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トヨタが「Nutanix Cloud Platform」を導入 VDI環境への移行を推進して大幅なコスト削減を目指す

2021年6月8日 発表

ハイパーコンバージドインフラストラクチャーを導入し、新たな働き方と業務効率化を実現

 ニュータニックス・ジャパン合同会社は6月8日、トヨタ自動車が自社製品「Nutanix Cloud Platform(ニュータニックス クラウド プラットフォーム)」を採用して、設計開発部門向けに3D CADソフトウェアが稼働する仮想デスクトップ(VDI)環境を構築し、新たな働き方を実現したことを発表した。

 トヨタ自動車は、設計開発部門における在宅勤務制度の普及に加え、この取り組みにより、今後も段階的にVDIへの移行を進め、共用端末や低稼働端末をVDIに集約していくことで最終的に端末数を約半分に削減し、大幅なコスト削減を目指すとしている。

Nutanix Cloud Platform導入の背景

 グループ全体で約36万人の従業員を抱えるトヨタ自動車は、2016年に働き方改革へのコミットを表明し、約1万3000人の従業員を対象に在宅勤務制度を拡大。しかし、在宅勤務制度の浸透度合いは部署によってバラつきがあり、設計開発部門では全社員の在宅勤務をサポートできていなかったという。そのため、多くの従業員は3D CADソフトウェアを活用した設計業務を行なう際には、オフィスに設置されている物理ワークステーション端末を使用し、加えてDX開発推進部もワークステーション端末の維持管理や調達コストなどの課題を抱えていたという。

 トヨタ自動車はこうした課題の解決に向けて、高性能なアプリケーションや3D CADソフトウェアが稼働するVDI環境を構築するため、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)の導入を検討。結果、ビジネス環境の変化に素早く追随できるNutanixの柔軟性と拡張性に加え、HCIの仮想環境上で3Dグラフィックスの描画に必要なvGPUの機能をサポートできる点から「Nutanix Cloud Platform」の採用を決定したとのこと。

 新型コロナウイルスの感染拡大により在宅勤務せざるを得ない状況になった際、トヨタ自動車は当初翌年予定していた拡張計画を大幅に前倒しし、約1000台分のVDI環境をわずか2か月ほどで構築。設計開発部門の従業員からは「新たな働き方が可能になった」との声が上がったという。このVDI環境が整備されたことで、自宅でもオフィスと同様に設計業務を行なうことができるようになった。

 トヨタ自動車のDX開発推進部 孝久正信氏は「今後はトヨタだけでなく、トヨタグループにも同様の仕組みを展開していく予定です。将来的にはコンピュータ支援エンジニアリング(CAE)ソフトウェアもVDI環境で使えるようにして、設計開発部門の働き方改革をさらに推し進めていきたいと考えています」とコメントしている。

 Nutanixのアジア太平洋/日本担当セールス部門シニア・バイスプレジデントであるMatt Young氏は「トヨタ自動車は製造業をリードするグローバル企業として、いち早く働き方改革の推進に取り組んでこられました。これまで実現が難しいと考えられてきた製造業における在宅勤務をトヨタ自動車がNutanixの導入により実現されたことを大変嬉しく思います」と述べている。

設計開発部門を活用する従業員のコメント

 先進ボデー開発部 辻奈緒美氏「コロナ禍に伴い、子供が通う小学校が2020年3月から休校になり、私自身も在宅勤務せざるを得なくなりましたが、VDIを通じて3D CADを利用できる環境が整備されていたおかげで、自宅でもほぼ不自由なく設計業務を行なえています」

 商用ZEV基盤開発部 市田有吾氏「製造現場に出向いて現場の方々とやりとりする際、やむなく紙の図面を使って説明していました。『この場で3D CADを使って説明できればもっとスムーズに意思疎通が図れるのに』とずっと思っていました。現在は、現場の担当者と3D CADのモデルを一緒に見ながらより具体的に細かい議論ができるようになりました」

 ZEV B&D Lab上畑賢美氏「取引先や他部署との打合せの際、従来は図面をあらかじめ印刷して外部に持ち出す必要がありましたが、今ではその場で3D CADの画面を示しながらコミュニケーションできるようになりました。その場で判断ができるようになったことでより効率的に働けるようになり、持ち帰る仕事が減りました」