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新型「レガシィ アウトバック(6代目)」説明会 「お客さまの人生に寄り添うクルマでありたい」と開発責任者の村田誠氏

2021年10月7日 発表

X-BREAK EX:414万7000円

Limited EX:429万円

新型「レガシィ アウトバック(日本仕様)」のオンライン説明会を開催

グローバルでの主力商品にまで成長したアウトバック

 スバルは10月7日、新型「レガシィ アウトバック(日本仕様)」を正式発表した。それに先駆けて報道陣向けのオンライン説明会を実施した。説明会はスバルの本社1階ギャラリーから生中継で行なわれ、商品企画本部PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)の村田誠氏、商品開発本部の小野寺圭氏、デザイン部の田中繁氏、ボディ設計部からは宇津木芳明氏と高原省吾氏、ADAS開発部の前田晋之介氏の計6名が参加した。

 新型レガシィ アウトバック開発責任者である商品企画本部の村田PGMは、1992年にスバルに入社。技術本部でシャシー設計に携わり、主に「レガシィ」と「インプレッサ」の動力艤装系設計を担当。2008年には先行開発プロジェクトに従事してSGP(スバルグローバルプラットフォーム)の開発を行ない。2012年には再びシャシー設計部に戻りフォレスタープロジェクトメンバーへ。2015年に今の商品企画本部へと移り、北米向けの多人数SUV「アセント」や「アウトバック」の開発プロジェクトに従事してきた人物。

株式会社SUBARU 商品企画本部PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)村田誠氏

 村田氏は「新型レガシィ アウトバックは、お客さまの人生に寄り添うクルマでありたいという想いを込め、高機能なアウトドアツールと上質なくつろぎ空間を融合させ、思わず出かけたくなる。新しいことを始めたくなる。そんなクルマを目指して開発した」という。また、6代目となる今回のレガシィ アウトバックは北米でも順調に販売台数を伸ばしていて、「今やグローバルでの主力商品にまで成長した」と商品力の高さをアピールした。

 また、スバルには「XV」「フォレスター」とSUVモデルをラインアップしているが、レガシィ アウトバックはボディサイズも安全性や燃費も質感のこだわりも、SUVモデルのフラグシップに位置付けられていると説明。

 実はこの6代目のレガシィ アウトバックは、2019年9月に北米、2021年2月に欧州、2021年3月に中国と、すでに世界各国で導入が進められていて、村田氏が開発に携わったSGPとフルインナーフレーム構造のボディは、いろいろな国にて衝突安全性能で高い評価を得ている。村田氏は、先日欧州のユーロNCAPの2021年安全性能テストで、最高評価であるファイブスターを獲得したことを報告しつつ、これまでの大人や子供の乗員保護性能のみならず、歩行者や自転車の保護、安全運転支援といった性能が全項目でファイブスターを上まわる得点を獲得したと紹介。ちなみに、豪州のANCAPでもファイブスターを獲得しているという。もちろん今回日本で発売されるレガシィ アウトバックも同様の安心・安全ボディだが、新世代アイサイト+高度運転支援の「アイサイトX」を搭載するモデルは日本が最初となる。

開発コンセプト
レガシィの歴史~国内~
アウトバックの歩み
ポジション
世界導入状況

 デザインコンセプトは「アクティブ&タフ」で、エクステリアは存在感を主張するたくましいデザインが採用された。インテリアも同様に数多くのデザインスケッチの中から相応しい要素を抜き出し、今までのスバル車にはない高品質な室内空間を実現している。

 若いユーザーやアウトドア志向なユーザーに対しては、よりアクティブに使えるX-BREAK EX、輸入車と比較するような上級嗜好のユーザーにはLimited EXを用意し、都会から大自然、若者層から年配層まで幅広いユーザーのライフスタイルをカバーできるラインアップにしている。

エクステリア デザイン検討
インテリア デザイン検討
新型レガシィ アウトバックのモデル展開
Limited EX フロントビュー
Limited EX リアビュー

洗練された「Limited EX」とスポーティな「X-BREAK EX」

 デザインの詳細については、デザイン部の田中氏が解説。Limited EXは、外装の要所にシルバーやクロームの加飾を行なうことで、スバルSUVのフラグシップとしての質感・洗練さを強調。フロントグリルもクロームメッキを使用し、艶のある仕立てにするとともに、ホイールはブラック部分と切削シルバー部分のコントラストによって洗練さを演出したという。

 また、クロスバータイプのルーフレールを採用していて、ワンタッチで荷物を載せられる状態にでき、使用しないときはルーフレールに収納することで風切り音などを防げる。ドアを開けた部分の足を置くスペースをきちんと確保していて、屋根の上への荷物の積み下ろしも考慮しているという。さらに、ルーフレールの前後はロープなどを通せるスペースを設けていて、アウトドアのテントだけでなく、屋根上の荷物を固定するロープを通すなど、ユーザーの使用するシチュエーションを想定した気配りがなされている。

 Limited EXの内装はオプションで「タン」カラーを用意。シートは触感のいい素材を使用することで質感を高めるとともに、「ダッシュボードも同じ素材を貼ることで華やかな空間を作り出した」と田中氏。

フロントグリルの奥は方は艶のあるブラック塗装となっている
ブラックと切削シルバーのコントラストが特徴のホイール
6つのヘキサゴンからなるLEDフォグは日本専用仕様という
クロスバータイプのルーフレールの稼働実演も行なわれた

 一方のX-BREAK EXのデザインは、スポーティでラギッドなイメージで内外装をフィニッシュ。フロントグリルは艶のある黒と半艶の黒を使い分けることで、質の高いスポーティさを表現したという。ホイールをブラック単色にしたことで、全体の印象が引き締められている。また、Limited EXとは異なりラダータイプのルーフレールを装備し、上にそのままテントなどを乗せられるほどの耐荷重を持たせていて、Limited EXよりも強度の高いルーフレールとなる。ルーフレールにあしらわれているアクセントカラーは、ボディ下部の「OUTBACK」のロゴ、内装のステッチなどにも使用され、デザインの統一感を演出。そのほか、X-BREAK EXは「水はじきのよい撥水ポリウレタンシートを採用しているのも大きな特徴」と田中氏はいう。

 最後に田中氏は、スバル車初採用となるポップアップトノカバーの実演を行なって解説を締めくくった。

X-BREAK EX フロントビュー
X-BREAK EX リアビュー
ホイールはブラック単色
ルーフレールのアクセントカラーの部分は、裏側にロープフックが装備されている
スバル車初採用のポップアップ式トノカバーの実演も行なった。肘で軽く押すとスッと上に跳ね上がるようすが映った

 快適性について村田氏は「室内の前後長を伸ばしてより快適な室内に、より広い後席のニー(膝前)スペースを確保。ラゲッジスペースも奥行きと幅を広げ、スバル最大級の広さを確保し、ゆとりの空間を提供する」と解説。ラゲッジスペースは、幅を広げるだけでなく開口部も拡大することで積み下ろしの利便性を向上。さらに、手をかざすだけで自動で開くハンズフリーオープンパワーゲートがアウトバックに初採用された。ワンタッチでポップアップするトノカバーもスバル車で初採用するなど、新たな便利機能を追加したことで使いやすさを向上させたとしている。

 最小のボディサイズ変更に留めながらも居住空間と荷室積載量を拡大しているが、「ホイールベースやドアミラーからドアミラーまでの距離などは変更せず、最小回転半径も5.5mという取り回しのよさをキープした」と村田氏はいう。

パッケージング&ユーティリティ
ユーティリティ
インテリア
デジタルコクピット+ハーマンカードンスピーカー
パワートレーン
ボディ&シャシーの刷新

 最後に9月2日よりスタートした、新型レガシィ アウトバックの先行予約の受注状況が村田氏より伝えられた。村田氏は「想定を超える受注で推移しています。グレード構成はLimited EXが75%、X-BREAK EXが25%」とのことで上位グレードの人気の高さがうかがえた。また、ボディカラーについては「ブリリアントブロンズ・メタリックが25%(新色)、オータムグリーン(新色)が14%」と新色の人気が高い中、「クリスタルホワイト・パールが22%」と定番色ではホワイトが強さを見せた。内装色については「タンが56%、ブラックが44%」とほぼ半々であるという。

質疑応答も実施

左から株式会社SUBARU 商品企画本部PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)村田誠氏、商品開発本部 小野寺圭氏、商品開発本部 デザイン部 田中繁氏、ボディ設計部 宇津木芳明氏、ボディ設計部 高原省吾氏、ADAS開発部 前田晋之介氏

 北米より2年遅れての投入になった理由を聞かれた中村氏は、「日本専用の環境対応エンジンとアイサイトXを搭載して発売したかった」と説明。また、1.8リッター直噴ターボエンジンが国内専用である理由は? との質問については「日本の道路環境に合わせて選択した結果」と解答した。

 また、先代モデルよりも高額な価格設定になっているのでは? という質問に対して中村氏は、「先代モデルはオーディオレスやカーナビレスなど、非装備だったことで定価が安く見えていたのが理由で、今回仕様装備による価格上昇で、新型プラットフォーム、新エンジン、アイサイトX、大型ディスプレイ、フル液晶メーターの全車装着などから妥当な価格設定だと思っています」と説明。

 アイサイトは日本国内専用なのでしょうか? という質問についてADAS開発部の前田氏は、「安全性能を少しでも早く全世界に広めたいとの想いから、ステレオカメラやハードウェアは共通(現時点で北米はまだ旧モデル)で、ソフトウェアは足まわりのセッティングが異なることから、国内専用のものになっている」と解説。

 また、足まわりのセッティングがどのように異なるかについては宇津木氏より解説があり、「日本は北米や欧州と比べて、一般的な速度レンジが違う、路面コンディションがよいといった点があり、ダンパーの減衰力やステアリングの操舵力をチューニングして、クルマとの一体感をより日本仕様は表現している」と明かしてくれた。

 レガシィシリーズでアウトバックが断トツで売れているが、開発はセダンベースで行なっているのでしょうか? という質問に対して同じく高原氏は「特にセダンでとかワゴンでとかはなく、ボディ形状に合わせた作り込みを行なっています」と解答。また、フルインナーフレーム構造はアウトバックだけに採用されているのでしょうか? という質問に高原氏は「現行のレヴォーグと今回のアウトバックに採用されています」と解答。ただし、SGPはすでにインプレッサやフォレスターにも採用しており、SGP+フルインナーフレーム構造はSUVに特化した構造ではなく他の車種へも展開するものと解答した。