ボルボ、全ての新車で最高速度180㎞/hに制限。より低速にも設定可能

　ボルボ・カーズは5月20日（現地時間）、今後すべての新車において180km/hの最高速度制限を導入し、交通事故による死亡者や重傷者をゼロにするために規制や法律で定められた基準よりも踏み込んだ取り組みを行なうと発表した。180km/hの速度制限は2019年3月に発表されていたもの。

　180km/hの最高速度制限に加え、すべてのボルボ車に、最高速度をさらに低く設定できるケア・キーを導入し、家族内で若くて経験の浅いドライバーがクルマを使用するような場合には、最高速度をより低く設定できるようにもなる。

　ボルボ・カーズは、180km/hの最高速度制限とケア・キーの導入により、スピードの出し過ぎによる危険性を強く訴えることで、自動車の安全分野で世界をリードするポジションにいることを明確にすると表明。また、両機能によって自動車メーカーとして積極的かつ責任を持ってドライバーのよりよい行動をサポートし、死亡事故や重傷事故ゼロの達成を目指すとしている。

　ボルボ・カーズ・セーフティ・センターの責任者であるマリン・エークホルム氏は「自動車メーカーには、交通の安全を向上させる責任があると考えています。この考え方に基づき、速度制限を導入する議論を重ねてきました。最高速度制限とケア・キーは、スピード違反が危険であることを人々に認識させるのと同時に、さらなる安心を人々に与え、ドライバーのより適切な行動をサポートします」とコメントしている。

ボルボ・カーズ・セーフティ・センター責任者マリン・エークホルム氏

　ボルボ・カーズでは、最高速度制限を発表して以来、そのような最高速度制限を課す自動車メーカーの権利について疑問視する意見があったという。しかし「たとえ一部の顧客を失うとしても、最終的に人命を救うために自動車メーカーの権利と義務をめぐる議論の先駆者であり続けるべきだ」と考えているという。

　また、スピードの出し過ぎの問題点は、ある一定以上の速度において事故が起きた際、車内の安全装備や道路上のインフラ整備では、もはや死亡事故や重傷事故を完全に回避することができない物理的な現実がある。このため、ほとんどの欧米諸国では制限速度が設けられているが、スピードの出し過ぎは依然としていたるところで発生し、死亡事故や重傷事故の主な原因の1つとなっていて、毎年何百万人もの人がスピード違反の切符を切られている。調査によると「多くの人々はスピードの出し過ぎの危険性を十分に理解していないため、スピードを出し過ぎてしまい、交通状況に合わせた適切な速度を調節できてない」という。

　さらにスピードの出し過ぎ以外でも、飲酒や薬物使用による酩酊および注意散漫は、交通安全における残る2つの主要な懸念事項であり、死亡事故や重傷事故をゼロにするというボルボ・カーズの未来のビジョンに向けて埋めるべき溝がまだ残っているとした。ボルボ・カーズは、人間の行動に起因するこれら3つの事柄に対処する取り組みを行なっていて、将来のクルマには、さらに多くの機能を導入する予定だとしている。