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ホンダ、新型「N-ONE」開発責任者の宮本渉氏による概要説明レポート

ボディもシャシーもエンジンもトランスミッションもすべて刷新

新型N-ONEのグランドコンセプト

 本田技研工業は11月20日に発売する新型軽自動車「N-ONE」の説明会を行なった。説明会には開発スタッフのほか、販売や営業を担う商品ブランド部も参加した。

 最初に商品ブランド部の矢野氏は、ここ4~5年で軽自動車の市場は「N-BOX」のようなスーパーハイトワゴンが勢力を伸ばし、「N-WGN」やN-ONEといったハイトワゴンは縮小傾向にあることを解説。それを踏まえつつ、ハイトワゴン市場のみを考察すると、以前は日常の使い勝手を優先するユーザーが王道となっていたが、最近は“所有する喜びや誇りがある”“愛車で自分らしさを表現できる”といった価値観を持ち、使い勝手よりもデザインを重視する個性派ユーザーが増えていることを紹介した。

本田技研工業株式会社 商品ブランド部 商品企画課 矢野達也氏

 続けて、N-ONEのユーザー層が性別年齢を問わず幅広いことと、独身や子離れをしてクルマを自分のために使う層が多いことが特徴だと紹介。特にNシリーズの中でもN-ONEは“自己表現の道具”として捉えているユーザーが多いので、そういった持ち物にこだわりを持つユーザーのニーズに応える商品にしたという。これにより同じハイトワゴンでもN-WGNとのすみ分けはきっちりできていて、よりNシリーズのユーザー層が広がる期待感を言及した。

 また新型N-ONEのポイントは、高い質感、ロングドライブを可能にするツアラー性能、安全装備ホンダ センシングの標準装備、N360から継承しているタイムレスデザインの4項目を挙げた。さらに3グレードでの展開に加え、特にRSには要望の多かった6速MTを追加したことをアピールした。

 最後にターゲットは、流行に左右されず昔から残り続けているものを愛する「レトロ・カルチャー」といった世界観を持つ20~30代の男女と、あえて若者に向けてN-ONEの持つ普遍的な魅力を伝えていきたいと締めくくった。

市場状況
ハイトワゴン市場の変化
N-ONEのユーザー像
N-WGNユーザーとの違い
新型N-ONE 投入の狙い
N-ONE 商品評価
セールスポイント
グレード展開
新型N-ONE コミュニケーションフレーム
訴求展開

新型N-ONEはどこが新しくなったのか?

本田技研工業株式会社 四輪事業本部 ものづくりセンター 開発責任者 宮本渉氏

 続いて登壇した開発責任者である宮本氏は「今回はデザインを大きく変えないというモデルチェンジにチャレンジした」と開口一番に明かした。そして「日本人の豊かな生活のために……」というテーマをベースに新型の開発が始まったと紹介。また、N-ONEユーザーを改めて見つめ直すと、愛車にニックネーム付けたりと、クルマをモノとして捉えるのではなく、愛している人が多いことに気が付いたという。そこで“クルマと人との関係”をいちから考え直し、「末永く愛せるクルマを」というグランドコンセプトを導き出し、そのために必要となる要素を「スタイル」「楽しさ」「安心」の3つにしぼったという。

 スタイルについてはホンダの乗用車の原点であるN360の価値を、次の時代へとつなぐ普遍的なものを目指し、シンプル・モダンに進化させたアイコンフェイスを考案。フルLEDを採用し、クッキリとハツラツとしたタイムレスデザインな表情を生み出したという。インテリアについては“ミニマム”を掲げ、極限まで余計なものを削ぎ落し、くつろげる広さと運転の楽しさの両立を図ったと解説した。

 またユーティリティも徹底的にこだわり、より近い位置により使いやすいレイアウトを考慮しながら、ドリンクホルダー数を増やし、USBポートを充実させ現行モデルを超える利便性を実現。ボディカラーもそれぞれのグレードの世界観を表現した配色を設定したという。

グランドコンセプト
N-ONEの目指す姿
エクステリアデザインの考え方
フルLEDヘッドライト
フルLEDリアコンビランプ
エクステリアデザイン
インテリアデザインの考え方
インテリアデザイン
くつろげる広さが感じられるように
くつろげる豊かなユーティリティ
1人1人が運転に集中できるように
グレード別 ボディーカラーラインアップ

ダイナミックコンセプトは「軽快 快適 ミニツアラー」

 続けて宮本氏は、グランドコンセプトとして掲げた「末永く愛せるクルマを」末永く、いつまでも楽しく満足に乗ってもらえるように「軽快 快適 ミニツアラー」というキーワードにダイナミックコンセプトを設定。高いスタビリティ性能とホンダ センシングによる安全の両立、さらに高い静粛性による快適さ、軽快なハンドリングと加速性能により運転の楽しさを追求したという。

 それを実現するために第2世代のNシリーズでは、エンジンとトランスミッションを刷新。また、軽自動車では初となるFFターボ+6速MTを設定したことも言及。NA(自然吸気)エンジンは、ロングストロークとVTEC機構により低燃費と出力を両立、ターボは電動ウエイストゲートを採用することで、低燃費とレスポンスを両立させたという。

ダイナミックコンセプト
パワートレーン
パワートレーン

 また新たにRSグレードに設定された6速MTは、最適なギヤレシオとショートストローク、高トルク対応クラッチを採用したことで、爽快なシフトフィーリングを実現できたと解説。さらに内部には急な操作時のシフトショックを軽減させる「スピードコントロールピークトルクリミッター」とクラッチペダルに伝わる振動を軽減させる「クラッチダンパー」機構を採用するなど、要望に応えるだけでなく本気で開発を行なったことを明かした。

 一方、新型CVTもより早く加速Gを立ち上げ維持できるように制御、また、ブレーキに合わせて賢くシフトダウンする「ブレーキ操作ステップダウンシフト制御」を搭載。さらに前モデルの「L」レンジよりも緩やかなエンジンブレーキを作動させながらも、ブレーキを踏めばLレンジ相当のエンジンブレーキとなる「S」レンジを採用。安心で快適でダイナミックなドライビングを楽しめるように工夫したという。さらにRSグレードは専用セッティングが施され、SレンジのCVT変速制御MAPを独自のものに変更し、低開度のレスポンスを向上させているという。ブレーキ操作と連動したシフトダウン制御も、RSだけは“減速のため”ではなく“加速準備のため”のダウンシフトに変更されているという。

MT(マニュアルトランスミッション)
スピードコントロールピークトルクリミッター、クラッチダンパー
MT(マニュアルトランスミッション)
CVT制御
CVT制御(RSグレード専用セッティング)

 プラットフォームはクルマ本来の運転の楽しさを実現するため、ボディもシャシーもすべてを刷新。高効率配転骨格と高粘度接着剤併用接合により、前モデルよりもホワイトボディの状態で7%の軽量化に成功。さらに高剛性、NV(ノイズ・バイブレーション)性能も高められたという。

 一新されたシャシーも、乗り心地を向上させるサイドフォースキャンセルスプリングやリニアなステアリングフォールを生み出すEPS新制御ロジック、スムーズなコーナリングを実現するAHA(アジャイルハンドリングシステム)を採用。さらに、Nシリーズでは初めて2WD(FF)の全グレードに、フロントとリアのスタビライザーを採用し、前モデルとダイナミック性能を比較しても、軽快感、操安性、旋回性能、静粛性、乗り心地など、すべてにおいて向上しているという。

プラットフォーム
ホワイトボディ
シャシー
ダイナミック性能

 最後に「心を預けられる安心感」を実現するために、サイドカーテンエアバッグなど全方向に対する衝突安全機能を標準装備としつつ、N-ONEとしては初めてホンダ センシングを搭載。全グレードで軽自動車トップクラスの予防安全性能を実現していることを解説。また、ACC(アダプティブクルーズコントロール)を軽自動車のMTに初めて搭載したことと、このACCを搭載するためにオートブレーキホールド付きの電子制御パーキングブレーキを採用し、足下スペースの拡大に貢献していると紹介した。

 また、防音材を効果的に配置したことで静粛性を高めていることも言及。特にプレミアムとRSグレードには、軽自動車ではあまり使われることのない、遮音機能付きガラスを採用し、街中から高速道路まで、トップクラスの静粛性を実現したことを解説。さらにメーターにもグレードごとにそれぞれ個性を持たせたこと、軽自動車で初めて後部座席の荷物の置き忘れなどを警告する「リアシートリマインダー」、クルマから離れると自動的に施錠する「オートドアロック機能」、合わせて自動的にドアミラーが格納する「オートリトラミラー機能など、ユーティリティの高さもアピールして締めくくった。

衝突安全
予防安全
オートブレーキホールド/電子制御パーキングブレーキ
静粛性
静粛性
異形2眼コンビネーションメーター
ユーティリティの機能搭載・進化