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藤島知子の“女性同士のガチバトル”競争女子「KYOJO-CUP」レポート

第7回:データ取りをしながら挑む2020年第3戦

11月23日に「KYOJO CUP SUPPORTED BY MUSEE PLUTINUM 第3戦」が開催された

 11月23日、大きくそびえる富士を望む青空のもと、富士スピードウェイで「KYOJO CUP SUPPORTED BY MUSEE PLUTINUM 第3戦」が開催された。

 ウエストレーシングカーズ製「VITA-01」を使って競われるこのレース。いつもは富士チャンピオンレースシリーズの中で、「FCR-VITA」とKYOJO-CUPの2レースが2日間に分けて開催されているが、コロナ禍の影響で開催日が後ろ倒しの日程に変更されたこともあり、1dayで2レースを開催。KYOJO-CUPに参戦するマシンは、FCR-VITAに出場するドライバーと1台のマシンをシェアして走らせるケースが多い。KYOJO-CUPに参戦する女性ドライバーのうちの7名は、1日で2レースをこなすスケジュールとなった。

 第3戦となる今回の大会は、新型コロナウイルスの感染予防対策として、観客はパドックに入場することはできず、それ以外のエリアで観戦する形がとられた。応援に駆けつけてくれるレースファンと交流するといった賑やかな光景がなかなか戻ってこないのは残念ではあるが、走行中はコーナーのあちこちでカメラを構えていたり、スタンドや丘の上で観客が手を振る様子も見られたりして、距離はあれども心は通じている。SNSのコメント欄を通じて、応援メッセージが届けられることにも励まされた。

 晴れた朝は少し冷え込んだが、午後は曇りの天候に。7月に開催された富士スピードウェイの開幕戦も、その3週間後に鈴鹿サーキットで初開催となった第2戦もひどい豪雨に見舞われたため、久しぶりにドライコンディションで走行できるのは嬉しい。

富士山に見守られながら、久しぶりにドライコンディションでのレースができた

 今回のKYOJO-CUPには、2020年のシリーズで最も多い14台のマシンがエントリー。開幕戦で戦ったメンバーが再び戻ってきていたほか、今回は#522 岩岡万梨恵選手が初参戦となる。第2戦で鈴鹿に遠征してきた私としては、レース前に得た成果を今回のレースに少しでも生かしていきたいところ。ところが、なかなか期待通りにタイムが縮められないのもレースの難しいところ。レースウィークにこれまでのセッティングのままでニュータイヤを履かせてみたところ、コーナーでクルマの姿勢が変わっていかず、セッティングを見直すことに。

タイヤはダンロップのVITA専用タイヤ
レギュレーションでは、先にレースが行なわれる「FCR VITA」でニュータイヤを装着しなければならない。その後、同じマシンをKYOJO-CUPでシェアする場合は、ニュータイヤまたはFCR VITAのレースで履いたタイヤをシェアしてもいいことになっている。また、KYOJO-CUPのみ参戦する場合は、ニュータイヤを装着して走らなければならない

 VITA-01は、リアミッドに1.5リッターのエンジンを搭載する後輪駆動のマシン。Hパターンの5速MTを右手で操作し、溝付きのスポーツラジアルタイヤを装着して走る。スリックタイヤを履き、低重心でレスポンスに優れた走りを見せるフォーミュラカーと比べると、カウルでタイヤを覆い、溝付きのラジアルタイヤを装着したVITA-01は車重が少し重く、タイヤのグリップ力も低い。一方で、カーブやブレーキングで慣性に振り回されやすく、重心が高いツーリグカーとも異なる。VITA-01は、まさにその2つの中間的な動きをするマシンといえるが、わずかなセットの変更でも、コーナーの進入、立ち上がりの姿勢変化のリズムが変わったりして、それに合わせた走らせ方が求められる。セットを変えてトライしてみるが、レース当日はフリー走行がないため、自分で感触を確かめることができない。走り出してしまえば、それに合わせて走らせるしかない。

予選

第3戦の予選がスタート

 予選は13時からスタート。空は重たい雲で覆われてきているが、なんとか持ち堪えてくれそうだ。ピットロードに並ぶマシンに続く形でコースインしていく。11月下旬にしては暖かい気温ではあるが、タイヤは何周で温まってくるだろうか。ステアリングを切り込んだり、ブレーキングで路面に接地するタイヤの感触を確かめながら、ペースアップしていく。それぞれのマシンは、隊列に続いて走るマシンもあれば、先行車の隊列に詰まることを避けるために間隔を開け、単独走行を狙うマシンもいたりと、タイムを叩き出すための作戦もさまざまだ。

 予選は20分間の計測。3ラップが過ぎて周回を重ねていくと、各マシンは次々にベストラップを更新していく。私は5ラップ目で第1、第3セクターでそれまでよりもタイムを削れたため、2分2秒485で8番手に。トップは午前中のFCR-VITAのレースで表彰台を競い合っていた#38 三浦愛選手、#86 猪爪杏奈選手が2分00秒台を刻んでいたが、8ラップ以降、それまでトップだった#38 三浦選手がピットインしたあとで、#86 猪爪選手が2分00秒581でポールポジションを獲得。そこに続く各車のタイムも接近しており、100分の1秒というわずかな差が決勝レースのグリッド位置を大きく左右した。

 今回のレースウィークは、走行時のオンボード映像を録画できるモータースポーツ専用設計のカメラとラップタイマーを装着して走行した。走行を終えたマシンのデータをWi-Fi経由でPCに送信することで、走行時のスロットル開度や車速などの情報を確認することができる。レースでは、1台のマシンを他のドライバーとシェアして走ることから、今回はFCR-VITAのレースで走った見崎清志さんのデータと比較。各コーナーを通過する際のボトムスピード、スロットルを開けるタイミング、車速の伸びかたなど、自分の操作の無駄な部分をグラフを重ねて確認。なぜ理想的な操作ができていないのかを検証していく。走行中の操作で、マシンの挙動がどうだったか、なぜアクセルを踏めない状況だったのかなどを思い出しながら、次の走行に活かしていった。

オンボード映像を録画できるカメラとラップタイマーを装着して走行。集めたデータをPCに送信することで、どのような走行をしていたのかが分かる
走行データを見て、どんな状況だったのかを思い出しながら次の走行に活かす

決勝

 決勝レースを控え、15時にコースインを開始。各車はコースを1周して、マシンをグリッドに着けた。日中のわりに少し肌寒くなってきている感じもするが、コースコンディションはドライをキープ。私は予選と変わらないセットで臨むことにした。

決勝レース、スタート

 フォーメーションラップをこなして、イン側の8番グリッドに着くと、レッドシグナルが点灯して消灯し、レースがスタート。すぐにクラッチを繋いだつもりが、エンジン回転が少し高かったせいか、ホイールスピンしてしまって、思うようにクルマが前に進んでいかない。もたついていたら、あっという間に後続車両が私を抜き去っていく。遅れを取り戻そうと1コーナーでは我先へと一斉に突き進んでいくマシンの隊列に紛れたが、スタートダッシュで遅れた流れを取り戻せず、1コーナーを過ぎるころには3台のマシンに抜かれてしまう始末。気を取り直して前へ前へと進んでいく。マシンはいくつかのグループに分かれてまとまって走っていたが、トップ集団は#86 Dr.DRY VITAの猪爪選手、#38 LHG Racing YLTの三浦選手、スタートで出遅れた#37 Keeper VITAの翁長実希選手が3番手を取り戻すなど、激しいせめぎ合いをみせていく。

激しいトップ争いが繰り広げられる

 10番手まで順位を落とした私は、#48 ワコーズEDニルズVITAの星七麻衣選手、#11 D.D.R. vita01の斉藤愛未選手に連なって走る。後続車と間隔が開いたため、追われるプレッシャーはなかったが、7ラップ目の1コーナーとダンロップコーナーのブレーキングで斉藤選手との距離を徐々に縮めていく。しかし、前を狙いたい気持ちが空回りしてアクセル操作が粗くなり、カーブでクルマの姿勢を曲げられていない。なかなか前に出られない自分が恨めしいと思いながら、平静を保つようにと心掛ける。

前に出たいと気持ちが先走る

 2ラップ目のパナソニックコーナーでは、5番手までジャンプアップした#522 岩岡選手がスピンしている。

 周回を重ねて7ラップ目に入ると、中盤グループでは、激しい4位争いが繰り広げられていた中、序盤の遅れを取り戻す勢いを見せていた#13 オグラクラッチ☆VITA-01の辻本始温選手がダンロップコーナーで痛恨のスピン。私は前を走る#11 斉藤選手に近づき、ロングストレートのスリップストリームに乗って、前に抜け出ようとしていたが、ダンロップコーナーで停まっていた辻本選手を避けて通過する際に前を走る星七選手との距離が離れてしまった。少しでも前を狙いたい。でも、ミスをすれば後続車に追いつかれてしまう。マシンのオーバーステアがキツくなっていく中で、ハンドル操作とペダルワークのタイミングを変化させながら走り続けていった。前走車との距離がなかなか縮まない状況での12周はとても長く感じる道のりだったが、第3戦は7位という結果となった。

長く感じられる12周を走りきり、結果は7位

 表彰台は、初優勝を獲得した#86 Dr.Dry VITAの猪爪杏奈選手。2位は#38 LHG Racing YLTの三浦愛選手、3位は#87 おさきにどうぞ☆VITAの山本龍選手が飾った。

1位は#86 Dr.Dry VITAの猪爪杏奈選手
2位は#38 LHG Racing YLTの三浦愛選手
3位は#87 おさきにどうぞ☆VITAの山本龍選手
初優勝した#86 Dr.Dry VITAの猪爪杏奈選手
表彰台

 残すは2021年1月30日に同じく富士スピードウェイで行なわれる最終戦。これまでにない真冬の開催となるが、私としては今回の失敗を課題として捉えながら、次戦に向けて地道に取り組んでいきたいと思う。