという形になり、12号車はリアを大破してストップし、リタイアになってしまった。64号車はその後修復のためにピットに入り、修復後に再び走り出している。ただし、周回遅れになってしまい、上位争いの機会は逸してしまった。

 レースは37号車 KeePer TOM'S GR Supraが徐々に2位以下を離していく展開に。2位の8号車 ARTA NSX-GTはタイムが上がらず、100号車 RAYBRIG NSX-GT、au TOM'S GR Supraに次々と抜かれる展開になった。さらにその10周後には粘っていた100号車 RAYBRIG NSX-GTも抜かれて、トムスチームの1-2体制が確立した。

 ホンダ勢は予選ではQ1突破に失敗した17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)が徐々に順位を上げてきてトップ争いに加わるかと思ったが、ピットストップを終えてこれから前の車を追い上げようとする矢先に、2コーナーの先で電気系とみられるトラブルでコースサイドにマシンを停め、リタイアになってしまった。

セーフティカーでリードはなくなるが37号車 KeePer TOM'S GR Supraがそのまま優勝

 レースは中盤となる30周前後に上位各車がピットイン。2位を走っていた36号車 au TOM'S GR Supraが入り、その次の周に3位を走っていた100号車 RAYBRIG NSX-GT、さらにその次の周にトップの37号車 KeePer TOM'S GR Supraが入り、これで順位がほぼ確定した状況になった。全車ピットストップが終わり順位が落ち着くと、トップを走っていた37号車は2位の36号車に20秒近い差をつけ独走。これでレースは決まったかと思われた。

 ところが、37周目にGT300車両がコースの真ん中でスピンして停止するというインシデントが発生。この車両を処理するためにセーフティカーが出ることになり、37号車のリードは一挙に消滅することになった。

 セーフティカー解除後、3位の100号車 RAYBRIG NSX-GTは上位との差が詰まったところで前のトムス2台を追い抜きたいところだが、後方から38号車 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明組、BS)、14号車 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔組、BS)が迫ってくる状況に。38号車をオーバーテイクした14号車が100号車に迫る。結局1コーナーから2コーナーの攻防で、100号車は2台のGRスープラの攻撃に耐えられず、相次いで抜かれ、5位に転落した。

 これにより、GRスープラ勢は37号車、36号車、14号車、38号車の順で1-2-3-4フォーメーションを確立。レースはその4台が10秒以内で競うという展開に。特に2位を走る36号車はチームメイトの37号車に対して1秒以内で激しく追い上げており、レースはこの2台のバトルに注目が集まっていた。

 だが、関口雄飛選手がドライブする36号車 au TOM'S GR Supraは徐々に遅れていき、3位を走る坪井翔選手の14号車 WAKO'S 4CR GR Supraが残り3ラップの段階で0.3秒差まで詰める。さらに、39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太組、BS)が5位を走っていた100号車 RAYBRIG NSX-GTをオーバーテイク、これでなんとGRスープラ勢は1-2-3-4-5フォーメーションというデビューレースとしてこれ以上望めないような最高の形でチェッカーに向けて走行を続けた。

 レースは37号車 KeePer TOM'S GR Supraが優勝。2位は同じトムスチームの36号車 au TOM'S GR Supra、3位は14号車 WAKO'S 4CR GR Supra、4位は38号車 ZENT GR Supra、5位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraで、GR Supra+ブリヂストンタイヤという5台で1-2-3-4-5のままゴール。デビューレースでこれ以上ないような結果を残した。なお、GT300でもJAF-GTのGRスープラが優勝しており、2019年のデトロイトモーターショーで豊田章男社長の「Supra is Back」という復活宣言で世界初公開されたGRスープラのGT500車両、GT300車両が富士スピードウェイを席巻した「GRスープラの日」となった。

2位は36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)。トムスは1-2フィニッシュ
3位は14号車 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔組)。GRスープラが1位から5位までを占めた
GT500クラス 決勝レース結果
順位カーナンバー車両ドライバータイヤ周回タイム(2位以下は差)
137KeePer TOM'S GR Supra平川亮/ニック・キャシディBS661:53'16.252
236au TOM'S GR Supra関口雄飛/サッシャ・フェネストラズBS665.117
314WAKO'S 4CR GR Supra大嶋和也/坪井翔BS667.345
438ZENT GR Supra立川祐路/石浦宏明BS6610.278
539DENSO KOBELCO SARD GR Supra中山雄一/山下健太BS6621.534
6100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/牧野任祐BS6624.7
73CRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手晃平/千代勝正MI6631.091
88ARTA NSX-GT野尻智紀/福住仁嶺BS6633.634
919WedsSport ADVAN GR Supra国本雄資/宮田莉朋YH6637.412
1024リアライズコーポレーション ADVAN GT-R高星明誠/ヤン・マーデンボローYH661'03.505
1123MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI651 Lap
1216Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/笹原右京YH633 Laps
1364Modulo NSX-GT伊沢拓也/大津弘樹DL624 Laps
R17KEIHIN NSX-GT塚越広大/ベルトラン・バゲットBS2838 Laps
R12カルソニック IMPUL GT-R佐々木大樹/平峰一貴BS0-

 ホンダ勢の最上位は100号車 RAYBRIG NSX-GTの6位、日産勢の最上位は3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正組、MI)の7位という結果になった。

GT500 優勝後のコメント

ニック・キャシディ選手

 ポールトゥーウィンを実現して最高にハッピーだ。セーフティカーが入りリードがなくなったが、チームメイトがとてもいい仕事をしてくれた。TRD、トムスチーム、ブリヂストンなどの関係者のハードワークに感謝したい。

 今日の勝因はチームが正しいタイヤを選択したことにあると思う。次戦ではウエイトが40kgになるので、うちで寝てようかな……(笑)。これまでSUPER GTのシリーズ戦での富士のレースはいつもハンデウエイトが乗ったレースしかしていなかったので、ノーハンデの富士のレースで勝てたことは嬉しい。

GRスープラがGT500、GT300両クラス制覇した優勝記者会見。右奥がニック・キャシディ選手
平川亮選手

 優勝できてすごく嬉しい。昨年からGRスープラの開発にも関わってきて、TRDやブリヂストンも苦労しながらクルマを作り上げてきたので実ってよかった。次も富士なので、ウエイトが重たくなるが、課題は見えてきているので、それらを修正しつつもっと速いクルマを仕上げていきたい。

(NSX勢が決勝で失速したのを聞かれて)NSXとの一番の違いはタイヤ選択だと思う、NSXの上位勢がどのタイヤを使っているのかはスタート時には分かっていた。そのタイヤ選択であればレースをスタートして始めの数周頑張れば引き離せると思っていた。(SCが出たときの心境を聞かれ)20秒のギャップがなくなったのでアンラッキーだとは思ったけど、20秒のリードあると逆に集中力が途切れていたかもしれないので、集中できたという意味ではよかった。

平川亮選手
GT300クラスの優勝は52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)

【お詫びと訂正】記事初出時、GT300クラスのGRスープラについてマザーシャシーと記しておりましたが、正しくはJAF-GTとなります。お詫びして訂正させていただきます。