横浜ゴム、AIを活用したゴム配合物性値予測システムの実用開始

AI利活用構想「HAICoLab（ハイコラボ）」に基づいて開発

　横浜ゴムは2月15日、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自に開発し、タイヤ用ゴムの配合設計において2020年12月より実用を開始したことを発表した。

　このシステムは、横浜ゴムが2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab（Humans and AI collaborate for digital innovation：ハイコラボ）」に基づいて開発したもので、人がゴムの配合設計パラメーターを入力するとAIが予測される配合物性値を出力。さらに、人が予測された結果を判断しやすくするために予測値の確からしさを表示する機能や、目標とする配合物性値に近しい配合を探索する機能も有している。

　その結果、膨大な仮想実験が可能となり、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発にくわえ、経験の浅い技術者による配合設計が容易になることが期待できる。今後はタイヤのみならず、ホースやコンベヤベルトなど多岐にわたるゴム商品開発での利用を開始するとのこと。

　横浜ゴムは2017年にも「マテリアルズ・インフォマティクス」によるゴム材料開発技術、インフォマティクス技術を活用したタイヤ設計技術を発表するなど、材料およびタイヤの設計開発プロセスでAIを活用した技術開発を推進。

　HAICoLabは、人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かした“人とAIとの協奏”によってデジタル革新を目指す構想で、人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集とAIによる予測・分析・探索を繰り返すことで未踏領域での知見の発見を実現可能にするもの。

　現在はこのHAICoLab構想のもと、プロセスに加え製品やサービスなどの革新を目指しAI利活用を推進し、ユーザーエクスペリエンスの向上および内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現を目指すとしている。