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日産、悪路走行も可能な災害復旧支援コンセプトカー「RE-LEAF」
フロントフェンダーに2つの耐候性外部コネクター、トランクに3つのコンセント
2020年9月29日 20:08
- 2020年9月29日 発表
日産自動車は9月29日、自然災害などによる停電時にEV(電気自動車)の大容量のバッテリーから非常用電力を供給できる、災害復旧支援を目的としたコンセプトカー「RE-LEAF」を欧州で発表した。
今回のコンセプトカーはEV「リーフ」をベースに製作したコンセプトカーで、車名は災害対策における緊急対応(emergency REsponse)、人道支援(humanitarian REcovery)、コミュニティの強靭性(REsilience)に由来する3つの「RE」から名付けられた。
RE-LEAFには瓦礫など障害物の多い災害時の悪路走行を可能とする改良を加えるとともに、簡単に電気を取り出せるよう、クルマのフェンダー部分に耐候性の高い電気ソケットを取り付け、搭載する大容量リチウムイオンバッテリーから110~230Vの電気機器へ電力の供給を可能とした。高められた悪路走破性により、被災地域を自由に移動し、復旧作業に必要な照明や作業ツールの電源としてだけでなく、通信や冷暖房など、被災者が必要とする機器に電力を供給する役割を担う。
車体には古代ギリシャ語で「electron(電子)」の意味をもつ「琥珀」にちなんだ琥珀色(アンバー)のアクセントが与えられたほか、瓦礫や障害物のある悪路走行を可能とするため最低地上高を225mmに引き上げ、専用のアンダーガードでクルマの床下を保護。また、17インチのオールテレインタイヤを装着するとともに、専用のオーバーフェンダーを装着。さらにルーフに取り付けられたLEDライトバーを琥珀色に点滅させることで車両の接近を歩行者などに知らせる。
RE-LEAFに搭載したリチウムイオンバッテリーは大容量で複数の電気機器に安定した電力供給を可能にしており、簡単に電気を取り出せるようにフロントフェンダーに2つの耐候性外部コネクター、トランクに3つのコンセントを装備。また、災害復旧支援活動に必要な機器を収納できるよう後部座席を取り外すとともに、前部座席とラゲッジスペースをケージにより分離。ラゲッジスペースには32インチモニターと引き出し式デスク、通信機器を装備することで、被災地における復旧支援活動をサポートする。
今回の発表について、欧州日産でプロダクトマーケティングを担当するヘレン・ペリー部長は、「日産は、電気自動車が単なる移動手段としてだけでなく、人々の生活に豊かさをご提供できる方法を常に模索しています。『RE-LEAF』のようなコンセプトカーは、災害復旧支援における電気自動車の可能性、よりスマートでよりクリーンなテクノロジーが救命活動、災害復旧支援などの一助となることを提案しています」と述べるとともに、「電気自動車は、災害対策の手段として注目されているだけでなく、数多くの電気自動車が電力系統とつながることで、仮想発電所として電力の供給を可能とするなど、他に類を見ない可能性を秘めています」とコメントしている。