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トヨタ、世界累計販売5000万台を突破した「カローラ」シリーズ 米国での55年の歴史を振り返る
2021年8月27日 15:43
- 2021年8月26日(現地時間) 発表
いつの時代も庶民に信頼される価値を提供してきたカローラ
トヨタ自動車は8月26日(現地時間)、米国の公式サイトにてカローラシリーズの累計販売台数が5000万台突破を記念して、55年以上の生産実績を持ち世界でもっとも売れている車種の1つになったカローラの歴史を振り返っている。
トヨタは1966年に初代カローラを発売し、1968年春には約1700ドルで米国でも発売を開始。当時のガソリン代は1ガロン(約3.8L)0.35ドルで、平均世帯収入は7700ドル。初代カローラに乗っていた当時のドライバーは、オプションのAMラジオから、オーティス・レディングの「ドック・オブ・ベイ」やサイモンとガーファンクルの「ミセス。ロビンソン」、ビートルズの「ヘイ・ジュード」といったヒットソングを聞いていた。
やがて「より広いスペース」「快適さ」「パフォーマンス」など、急速に進化したカローラは、そのクラスのベンチマークとなりトヨタブランドのトップモデルの1つに成長。そして半世紀以上に渡って何百万人もの人々の生活の中で重要な役割を果たしてきたという。
現行モデルのカローラは、高度な技術、スポーティなスタイル、トップレベルの快適性、好燃費に加え、自動緊急ブレーキを備えたトヨタ セーフティ センス2.0を標準で搭載。さらに、セダンやスポーティなハッチバック、ハイブリッド、さらに史上初のコンパクトクロスオーバーであるカローラ クロスなど多様に進化しながらも、1960年代の終わりにそうであったように、現代でも低コストでの所有を実現。カローラの伝統を継承し続けている。
オイルショックがカローラ飛躍のきっかけに
1973年10月、オイルショックでガソリン価格が上昇し、ガソリンスタンドに長蛇の列が発生したとき、数ガロンのガソリンで1週間以上走れるカローラは販売台数が急上昇。その後、スポーティなファストバッククーペやリフトバックバージョンなど、さらに多くのモデルを追加することでカローラはさらに急速に魅力を増していったという。
トヨタは1980年代半ばから米国でカローラを生産するようになり、現在は2011年に新設したTMMMS(Toyota Motor Manufacturing Mississippi, Inc.)で生産され、さらにアラバマ州ハンツビルにある新工場マツダ・トヨタ・マニュファクチャリングでは、今夏以降に新型カローラ クロスの生産が開始される予定となっている。
カローラは、絶え間なく変化するユーザーニーズを満たすために、常に進化を続けてきたという。
第一世代:1969年~1970年
初代カローラはシンプルなクーペスタイル。4ドアセダンと2ドアワゴンモデルが設定され、全方位を見渡せるすっきりとした鮮明なデザイン。その後、やや背の低いセミファストバックのルーフラインを備えた「カローラ スプリンター」も追加された。
エンジンのシリンダーヘッド、インテークマニホールド、バルブカバー、クラッチハウジングにアルミニウムを使用した1077ccの4気筒 SOHVエンジンを搭載。ホイールは12インチで、組み合わされるトランスミッションは4速MTのみ。60HPのエンジンは0-60km/h加速に約17秒かかり、推定燃費は20後半だったという。
1969年に発売されたカローラの2ドアセダンは1700ドル弱で、リクライニングシートやロック式給油口などを標準装備。このような細部へのこだわりは、自動車メディアやユーザーに感動を与え、カー&ドライバー誌の公道テストでは「インテリアのデザインだけでなく、床の形状に合わせて完璧に成型されたカーペットや、低価格を感じさせないように端が丁寧に束ねられたカーペットに至るまで、よくできている」と評価されたという。
第二世代:1971年~1974年
2代目カローラは、サイズが大きくなり、ホイールベースも少し長くなった。最高出力は73HPにアップし、カローラ初の2速ATがオプションで用意された。その後3速ATも追加。1972年には、88HPの1.6リッターエンジンと5速MTを搭載した「SR-5クーペ」が登場し、新型スポーツクーペ「セリカ」と合わせて楽しまれた。この頃カローラは、世界で2番目に売れている自動車にまで成長していたという。
第三世代:1975年~1979年
1.2リッター、1.3リッター、1.6リッターのエンジンが搭載され、ボディサイズもひとまわり大きくなった3代目。1976年にはファストバッククーペとリフトバックが追加され、フロントのスタイリングを一新。リフトバックはスポーツワゴンのようなスタイルで、後席のヘッドルームも確保し、スポーティかつ実用性の高いモデルとなった。
第4世代:1980年~1984年
4代目カローラの特徴は、大胆で角ばったデザインで、幅広いモデルバリエーションを展開した。新デザインでは、室内の広さと静粛性を重視し、アメニティを追加。米国モデルでは、75HPの1.8リッター OHVエンジンと、90の1.6リッターOHCエンジン「4A-C」を設定。2ドアモデルのフロントシートには、後席の乗降を補助するためにシートを前方にスライドさせると、元の位置とリクライニング角度に戻る「メモリー機能」を搭載した。
第5世代:1985年~1988年
さまざまな大幅変更のあった5代目カローラ。メインシリーズはFF(前輪駆動)に変更され、室内空間の拡大と全天候型のトラクションを向上。トヨタはゼネラルモーターズとの合弁会社NUMMI(ニューユナイテッドモーターマニュファクチャリングインク)を設立し、カリフォルニアでカローラの生産を開始。前輪駆動のエンジンはすべてSOHCタイプとなった。
「AE86」の車体番号で知られるカローラのFR(後輪駆動)モデルは、クーペとハッチバックの2種類があり、トップモデルの「GT-S」は1.6リッターDOHCエンジン「4A-GE型」を搭載。1987年にはFFのハッチバック「FX」が追加され、そのトップモデルである「FX16 GT-S」は4A-GE型エンジンを継承し、新たなホットハッチモデルとなった。FRのGT-Sは後に現実でもゲームでもドリフトの伝説マシンと呼ばれ、その精神は2022年のカローラ ハッチバックにも受け継がれているという。
第6世代:1989年~1992年
6代目カローラは、全モデルに16バルブDOHCエンジンを搭載し、4輪独立懸架を採用。すべてFFモデルに。カローラ オールトラックのワゴンとセダンには、四輪駆動システムを搭載。クーペはAE86と同様にリトラクタブルヘッドライトが採用され、SR-5とGT-Sの2種類を設定。GT-Sは4A-GEエンジン、専用ホイール、精悍なボディキットなどを装備したスポーティなモデルとなり、1990年~1991年にかけて135HPへと出力向上が図られた。
第7世代:1993年~1997年
米国ではセダンとワゴンのみのラインアップとなった7代目カローラは、デザインがよりカムリに近づき、キャビンサイズもカムリがミッドサイズになったのに対し、コンパクトセグメントに移行。1.6リッターと1.8リッターのDOHCエンジンが設定され、1997年のCEセダンは、人気の高い数々のオプションをセットにした。この年カローラが史上最高の販売台数を記録した。
第8世代:1998年~2002年
8代目カローラはさらに改良が施され、先代と同じホイールベースでありながら、より広い室内空間を実現。ユニボディの再設計により乗員の衝突防止性能を向上させ、サイドエアバッグを搭載。新開発されたオールアルミ製の直列4気筒1.8リッター DOHCエンジン(1ZZ-FE型)は、VVT-i(Variable Valve Timing with Intelligence)システムを採用し、120HPを発揮しながら燃費も向上させた。
第9世代:2003年~2008年
9代目となったカローラは、全長全高ともに拡大し、これまででもっとも広い室内空間を確保。また、スポーツチューンのサスペンションや専用ボディを採用した「カローラS」も登場。130HPのエンジンを搭載したカローラの燃費消費率は、5速MTで31MPG(EPA推定値)、4速ATで28MTG(EPA推定値)を達成。また、センターコンソールボックスには、14枚のCD(コンパクトディスク)を収納できるようにした。
2005年には「セリカGT-S」に搭載されている164HP高回転型1.8リッターエンジン(2ZZ型)に、6速MTとスポーツチューンサスペンションを組み合わせた、パフォーマンスチューンの「カローラXRS」を発売。9代目カローラについてカー&ドライバー誌は「フィット&フィニッシュのレベルは驚くべきものだ」と評価。2002年には全世界で累計2500万台の販売を達成した。
第10世代:2009年~2013年
10代目カローラでは、さまざまな面で洗練させることに注力し、「このクラスでもっとも静かなクルマに違いない、多くの高級車よりも風切り音が小さい」とMotor Trend誌が評価。ボディは以前よりもスマートになり、室内の広さは同等としたが、XRSはトルクの高いカムリの2.4リッターエンジンを搭載して、日常生活でのレスポンスを向上させたモデルとして復活。また、CD離れが進む中、カローラの上級モデルには、iPod接続機能やBluetooth、ステアリングホイールにオーディオコントロールを装備したJBLプレミアムオーディオが搭載された。
快適性とハイテク性は、コンパクトカー購入者にとってより高い優先順位を持つようになり、カローラはXLEグレードにはパワームーンルーフ(オプション)とJBLオーディオシステム(AM/FM/6ディスクCDチェンジャー、衛星ラジオ、8スピーカー付)が採用されている。
第11世代:2014年~2018年
11代目カローラは、彫りの深い新たなボディでデビュー。後部座席のレッグルームは41.4インチと、多くのミッドサイズおよびフルサイズセダンを上まわる広さを実現。また、運転席ニーエアバッグと助手席シートクッションエアバッグを新たに追加するなど、8つのエアバッグを標準装備。さらに「歩行者検知機能付プリコリジョンシステム」「ステアリングアシスト付レーンディパーチャーアラート」「フルスピード・ダイナミックレーダークルーズコントロール」「オートマチックハイビーム」に加え、自動緊急ブレーキを中心とした安全装置「Toyota Safety Sense-P」も標準装備とした。
また、プレミアム感のある素材を採用し、タッチスクリーン・オーディオシステムにBluetooth、USB、iPod接続機能を全車標準装備とし、「LE」にはオートエアコンも標準装備とした。「L」とスポーティな「S」には6速MTを設定し、ATはCVTに変更して燃費を向上さている。バルブマチックエンジンを搭載した「カローラEco」の燃費は高速道路で42MPG(EPA推定値)を達成した。
第12世代:2019年~現在
2019年、カローラはより低くて無駄のない、張りのある外観を持ったセダンタイプで登場。さらに、スポーティなハッチバックが久しぶりに復活したことと、初代ハイブリッドセダンのデビューが大きなニュースに。燃費は52MPG(EPA推定値)とカローラシリーズでもっとも優れたモデルとなった。
カローラハッチバックは、169HPの2.0リッターダイナミックフォースエンジンと、回転数に応じて変化するインテリジェントな6速MTを搭載し、歴代のカローラGT-SやXRSなどパフォーマンスモデルのスピリットを受け継いだモデルとなった。この高性能エンジンは、カローラセダンにも搭載され、燃費も35MPG(EPA推定値)を達成した。
カローラのセダンとハッチバックには「Nightshade Special Edition」、スポーツモデルの「XSE」、高級感を演出した「XLE」を設定。また、ハイブリッド以外に搭載されるダイナミックシフトCVTは、より優れた走行フィーリングと効率性を実現。限定車「Corolla Apex」は、大胆なボディキット、ローダウンスプリングを採用したサーキット走行用のサスペンション、軽量18インチアルミホイール、スポーツチューンのエグゾーストなどを採用し、パフォーマンスをさらに向上させた。
また、2022年には快適性と最新機能を備えた史上初のクロスオーバーモデル「カローラ クロス」が登場する。カローラシリーズはすべて、高レベルの敏捷性と安全性を実現するためにTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)プラットフォームを採用するのと同時に、全グレードに安全機能「トヨタ セーフティ センス2.0」を標準装備している。