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ボッシュ、フォルクスワーゲングループのカリアドと業務提携 360度センサーを活用した自動運転用ソフトウェア開発を実施
2022年1月26日 06:00
- 2022年1月25日(現地時間) 発表
技術提携により全車種への自動運転機能導入を加速
ボッシュは1月25日(現地時間)、フォルクスワーゲングループの子会社であるカリアドとパートナーシップを結んだと発表した。ドライバーの安全性向上とストレス軽減、自動運転機能の全車種クラスへの迅速な展開を目指していく。
両社は市街地、郊外、高速道路でドライバーが一時的にステアリングから手を離すことができるハンズフリーシステム(レベル2)と、高速道路での運転操作を代行するシステム(SAEレベル3)を実現する最先端のソフトウェアプラットフォームを共同開発し、2023年にフォルクスワーゲングループのブランドで販売される車両への搭載を目指すという。また、ここで開発したすべてのコンポーネントについては、他の自動車メーカーの車両やエコシステムに統合することも可能にする予定とのこと。
ボッシュ取締役会メンバーのマルクス・ハイン氏は「個人所有の自動車の場合、自動運転への進歩はゆっくりです。ボッシュでは、長年にわたってこの取り組みに成功しています。カリアドとともに私たちは、今後すべてのクルマで高度な自動運転機能の市場投入を加速させ、すべての人が利用できるようにします。これにより、道路での運転がより安全でリラックスしたものになるでしょう。また、私たちが生み出したソリューションを他のお客さまにも提供することで、新たなスタンダードを確立することができるでしょう」と述べている。
カリアドCEOのディルク・ヒルゲンベルグ氏は「自動運転は、私たちの産業の未来の鍵を握っています。また、ボッシュとカリアドの協力により、ドイツの革新性に対する評価が高まり、先駆的な技術の開発における専門性をさらに高めていきます。また、可能な限り最高のソリューションを、できるだけ早くユーザーに提供するという私たちの意欲を明確に示すものです」とコメントしている。
実環境からの情報を素早く処理
ボッシュのクロスドメイン・コンピューティング・ソリューションズ部門とカリアドは、両社のさまざまな拠点で混成の開発チーム組み、高度自動運転機能の開発に取り組むという。ピーク時には両社から1000人以上のエンジニアが参加して、ミドルウェアから個々のアプリケーションまで、プロジェクトに必要なさまざまなモジュールを開発する予定としている。両社はすでに、ここで働く新しい人材の採用も進めているとのこと。
このプロジェクトでは、360度センサーの情報をもとにソフトウェア開発を実施するとしていて、そのためにデータを記録・評価・処理するための革新的な開発環境を構築しつつ、さらにAIも活用するという。
また、実際の道路交通のデータが豊富であればあるほど、よりスムーズで高度な自動運転が可能になるため、車両の位置確認や誘導のための高解像度地図データも取り組むことで、日常的な運転状況だけでなく、コーナーケースと呼ばれるシステムにとって特に解決が難しい道路交通事故などにも適応させるとしている。
完全自動運転(SAEレベル4)に向けた開発目標でも合意
ボッシュ・クロスドメイン・コンピューティング・ソリューションズの社長であるマティアス・ピリン氏は「自動運転の開発に最適な実証実験の場は本物の道路です。世界最大級のコネクテッド・ビークルフリートの協力により、われわれは巨大なデータベースへのアクセスを得ることができます。これによって、自動運転システムを新たなレベルに引き上げることができます」と述べている。
また、アライアンスプロジェクトディレクターであるカリアドのインゴ・シュトゥルマー博士は「自動運転機能をより広い範囲で実車検証し、より早く実用化することが可能になります。私たちのエンジニアリング作業は、ボッシュとカリアドが1つのチームとして共同で行ないます。自動車業界ではこのようなアライアンスは例がありません」とコメント。
実際の交通状況下で収集したデータを、継続的かつリアルタイムに開発プロセスに反映させることも重要で、実際の交通状況で1km走るごとにデータを「収集」「評価」「処理」することで、より多くのデータが蓄積され、より高度な自動運転を実現し、安全かつ確実に道路を走行させるためのよりよい基礎となるという。また、完全自動運転(SAEレベル4)に向けて、共同開発目標とタイムラインの可能性を検討することでも合意したとしている。