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ボルボの新型BEV「C40 Recharge」についてマーティン・パーソン社長に聞く
2021年11月19日 12:54
- 2021年11月18日 開催
ボルボ・カー・ジャパンが11月18日に発表した、日本初導入のBEV(バッテリ式電気自動車)専用モデル「C40 Recharge」。ボルボは2030年までに販売するすべてのクルマをBEVにする計画を進めていることから、C40 Rechargeは日本のユーザーへ転換への姿勢をアピールするものとなる。また、C40 Rechargeは従来モデルのように販売店での販売は行なわず、オンラインのみで購入する方式とするなど話題の多いモデルとなっている。
C40 Rechargeの詳しい内容に関しては別記事にて紹介しているので合わせて読んでいただきたい。
発表当日に50件の申し込みがあったC40 Recharge
ボルボは「2025年までにグローバルで販売するボルボ車の50%をBEVで構成することを目指す」「2030年には販売するすべてのクルマをBEVにする」という発表を行なっているが、ボルボは日本でも人気の高い自動車メーカーなのでこれらの内容をもっと知りたいのではないだろうか。
本稿ではC40 Rechargeのオンライン発表会のあとに開催されたボルボ・カー・ジャパン 代表取締役のマーティン・パーソン氏を囲むインタビューの紹介を通じて、C40 Rechargeの特徴に加え、C40 Rechargeから始まるボルボの変化をお伝えしていきたい。
今回、C40 Rechargeでは100台限定のサブスクリプションキャンペーン(申込期間は11月18日12時~11月30日12時)を展開しているが、マーティン氏によると発表日の11月18日の時点ですでに50件ほどの申し込みが入っているとのこと。販売方法については、2022年1月からサブスクリプション以外のファイナンスプログラムが開始される予定とのことだ。
C40 Rechargerではオンライン専売というスタイルを採用しているが、このやり方を導入した背景には年齢が若い層を意識した部分があるという。BEVという存在は若い人から大きな興味を持たれるものであり、若い人はデジタル化された生活環境に親しんでいる。それだけに、デジタルでクルマを買うというユーザー体験にメリットを感じてくれるという考えだ。そして、そういった興味を持たれる環境をボルボが提供していくことにも大きな意義があるという。
C40 Rechargeのセールスポイントに関する質問に対し、マーティン氏は以下のように返答した。
まず優れたデザインであること。そしてツインモーターであり最高出力が408PSであることを挙げた。さらにGoogleと共同開発したAndroid OSベースの新しいインフォテイメントシステムを搭載したデジタル・サービスが採用されていることをポイントとして取り上げた。
今後、BEV車以外のユーザーはどうなる?
ボルボがBEVのみの扱いを目指すということになると、ガソリンエンジン車の扱いはどうなるのか? サービス体制はどうなるのか? こうした点を聞いてみた。
マーティン氏によると、目指すのは2030年にはBEVの販売を100%にすることではあるが、だからといって市場にあるエンジン車へのサービスを取りやめるということではなく、2030年から約15年間はエンジン車へのサービスを続けていく予定だという。それに2030年より前の2025年に向けた目標では、販売台数のうちの65%はBEVではないモデルを販売していく内容であると解説してくれた。つまり、ボルボの電動化はゆっくりと進むということ。それだけにマーティン氏もユーザーが混乱するような状況にはならないと語っていた。
つぎにオンライン販売等が広まることで既存の販売店がどうなっていくかについても質問したところ、オンライン販売は開始するが、オフラインでの接点は欠かせないものであるという認識。ボルボ・カーズ・ジャパンがオンラインの事業を責任を持って進めるのと同時に、オフラインに関しては販売店と協力をしながらBEVのアフターサービス、従来のクルマでは従来どおりのサービスを行なっていくということだ。
また、BEVへ舵を切ることでボルボのガソリン車の価値にこれまでとは違う変動があることを想定して、中古車市場への介入を行なう考えはあるかという質問には、ボルボ・カーズ・ジャパンでは考えていないと回答。ただ、将来的にボルボのガソリン車(中古車)を購入した人がいれば、それはボルボのユーザーなのでしっかりサービスを行なっていくとのことだった。
それともう1つ、もし早々にC40 Rechargeを手放すユーザーが出た場合、そのクルマはどうなるか? 中古車として販売するのか? という問いにはC40 Rechargeは稀少なモデルであり、需要に対して供給が追いついていないケースもあるので日本市場ではしばらくの期間、早期に手放すクルマが出ても市場へ流さず、PRや試乗車として活用していく予定とのことだ。
さて、最後にもう1つコメントを紹介する。マーティン氏はこのグループインタビューの中でボルボが将来的にも変わることがないこととして「安全なクルマであること」「ユーザーに対して満足度の高い体験を提供すること」を挙げていた。これはボルボのサービスを体験して、そこに価値を感じているユーザーにとってホッとするひと言ではないだろうか。
C40 Rechargeをちょっと写真で見る
会場にはC40 Rechargeの現車も展示されていたので、ここからは車両を写真で紹介していく。C40 Rechargeの各部はXC40との類似点も多いが、C40 Rechargeでは独自の「フィヨルド・ブルー」を使ったカーペットをはじめ、ダッシュパネルには地図の等高線をモチーフとしたインテリアパネルが採用されている。さらに特徴的な装備として、CO2排出軽減の観点から行なわれている本革を使用しない完全なレザーフリーシートを採用する。
また、BEVという最先端のクルマではあるが、シンプルで機能的というスウェーデンの家具同様、運転席まわりはスイッチ類の数を抑えてすっきりしたデザインにしているのもC40 Rechargeの特徴だ。