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マツダ、S耐フル参戦するMAZDA SPIRIT RACING パワーアップしたMAZDA2は5時間耐久を完走

2022年のスーパー耐久にフル参戦する55号車 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept

2022年シーズンはパワーアップしたMAZDA2

 2021年11月に岡山国際サーキットで実施されたスーパー耐久最終戦に急遽スポット参戦した「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」。次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用して5時間の耐久レースを戦い、ST-Qクラストップでチェッカーを受けた。

 2021年シーズンはこの岡山国際サーキットラウンドで終了し、2022年シーズンからはモータースポーツの場でもカーボンニュートラルを目指した取り組みを積極化するためにトヨタ、スバル、マツダの3社がそれぞれのマシン、カーボンニュートラル燃料を使ってシーズンフル参戦することが発表された。

 昨シーズンの最終戦は急ピッチで参戦へこぎつけたためマシンやチーム体制などが暫定的だったが、2月23日に富士スピードウェイで実施されたスーパー耐久の公式テストではマシンスペックや体制などが大幅に見直された。そして、開幕戦までのわずかな間にもマシンのアップデートが実施され、戦闘力を増した状態で2022年のシーズンフル参戦がスタートした。

 2022年のスーパー耐久開幕戦は3月19日~20日に鈴鹿サーキットで開催され、マツダワークスとして久々の復活となった。新しいカーナンバー55を背負った「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept」のエンジンは昨年と同様の1.5リッターディーゼルのSKYACTIV-Dのままだが、ピークパワーを引き上げることを目的にタービンはMAZDA3やCX-30に搭載されている1.8リッター用に換装。仕様や条件が異なるので単純に比較することはできないが、昨年の鈴鹿サーキットラウンドの予選ではNOPRO(ノガミプロジェクト)のデミオディーゼルが2分33秒台だったが、55号車は2分31秒台を記録した。

 ただパワーアップによる弊害もあり、3月17日の練習走行ではミッショントラブルが発生してしまった。そのため、予選と決勝レースではミッションブローを防ぐためにピークパワーを抑制している。現場での敏速なトラブルシューティングが可能となっているのは、マツダのエンジニアがチームに参画しているから。エンジン制御などのパワートレーン系、シャシー系などのエンジニアがレースに帯同していて、課題に対してさまざまな対応を行なっている。現場で対処できないことは次戦までに対応策が検討され、ミッションについてはレースの高負荷では耐えきれないいくつかのギヤを強化する方針となっているようだ。

 MAZDA2の進化についてBドライバーで登録されているレーシングドライバーの井尻薫選手は、「公式テストで感じていた高回転域でのパワーの谷も解消されていますし、トランスミッションの問題は抱えていますが一発の速さはかなり上がっています」と語ってくれた。

 チーム体制としては、サーキットでの作業がスーパー耐久で腕を磨いてきた広島マツダのディーラーメカニックが担当し、メンテナンスはレーシングチームのNOPROがになっている。マシンに触れるスタッフについてもマツダ社内で対応できるように徐々に移行していくとのこと。

第2戦の富士24時間へ向けてもアップデートを実施

車体側面には「ユーグレナ」の文字。ユーグレナのバイオディーゼル燃料「サステオ」を用いる

 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptがエントリーしているST-Qクラスは、シリーズ主催者である「STO(スーパー耐久機構)」が認めた自動車メーカーの開発車両や各クラスに該当しないマシンが参戦できる。2021年シーズンからクラスが設定され、トヨタは開幕戦からGRスープラを投入し、富士24時間からは水素燃焼エンジンを搭載したカローラスポーツが出走するなど話題を集めていた。

 今回は、トヨタから「32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 concept」と「28号車 ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」とスバルから「61号車 Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」、ブレーキメーカーのエンドレスから「3号車 ENDLESS AMG GT4」の4台にMAZDA2を加えて5台がST-Qクラスにエントリーした。

 3月19日の予選ではマツダのテストドライバーでレース経験も豊富な寺川和紘選手が2分32秒373、井尻選手が2分31秒241を記録し、総合43位、クラス5位となった。

 5時間の決勝レースは3月20日の11時40分にフォーメーションラップが始まった。スターティングドライバーを務めたのは寺川選手で1時間20分ほど走ると、MAZDA SPIRIT RACINGの代表でありマツダの常務執行役員を務める前田育男選手にバトンタッチ。前田選手も21周を走行し、残りはレーシングドライバーの井尻選手が32周、関豊選手が26周を担当し5時間の耐久レースを最後まで走り、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptの2022年シーズン初戦は総合35位、クラス4位というリザルトで終えた。

 次戦は6月3日~5日に富士スピードウェイで開催される「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」になる。MAZDA2はトランスミッションの問題を解決するのはもちろん、そのほかにもアップデートが施されるようだ。

 また、第3戦からはMAZDA SPIRIT RACINGにロードスターが加わり、2台体制となることが予定されている。加えて、開幕戦を現地で見守ったマツダの丸本明代表取締役社長兼CEOはメディア向けの会見で「300馬力を出す2.2リッターディーゼルエンジンをシーズン後半には投入したい」と述べたように、MAZDA SPIRIT RACINGは今後も発展と進化を遂げていく。

【お詫びと訂正】記事初出時、MAZDA SPIRIT RACINGの表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。