ニュース

フィアット、商用バン「デュカト」の正規販売代理店締結発表会 日本を代表するキャンピングカービルダー5社がデュカトの魅力を語る

2022年9月15日 開催

日本に導入されるフィアット プロフェッショナル「デュカト」はRV業界と正規販売代理店契約を結び、欧州メーカーとして初めてRV業界に直接参入する

デュカトとはどのようなモデル?

 フィアット(Stellantisジャパン)は9月15日、商用車ブランド「フィアット プロフェッショナル」の商用バン「DUCATO(デュカト)」を日本に導入するにあたりデュカト専用の販売ネットワークを構築するため、日本の代表的なキャンピングカービルダー5社とフィアット プロフェッショナル正規ディーラー契約を締結。その発表会が都内で行なわれた。

 まずは日本に導入されるフィアットの商用ブランドである「フィアット プロフェッショナル」のデュカトについて。

 日本へは3グレードが導入され、詳細は以下のとおり。まずは標準タイプの「L2H2」というモデルでボディサイズは5413×2050×2524mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3450mmとなる。つぎにロングホイールベースの「L3H2」で、こちらのボディサイズは5998×2050×2524mm(同)、ホイールベースは4035mm。そしてロングホイールベース+ハイルーフの「L3H3」のボディサイズは5998×2050×2764mm(同)、ホイールベースは4035mmとなっている。

 価格はL2H2が469万円、L3H2が479万円、L3H3が489万円という設定。ただし、この価格はベース車の状態なので、キャンピングカーとして架装されたあとはそれぞれの価格設定となる。

フィアット プロフェッショナルはStellantisジャパンが取り扱う
フィアット プロフェッショナルのロゴマーク

 エンジンは全車共通。最高出力180HP、最大トルク450Nmの直列4気筒2.2リッターディーゼルターボ「MULTIJET3」エンジンで、トランスミッションは日本製の9速ATが組み合わされる。

 運転席まわりは乗用車ライクな仕上がり。ステアリングは本革巻きでメーターはフルデジタル、10.1インチナビゲーションを搭載していてApple CarPlayなどにも対応している。運転席と助手席はキャンピングカー仕様を前提として180度回転と回転させた状態でスライドできる機構がベース車に対して追加される。

 また、ドライバー補助としては予期せぬ障害物に遭遇した際のブレーキ制御(フォワードコリジョンウォーニングおよび歩行者検知付き衝突被害軽減ブレーキ)、クルーズコントロール、レーンデパーチャーウォーニング、デジタルルームミラーなどを装備する。

撮影車はL2H2。商用車だが日本車とは違うデザインを持ち、キャンピグカー業界では並行輸入で扱っていたが人気が高かったという
全長的にはトヨタ ハイエースのロングボディ車と同等だが、幅と高さはL2H2のほうが大きい
カーゴスペースは内張がないので用途に合わせて仕上げるのが前提の仕様となっている。リアゲートは両開き式で、左側のみスライドドアを搭載
乗用車のようなインテリア。キャンピングカーベースと考えるとこの点も重要なポイントだ
シートの質感も座り心地もいい
10.1インチナビゲーションが採用される
エンジンは直列4気筒2.2リッターディーゼルターボ「MULTIJET3」で最高出力が180HP、最大トルクが450Nm。トランスミッションは9速ATだ

 日本の道路に対して大きめのボディサイズを持つデュカトだが、このサイズ感こそキャンピングカー市場からの期待に応えるものであるという。

 そこでStellantisジャパンが初期のターゲットして選んだのがキャンピングカー業界だ。今回の取り組みは単にキャンピングカー販売店にデュカトを扱ってもらうというだけでなく、ショールーム並びにサービスワークショップをフィアット プロフェッショナルのCI基準に則って整備するという正規販売代理店ネットワークの構築である。

 そのためStellantisジャパンは、以下に挙げる5社とフィアット プロフェッショナル正規ディーラー契約を締結。これにより広いエリアでの販売体制とサービスを提供できるようになった。なお、今後は物流や輸送といった商用車セグメントへの参入も予定しているという。

キャンピングカービルダー5社の代表にデュカトの魅力を聞く

 今回フィアット プロフェッショナル正規販売代理店として契約をしたキャンピングカービルダーは、岐阜県可児市のトイファクトリー、茨城県常総市のアールブイランド、福岡県遠賀郡のナッツ、愛知県名古屋市のホワイトハウス、香川県高松市の岡モータースの5社。

 これら正規販売代理店は順次供給を受けるデュカトの架装を進め、2023年2月に幕張メッセで行なわれる日本最大のキャンピングカーイベント「ジャパン キャンピングカーショー2023」に、キャンピングカーを始めとする多彩な架装車両をお披露目する予定。日本のキャンピングカー市場に広く影響を与えるであろうフィアット プロフェッショナルのデュカトキャンパーに興味がある人は、ジャパンキャンピングカーショーの日程を調べていただきたい(9月15日時点では日程未定)。

発表会にはStellantisジャパン株式会社から代表取締役兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏も出席

 発表会にはStellantisジャパンの代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏も出席してスピーチを行なった。

 ポンタス氏は「Stellantisジャパンは3つのグレードを持つデュカトと、フィアット プロフェッショナル正規販売代理店の立ち上げにより日本で販売されている海外の自動車メーカーでは初めて日本のRVマーケットに直接参入いたします。今回導入するデュカトはヨーロッパにてセグメントシェアを7割以上取っているという実績を持っています。日本は乗用車メーカー8社に加え、商用車メーカーも4社あるという大変成熟した自動車大国で、世界的にも競争が激しい市場でもあります。また、高齢化などの社会課題も抱えているので自動車市場としては将来を不安視する声もあります。しかし、われわれは今年開催されたジャパンキャンピングカーショーに出展して以来、多くの方々から好意的な意見をいただき、ここにチャンスがあると考えました。そこでわれわれは日本向けのデュカトについて時間と投資を惜しまずに企画してきました。今回導入するデュカトはメーカー保証は当然のこと、パーツ供給についても万全な体制を敷いています」とデュカトについて紹介した。

キャンピングカービルダー企業の代表にデュカトの魅力と期待値をうかがったところ、これからのキャンピングカー業界に欠かせない存在になるであろうということを全員が口にした

 質疑応答の時間に各ビルダー企業の代表にデュカトの魅力を伺ってみたので、順に紹介していこう。

 まずはトイファクトリーの藤井氏。藤井氏は「デュカトの正規導入にはものすごく期待していました。キャンピングカーの中では“バンコン”と呼ばれるジャンルが一番売れています。ハイエースでいうと全長5.4mのものです。デュカトはそれと同車格になるクルマですが、エクステリア、インテリアのデザインが優れている点に加え、車内レイアウトの自由度が非常に高いところ、それに何より安全性能が高いという面にとても期待しております」と答えてくれた。

株式会社トイファクトリー代表取締役の藤井昭文氏

 つぎにアールブイランドの阿部氏。阿部氏は「弊社では約15年前からデュカトのキャンピングカーを並行輸入して販売していましたが、購入されたオーナーさまからはデザインのよさ、乗り心地のよさ、走行安定性の高さなどを評価していただけたクルマでした。ただ、唯一ネックだったのが並行輸入車ゆえに整備や修理のパーツの入手に時間が掛かるところでした。ここはパーツを揃え切れていなかった弊社の責任でもあるのですが、今回は正規輸入ということで整備や修理の点でユーザーさまにご迷惑をかけない体制になることが嬉しいことです。保証も3年10万kmになるので、弊社としてはこれはやるしかないという意気込みでいます」ということだった。

株式会社アールブイランド代表取締役の阿部和英氏

 また、ナッツの荒木氏は「現状、キャンピングカーのベースになるクルマを探すと国内の自動車メーカーでは限られたモノとなります。その状況に対してデュカトの導入はとてもいい刺激になります。また、数年前までの旅行業界では飛行機や鉄道のみを旅行の移動手段と捉えていたようで、旅行を扱う大きな展示会でも“クルマの旅”が取り上げられることがありませんでした。ところが近年のキャンピングカーの流行により“クルマの旅”がそういった展示会で取り上げられるようになっています。このように注目度が高まる“クルマの旅”において、魅力的なベース車であるデュカトの正規導入は大きな出来事です。Stellantisジャパンさまにはとても感謝しています」と答えた。

株式会社ナッツ代表取締役の荒木賢治氏

 そしてホワイトハウスの木村氏は、「ヨーロッパでは約7割のシェアを持つクルマなので、われわれにとってもお客さまにとってもデュカトは待望のクルマです。日本のキャンピングカーではバンコンバージョンというとハイエース一辺倒という面が強くありますので、われわれは車体構造の制約のある中で広がるニーズに応えていく必要がありました。期待に添えなかったこともあったと思います。しかし、キャンピングカー作りの自由度が高いデュカトであれば、広がるニーズにお応えできるクルマ作りが可能と思っています。また、デュカトは商用バンでありますが乗り心地はとてもいいです。それに快適装備が充実している点も魅力です」と答えてくれた。

株式会社ホワイトハウス代表取締役の木村文夫氏。ホワイトハウスは乗用車のフィアットではすでに正規販売代理店となっている

 最後は岡モータースの岡氏。岡氏は「私どもの会社でもこれまでフィアット車ベースのキャンピングカーを輸入して販売していましたが、正規輸入となったことでサービス体制が充実します。これは販売側、お客さま側の両方にとって有益です。私の会社は軽自動車をベースにオリジナルのキャンピングカーを多く作っていますが、やはりスペースに制限があるので室内の作りには苦労するところがあります。それに対してデュカトの広いスペースを見ると、どのように作ろうかと夢が広がっています。ここにいる各社さんはどこも実力あっていいクルマを作る会社さんですが、うちは軽キャンパー作り同様、独自のアイデアを出してほかとは違ったクルマを作っていきたいと思っています」と語った。

株式会社岡モータース代表取締役の岡宏治氏

 以上がStellantisジャパンから正規に導入されるフィアットの商用車ブランド「フィアット プロフェッショナル」の正規販売代理店契約締結に関する発表会の主な内容。デュカトはすでに数十台が日本へ入ってきていて、適宜海運で日本へ向かっているとのこと。そして来月より正規販売代理店に納車されて、それぞれの企業の生産ラインにてキャンピングカーへと架装される。お披露目は2023年のジャパンキャンピングカーとのことなので、機会があれば完成したデュカトのキャンピングカーを紹介したい。