ニュース

橋本洋平の「ロータス カップ ジャパン」参戦記 上級クラスのエキシージにも乗れた第3戦菅生は白熱したレース展開に!

ロータス カップ ジャパン第3戦の舞台はスポーツランドSUGO

上級クラスのエキシージに試乗

「ロータス カップ ジャパン」にまた参戦させていただいた。今回走るのは東北のスポーツランドSUGOである。以前レポートした通り、レンタカーでの参戦が可能な体制ができているこのレース。乗車したのは以前と全く同じ真紅の21号車だ。だが、実は前回と事情はまるで異なり、ゼッケンは黄色ベースに変更。富士スピードウェイのレースで優勝となり、今回また優勝となるとシリーズ争いに入ってしまうため、主催者判断で賞典外扱いとなったのだ。取材を兼ねて乗らせてもらっているわけだから、こればかりは仕方ない。どんな立場になろうとも全開で走らせていただくことにする(笑)。

 レースの話をする前に、今回は練習走行中に上級クラスのエキシージに試乗させていただくことになった。このロータス カップ ジャパンは僕が参戦する直列4気筒エンジンを搭載するクラス2と、V型6気筒エンジンを搭載するクラス1が混走となるレース。果たして上級クラスとなるV6モデルはどんな走りをするのか? 試乗させていただいたのは、これまた賞典外扱いの黄色ゼッケンベースの2号車で、普段は自動車雑誌「Tipo」の編集長である佐藤考洋選手がドライブしているクルマである。

左は筆者がレースで使わせていただいているエリーゼ、右は上級クラスのエキシージ
エキシージはTipo編集長の佐藤考洋選手(左)がドライブするモデル

「エキシージ スポーツ 350」をベースとするこのクルマは、リアに3.5リッター+スーパーチャージャーを搭載することでグレード名が示す通り350PSを発生する。僕が乗っているエリーゼは2.0リッター+スーパーチャージャーで220PSだから、まるで別次元であることがスペックからも理解できるだろう。

 コクピットに収まるとシャシーの基本ベースは同じため、視界には何ら違和感がない。違いは屋根が付き後方視界がまるでないくらいなものだが、ピットアウトから全開加速を試みれば、走り出しから蹴り出し豊かに突き進む。0-100km/h加速3.9秒。4500rpmで400Nmものトルクを発生させるパワーユニットの力強さはハンパじゃない。ちなみに僕が乗るエリーゼ スポーツ 220IIの0-100km/h加速は4.6秒。最大トルクは4600rpmで250Nmである。いつもとは景色の流れ方がまるで違う。おかげでストレートエンドではかなりの速度差があり、もっとも分かりやすいところでは富士でエキシージは約240km/h、エリーゼは220km/hという差が生まれるのだ。ナンバー付きレースカーながらかなりの本気度であることがご理解いただけるだろう。

 ただ、コーナリングではその立場が逆転するところが面白い。2台の車重差はおよそ200kgもあるからだ。エキシージは速度の高いところからしっかりとクルマを減速させて一瞬でクルマの向きを変えて強烈なトラクションで脱出するという乗り方が適している感覚。エリーゼは安全装備も含めて1tちょっとというバランスで、コーナリングスピードを高めながら駆け抜けていくことが可能。それぞれに面白いポイントが異なるところが理解できたことはかなり興味深かった。

決勝のスタートがうまくいき総合3番手につけるも……

 さて、そんなクルマの特性を学びつつ、いよいよレース本番を迎える。前回のレースでは予選アタック中にスロー走行のクルマに引っかかり、フレッシュタイヤのおいしいところを使えずじまいでクラス3番手に終わっただけに、今回こそはクラストップを取ろうと意気込んだ。予選が開始してしばらくはピットで待機。アタックを終えたクルマがピットに戻り出したところでコースインしてタイムアタックを開始する。

 ピットアウトからタイヤをきちんと温め、1ラップ目からアタックを開始! 計測開始前の最終コーナーは新品タイヤのおかげでかなり食いついていることが伺える動きで、ノーブレーキでアプローチ。即座にアクセルを全開にすることができた。このニュータイヤの1ラップ目は練習中の走りとはまるで違う安心感があり、菅生のタイトなインフィールドを危うげもなくクリアしていくから爽快。これからもっとコーナリングスピードを高められるかもしれないと、SPコーナー1つ目をノーブレーキでアプローチしてやや姿勢を崩したがセーフ。最終コーナーもノーブレーキで何とか潜り抜け1分36秒164を記録。賞典外だから正式結果には残っていないが、クラス2のコースレコードをコンマ7秒上まわるタイムだった。ちなみにエキシージとの差は約2.5秒。富士では3秒以上引き離されていたから、エリーゼのコーナリングスピードの高さが活きたのかもしれない。

 決勝レースは5番グリッドからスタートとなった。強烈なトラクションがかかるのを見越してエンジン回転はおよそ6000rpmをキープ。レッドシグナルが消灯と同時に半クラッチを使いながらスタートすれば、前にいた上のクラスのエキシージをパスすることに成功。気づけば総合で3番手を走っていた。前には試乗させてもらった2号車がいる状況だ。だが、当たり前だがコーナー立ち上がりの度に前は離れていく感じで、とても追いつけるような気はしない。ひとまず順位をキープしようと淡々と走る。スタート直後はフロントタイヤの温まりが完全ではなく、ステアリングの操舵角が多めなので注意が必要だ。

 そんなことを思っていた矢先、トップを走るエキシージが最終コーナー立ち上がりで姿勢を見出しハーフスピン。目の前でコースを横切ったのである。こちとら借り物のクルマであり、レース保険に入ってくれている安心のレンタカーだとはいえぶつけるわけにはいかない。上り勾配がきつい状況だったが安全を考えてフルブレーキ! 接触は免れたが、結果として後続に追いつかれ、先ほど抜いたエキシージにはあっさり抜かれる状況に。さらにはクラス2の集団が真後ろまで来てしまったのだ。セーフティリードを築けたかと思いきや、完全に振り出しに戻るである。これからの残り9周はなかなか苦労させられそうだ。

 というのも、後に続く2台は富士でも接戦だった2021年度チャンピオンの飯田選手と、富士で2位だった長澤選手が駆る旧型のエキシージ。ギヤ比も僕のエリーゼ 220IIとは異なりローギヤードなため、アップダウンが続く菅生では強敵である。予選一発なら勝てても、ロングディスタンスではどうなるか分からない。

 序盤は長澤選手が前を走り、飯田選手がそれに続く展開だったが、周回を重ねた結果、飯田選手が前に。ジリジリと僕に迫ってくる感覚がある。こちらは高めのエア圧が災いしたか、はたまたフロントブレーキのバイト感を嫌ってマイルドなブレーキパッドに変更した結果、予選ではかなりいい動きをしたが、ロングディスタンスでは前後バランスがわるくなりリアがロック気味になる動きを展開。なかなかペースが上げられずにいた。

 だが、なるべく直線でブレーキを終えてコーナーへアプローチする走りに切り替え何とか首位を守り切った。ギリギリセーフという状況だった。まあ、賞典外ではあるが、何とか首位を守り切れてよかった。ワンミスが命取りとなるハイスピードコーナーを最後まで無事クリアできただけに満足感は高い。菅生とエリーゼという組み合わせはレースだけでなく走りもかなり楽しめた。

 ちなみに、現在の予定では10月9日に行なわれる「JAPAN LOTUS DAY富士」にも何かしらの形で参加する予定となっている。お近くの方々はぜひご来場を!