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ボッシュ、デジタル地図を手掛ける「アトラテック」を買収 自動運転技術のさらなる強化を目指す

2022年2月24日(現地時間)発表

デジタル地図データを手掛けるアトラテックが開発した地図作成用のセンサーボックス

自動運転技術に必須となるデジタル地図データ

 ボッシュは2月24日(現地時間)、運転支援や自動運転のための高解像度デジタル地図データを提供しているアトラテックを買収し、自動運転に関する技術のさらなる強化を目指すと発表した。

 自動運転では、レーダーやビデオ、超音波などの車載センサーに加え、デジタルマップも欠かせないデータのひとつであり、デジタルマップには車載センサーの検知範囲をはるかに超える、車両の周辺情報や交通情報が含まれている。

 アトラテックは2014年にカールスルーエ工科大学から独立した企業で、地図作成用に独自のセンサーボックスと関連ソフトウェアを備えたスケーラブルなソリューションを開発していて、それで収集した生データは、AI(人工知能)によって分析され、交通標識やカーブのきつさ、路面電車の軌道などの構造的特徴といった重要な情報を付加。AIアルゴリズムは継続的に学習していき、その地図データからの情報をもとに、自律走行するクルマは、きついカーブの手前でタイミングよく速度を調整することなどが可能になるという。

 また、アトラテックはデータの記録・処理だけでなく、地図そのものの作成から品質管理まで、地図作成に必要なすべての要素をワンストップでの提供を可能とし、今後はボッシュのクロスドメイン・コンピューティング・ソリューションズ部門の一端を担うという。

アトラテックのデジタル地図データ(イメージ)

 ボッシュのクロスドメイン・コンピューティング・ソリューションズ部門長のマティアス・ピリン博士は「アトラテック社の買収計画により、高解像度デジタルマップの分野における当社の専門性がさらに拡大し、多様性がさらに高まります。アクチュエーターやセンサーからソフトウェアや地図に至るまで、自動運転に必要な構成要素をすべて1社で顧客に提供できるのは、ボッシュだけとなります。この分野で私たちの確固たる地位を確立しています」と述べている。

 また、同部門の自動運転ユニットのシニアバイスプレジデントであるステファン・ホンレ博士は「アトラテックの高解像度地図作成技術パッケージは、ボッシュにとって理想的な付加価値となります。その結果、地図作成ソリューションは非常にインテリジェントで機敏なものとなり、他のベンダーとは一線を画しています。例えば、ガードレールやレーンマーキングなどの道路の特徴を、AIが最も高い精度と一貫性をもって識別し、地図に表示します。これにより、運転戦略のアルゴリズムをより正確に設計することができます」と述べている。

 一方、アトラテックGmbHのCEOであるヘニング・ラテガーン博士は「ボッシュは、デジタルマッピングの専門技術をさらに拡大するための次のステップに進むために、最適なパートナーを見つけたのです」とコメントしている。

 なお、買収金額は公表していない。