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ボルボ、資源の生産から廃棄までを追跡するブロックチェーン技術を持つサーキュラーに投資

「XC40 Recharge P8」に使用されるコバルトのトレーサビリティが100%可能に

2020年7月8日(現地時間)発表

Volvo XC40 Recharge Battery Package

 ボルボ・カーズは7月8日(現地時間)、ベンチャーキャピタル投資部門のボルボ・カーズ・テック・ファンドを通じて、ブロックチェーン技術企業のCirculor(サーキュラー)に投資したことを発表した。

 ボルボ・カーズとサーキュラーはここ数年、EV(電気自動車)のバッテリーに使用されるコバルトの生産から廃棄までを追跡するトレーサビリティを高めるためのブロックチェーン技術で協力。

 サーキュラーのブロックチェーン技術は現在、ボルボ・カーズのバッテリーサプライチェーン全体で使用されており、ボルボ・カーズ初の完全EVである「XC40 Recharge P8」に使用されるコバルトのトレーサビリティを100%可能にしている。同モデルは、2020年後半からベルギーのゲント工場で生産開始が予定されている。

トレーサビリティの対象拡大も可能に

 ボルボ・カーズがサーキュラーに投資することで、両社はコバルト以外にも対象を拡大してトレーサビリティの向上が可能になり、その一例としてEVのバッテリーパックの絶縁材料として使用されている雲母などを挙げている。さらに、CO2排出量のトラッキングや削減など、ブロックチェーンの技術協力を他の分野にも拡大する可能性についても調査していて、サーキュラーによる自動車産業やその他産業における倫理的な調達基準の設定にも活用されるという。

 ボルボ・カーズ・テック・ファンドによる投資は、サーキュラーによる資金調達活動の一部であり、他にもSYSTEMIQ(システミック)、Total Carbon Neutrality Ventures(トータル・カーボン・ニュートラリティ・ベンチャーズ)、Plug & Play(プラグ・アンド・プレイ)の3社が投資に参加している。

 ボルボ・カーズの調達部門の責任者であるマルティナ・ブーフハウザー氏は「私たちは、原材料の倫理的なサプライチェーンに力を入れており、サーキュラーとのパートナーシップはその点において非常に役立ちます。サーキュラーの継続的な技術開発を支援することで、調達業務におけるブロックチェーン技術の利用を拡大し、よりサステナブルなビジネスに貢献することができます」と述べている。

サプライチェーン全体でブロックチェーン技術を活用

 ボルボ・カーズは、サプライチェーン全体でブロックチェーン技術を適用することで、バッテリーに使用されるコバルトのグローバルなトレーサビリティを実現した最初の自動車メーカー。サーキュラーが開発した技術は、ボルボ・カーズのバッテリー供給パートナーであるCATLとLG化学とのパートナーシップによって既に導入されているという。

 CATLとLG化学は、世界の自動車産業にリチウムイオン電池を供給してきた長い実績を持つ電池メーカーで、両社は技術的なリーダーシップ、責任あるサプライチェーン、CO2排出量の削減、価格競争力といった点において、ボルボ・カーズの厳しい調達ガイドラインをクリアしている。

 ボルボ・カーズ、CATL、LG化学における3社間契約では、XC40 Recharge P8を含むボルボとポールスターの次世代モデルに今後10年に渡り、バッテリーを供給することが約束されている。

 ボルボ・カーズ・テック・ファンドは2018年に立ち上げられ、世界中の有望なテクノロジー・スタートアップ企業に投資。人工知能、電動化、自動運転、デジタルモビリティなど、自動車産業を変革する戦略的なテクノロジートレンドに投資を集中させている。