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奥川浩彦の「撮ってみましたF1日本グランプリ2022」(後編)
2022年11月8日 08:59
3年ぶりにお届けする「撮ってみましたF1日本グランプリ」。前編では雨に見舞われた金曜日の様子などをお伝えした。
後編は予選の行なわれた土曜、雨の中行なわれた日曜の決勝の様子などをお伝えしよう。
土曜は晴れ、伊勢湾岸道でプチ渋滞
前日の豪雨はおさまり、予選が行なわれる土曜日はまあまあ晴れ。秋晴れ、快晴とはならなかったが雨の心配はなかった。この日から周辺機器メーカー時代の同僚のKさんが観戦するので、自宅近所の名古屋鉄道堀田駅でピックアップし鈴鹿へ。前日の雨で濡れた機材は自宅で一晩乾燥してクルマへ、レインウェアやカメラのレインカバーは干したまま自宅に放置した。
セッション開始は金曜日と同じだがカメラのセッティングなどが終わっているので前日より1時間以上遅く出発、7時11分に名古屋高速に乗るとガス欠のランプが点灯した。伊勢湾岸道に入ると東海ジャンクション(JCT)付近から減速、名港トリトン(名古屋港の3つの橋)の青、白、赤の青い橋の手前で渋滞となった。
東名阪道へ回避を考えたが道路情報を見ると東名阪も渋滞。3連休+F1の軽めの渋滞らしく、そのままみえ川越ICを目指すこととした。
ほどなく渋滞解消、みえ川越ICを7時47分に降りてこの日は国道23号へ。国道23号を選択したのはそれほど渋滞していなかったのと給油のため。四日市・いなばポートラインにはガソリンスタンドがなく、普段使わない国道1号よりガソリンスタンドの場所を知っている国道23号が確実と考えた。
ガソリンスタンドで給油をして吉野家のある交差点を右折して近鉄四日市駅近くのホテルでライターの笠原氏をピックアップ。国道23号へは戻らず国道1号で鈴鹿へ。裁判所前の交差点を右折して中央通りのコンビニに寄り飯野小学校の先でサーキットホテルの前を通る道に合流し、ダラダラと民営駐車場の様子などを見ながら9時13分にサーキットの駐車場に到着した。
にぎわいが戻ってきたGPスクエア
チケットを譲ったトラベルWatchの湯野編集長は6時過ぎの新幹線で東京を出て近鉄を利用して10時ごろにグランドスタンド裏のGPスクエアに到着。FP3の後には「スマホでもこれくらい撮れちゃうよい席をありがとうございました。」とS字スタンドで撮った写真が送られてきた。自動配席されたS字指定席は予想どおりの景色。できればワンブロック右側がよかった。
ドライコンディションのFP3は130Rから
土曜日はドライコンディション。嬉しい。雨は雨ならではの絵が撮れるので好きだが撮影は過酷になることが多く、観戦しやすさも考慮すると晴れたほうがよい。FP3は130Rとデグナーのイン側で撮影。12時セッション開始だがメディアシャトルは11時出発。130Rでバスを降りてデグナーが見下ろせるポスト付近で待機。たっぷり時間があったのでマーシャルの人と雑談して過ごす。話題は数年ぶり?に草刈りがされたこと。8月のSUPER GTでは胸高の雑草に覆われていたが見違える光景となっていた。
デグナーイン側の土手も草刈りが行なわれたが、かろうじて残っていた丸太の階段が姿を消していた。マーシャルの人に「杭だけ残ってますよ」と言われ近付くとわずかに杭の頭を見ることができた。「危ないよね~、そろそろ誰か滑落して怪我するよね~」「登山用のザイルが欲しいね」などと意見が一致した。
階段のなくなった土手を日本人カメラマンが登ってきた。お互いに“あっ”と表情が変わった。2週間前、モビリティリゾートもてぎで行なわれたMotoGPのメディアセンターで近くの席にいたカメラマンだ。聞くと世界的通信社のカメラマンで世界戦だけ撮影するとのこと。数日前は国葬の撮影に行ったとか、東京オリンピックのときは海外から応援が来るし、セウォル号沈没事故のときは日本から韓国に行ったなど通信社事情を聞くことができた。
コロナ禍でメディア関係者の人数が制限され、2020年から国内レースを撮っているカメラマンの人数は減少した。元々MotoGPとF1グランプリは普段国内レースを撮っているカメラマンが1/10程度なのだが、今年はさらに少ない印象。ただし国際レースになると新聞社のカメラマンがドッと増える。若い読者で将来F1を報道エリアで撮影したい人は新聞社のカメラマンを目指すのが近道かもしれない。
長い待ち時間が終わりFP3がスタートした。レンズは「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」「EF300mm F2.8L IS II USM+EF-EOS R」、晴れたのでスローシャッター用に「EF24-105mm F4L IS USM+EF-EOS R ドロップイン 可変式NDフィルター A付」の組み合わせだ。
最初は130Rの立ち上がり。ここ1~2年撮っている場所で3年ぶりとなるF1では初めて撮る場所だ。焦点距離105mm、シャッター速度1/60秒。マシンを右下に配置し左側に130Rの縁石、西ストレートとその観客席を背景として流す撮影だ。背景に写り込むものが多いので電子シャッターのローリングシャッター歪みを避けメカシャッターで撮っている。
デグナー2つ目は流し撮りに最適な撮影ポイント
デグナー2つ目を見下ろす草刈りされた丘の上に移動。「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」を装着したカメラに持ち替えて撮影。ここは流し撮りに最適な撮影ポイントだと思っている。
ここでプチ流し撮り撮影講座……デグナーが流し撮りに最適な理由は4つ
①背景がシンプルでシャッター速度によるスピード感の差が少ない
②コーナーのイン側から撮影できる
③マシンとの距離がほどよい
④進入するマシンが認識しやすい
①の背景は目立つものの流れる量が少ない(長さが短い)とスピード感がなくなる。デグナーでシャッター速度を1/125秒、1/60秒、1/30秒と変化させた場合、クリック拡大する前の小さな写真ではシャッター速度の差が分かりにくい。速いシャッター速度で撮影できると成功率が高くなる。加えてミラーレスなら電子シャッターによるローリングシャッター歪みが目立たないため成功枚数を増やすことが可能だ。
これに対し2コーナーのアウト側で撮った写真は背景の激感エリアの人が目立つため、シャッター速度による差が大きく、遅いシャッター速度で撮らないとスピード感に差がでやすい。
②のコーナーのイン側で撮るメリットはマシンの向きが一定となるからだ。例えば半径50m(50R)の円の上をマシンが周回するとしよう。回転中心からマシンを見ると、ずっと同じ面を向けていることになる。地球から見た月と同じだ。その周回するマシンを円の外から見るとマシンの顔が見えたり右側面、お尻、左側面とさまざまな面が見える。アウト側から撮ると露光中にマシンが回転するため被写体ブレを起こしやすくなる。
③のマシンとの距離は②の回転中心が流し撮りがブレない理論的理想距離という側面が1つ目。さらに被写体が美しく見える距離という側面が2つ目。単純に言うと近すぎず、遠すぎずということだ。筆者は鉄道は撮らないが、新幹線を通過するホームや、在来線を踏み切りで流し撮りをすると近すぎるように思う。適度に離れて先頭から数両が自然に見える距離の方が車両が美しく見えそうだ。
④はデグナー1つ目からマシンが認識できるので、「レッドブルとハースが来たからレッドブルを撮ろう」などと判断するゆとりがある。ブラインドコーナーで音だけたよりに見えた瞬間にスイングする撮影は撮り逃しと失敗が多くなる。
このデグナー2つ目は報道エリアだが、ほぼ同じ条件を満たす(=流し撮り最適撮影ポイント)が観客エリアにもある……答えはCMの後で、はなくこの記事の後半で。
130Rからデグナーへ
FP3の撮影開始は130Rの立ち上がりだったが、今度は西ストレートが奥まで見える130Rクリッピングポイントのアウト側。まず西ストレートを向かってくるマシンを斜め前から撮影。前日のスプーン正面と同じく被写体追尾が威力を発揮する撮影だ。
クルッと向きを変え130Rからシケインに向かうマシンをほぼ満席となったQ2席スタンドをバックに背後から撮影。これも被写体追尾の効果が生かせる撮影だが、左、右、左とレコードラインが移るので、フレーミングを固定すると被写体ブレが出やすいのでシャッター速度は1/800秒と速めにした。
カメラを持ち替え「EF24-105mm F4L IS USM+EF-EOS R ドロップイン 可変式NDフィルター A付」で流し撮り。130Rを抜けるマシンを焦点距離50mmで130Rイン側の土手+観客席を背景にシャッター速度1/40秒で撮った。背景に目立つ建造物がなかったのとシャッター速度が遅かったので、少しでも成功写真の枚数を増やすため電子シャッターを選択した。
「そろそろ誰か滑落しそうな」斜面を半歩ずつ慎重に杭の頭を探しながら降りた。デグナー1つ目と2つ目の中間。シャッター速度1/30秒、電子シャッターで撮ってみるとDHLの看板や金網の支柱がかすかに斜めに見えるが、ほとんどの人は言われないと気付かないレベルと考えそのまま電子シャッターで撮影した。背景の空が影響してアンダーになるので露出補正は+0.33(1/3)としている。
アッ
FP3の残り時間は6分+α。立体交差に移動する途中、2022年F1日本グランプリ最大のアクシデントが(筆者に)発生した。土手の下に側溝(どぶ)があり、ガードレールと側溝の地面の幅は歩ける距離がある部分と片足が置ける程度のところがある。晴れているときは側溝の底を歩いたり、土手側を歩いたり、かなり移動し辛い。加えて草刈りした枯れ葉がガードレールの内側、側溝、土手に数十センチたい積していて、踏んでみないと何十センチ沈むか分からない。
肩に掛けたレンズがガードレールに当たることがあるので、自前のサンニッパ(EF300mm F2.8L IS II USM)をガードレール側となる左肩、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM装着のEOS R7を右肩、右手にEF24-105mm F4L IS USM装着のEOS R7を付けた一脚を持って立体交差へ向かっていた。
アッ、滑った瞬間に息が止まった。土手側の右足が滑り転倒。右肩のRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMのレンズフードが土手に突き刺さり、その上に筆者の右あばら骨が激突、右手に持った一脚もEF24-105mm F4L IS USMのレンズフードが土手に刺さっていた。
30秒だろうか1分だろうか倒れたまま動けなかった。横を見るとRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMのレンズフードが土手に突き刺さったまま。倒れたまま引き抜くとフードに内側に泥は付いていたがレンズはギリギリで大丈夫だった。
起き上がって「あばら骨が折れたかな?」と思いつつ、スマホで転倒場所を撮影。刺さったレンズフードを引き抜いた跡が残っていたのでそれも撮影。1980年代の鈴鹿サーキットは2コーナーからS字、逆バンク、ダンロップまで、ほとんどが土手で雨が降ると粘土質の土手で滑って滑落する人は珍しくなかった。筆者もF1開催前のS字の土手で滑り、カメラを胸に抱えたままお尻を泥だらけにしたことがあった。2015年には一緒に行動していたデジタルカメラマガジンの編集の人がヘアピンで滑落した。トレッキングシューズを履いていて転倒した筆者が言うのも説得力がないが、滑りにくい靴を履くなど注意していただきたい。
それでも立体交差下へ
セッションが終わってしまうので痛みをこらえて立体交差下へ向かった。残り時間は1分。チェッカーが振られた跡も1周は走るので実質は5~6分。立体交差に進入するマシンをマニュアル露出でISO400、シャッター速度1/60秒、絞りF5.6、電子シャッターで撮影。スタート練習の後に通過するマシンも来るのでヘアピン側に移動して出口も撮影。ここは電子シャッターでは立体交差上の看板と金網にローリングシャッター歪みが目立つことを8月のSUPER GTで確認しているのでメカシャッターに切り替えて撮影。FP3が終了した。
しばらく待ってシャトルバスでパドックへ。CPS(キヤノンプロサービス)に直行した。事情を話し泥の付いたレンズフードを清掃。15時から始まる予選セッションのバス出発時間は14時20分。メディアセンターを出るまで30分ほど、あわてて弁当を食べて予選に向かった。
バリエーションを撮る
予選はデグナーのアウト側。予選日の記事で使用する写真は主にトップ3。FP3でデグナー2つ目の右向きの写真と西ストレートでやや正面の写真を撮っているので、予選では左向きと正面を撮る。事実上レッドブル、フェラーリ、メルセデスの6台の正面、右、左の写真があれば誰がトップ3になっても向きの違うトップ3が用意できる。スローシャッターの写真は記事には使いにくく、フォトギャラリー用だ。
予選Q1はデグナー1つ目から2つ目を流し撮り。最初はマシン全体を大きめに撮るが、F1の予選はアタックラップだけ極端に速く、アウトラップと同じリズムで振るとマシンの頭が切れることがあるため。かなりゆとりを持ってフレーミング。EOS R7の解像度は横6960ピクセル。フォトギャラリーは1920ピクセル。トリミングのゆとりがある。セッション後半は背景の土手の高さを生かしマシンを右下に小さめに入れて撮影。焦点距離を広角側にズームしたので、スピード感を保つためシャッター速度を遅くした。こうして同じ場所で印象の異なる絵を増やしている。セッション終了間際に撮影場所を進入側に移動。Q2席スタンドを背景に入れてデグナー1つ目のクリッピングポイントを通過するマシンを撮って終了だ。
予選Q2の最初はヘアピンに向かうマシンを背後から撮影。国内レースに比べF1はデグナー立ち上がりでスナップするマシンが多かったと思う。縁石をまたいだりカウンターをあてるシーンを何度も目にした。
前面に対し背後からの撮影は難易度が高い。近付いてくるマシンはフレーミング、AFなど撮影者もカメラもゆとりがある。背後からの撮影はフレームインした直後に撮影することもあり撮影者もカメラも難易度が高くなる。自動追尾機能はフレーミングを決めて待ち伏せするようにフレームインしてくるマシンを待っていれば高い確率で撮ることができる。
背後からの撮影を済ませデグナー2つ目をマシン正面から撮る場所に移動。最初はクリッピングポイントをカッチリ。次は立ち上がりをそのままカッチリ。最後はシャッター速度1/30秒にしてヘルメットを芯としてマシンは回転ブレするように撮った(撮れた)。同じ場所で3バリエーション撮ってQ2は終了だ。
予選Q3はEF300mm F2.8L IS II USM+EF-EOS Rでヘアピンに向かうマシンを正面から撮影。サインツがカウンターをあてる写真をフォトギャラリーでは選択した。
予選が終了。シャトルバスでパドックに戻りたいが、AWSの看板がアウト側のガードレールに取り付けられていて、普段はガードレールの切れ目を通ってコースに出るが、切れ目が看板でふさがれていた。最初の撮影ポイントまで戻れば切れ目はあるがかなり遠い。
子どものころは軽かったし身長より高いところから飛び降りたりしたが、ジジイはガードレールを飛び越えるリスクは避けてきた。ガードレールの内側に壊れかけの台がある。2台のカメラは先にガードレールのコース側に置き、カメラマンベストのレンズを手で押さえ台からジャンプ。あばら骨に痛みが走るが何とか着地できた。怖かった~・
いいかも「ファミリーピットウォーク」、前夜祭は大人気
メディアセンターに戻ると予選記事で使用する写真の選択とレタッチ。作業中にコースを見るとS席ファミリシート限定のファミリーピットウォークが開催されていた。今年は木曜日のピットウォークがなかったので、ピットウォークはパドッククラブ限定。ファミリーピットウォークに参加できた親子は超お得なシートとなった。グランドスタンドは前夜祭を待つ観客でギッシリとなっていた。
記事で使用する写真をアップして、初のメディカルセンターへ。経緯を説明し「折れてても折れていなくても湿布ですね」ということで湿布を貼ってもらい、翌日分の湿布も渡された。メディア関係者は保険に入っているので治療費は無料だ。
外は暗くなりグランドスタンドで恒例の前夜祭が始まった。記事を公開しこの日の作業はすべて終了した。
トラベルWatchの編集長によると17時ごろの白子駅行きシャトルバスの待ち時間は20分ほど。大量のバスが待機していて、3台ずつ乗車させて次々と出発していたとのこと。
駐車場を19時03分に出てサーキット道路を右折。土日は中勢バイパスがバス専用道となって白子駅行きのバスの時間短縮に貢献している。前日の中勢バイパスはテールランプの列が眩しいほどだったがこの日は真っ暗。側道は使えるようで、前日と同じルートで稲生高校方面を抜けることにした。
中勢バイパスの側道に入ってからは渋滞なく国道23号へ。四日市市内に入り渋滞。中西電機看板が眩しい六呂見町の信号で右折して空いている県道6号を北上。近鉄四日市駅近くのホテルで笠原氏を降ろし、混雑気味の国道23号を避け国道1号を名古屋方面へ。途中で右折して国道23号をくぐって四日市・いなばポートラインを通って19時58分にみえ川越IC。20時20分に名古屋高速 呼続ランプを降りた。
日曜が雨予報になったので干しておいたレインウェア一式をバッグへ。あばら骨の痛みは寝返りができないほどとなっていた。
3日間異なるルートで鈴鹿へ
日曜日、天気予報は午後から雨。朝の時点では決勝の途中から雨となっていた。決勝は筆者にとってアニバーサリー。1987年から2019年まで33年間金曜、土曜、日曜と皆勤賞(1回FP1遅刻)。土曜が台風で2回キャンセルになっているので2019年終了時点で97日観戦となっていた。決勝日はF1日本グランプリ100日目となる。実はすっかり忘れていて、この記事を書くに際し2019年の記事を見てレース後に思い出した。付け加えるとキヤノンA-1を買ってサーキットで撮影を始めたのが1982年の秋。40年が経過した。
前日と同様、Kさんを名古屋鉄道堀田駅でピックアップし名古屋高速 呼続ランプを8時半に通過。前日より1時間以上遅い。この日は伊勢湾岸道は渋滞なし、みえ川越ICを8時52分に降りて国道23号へ。四日市競輪の先が渋滞していたので右折してカインズホームの前を通過して国道1号にシフト。9時13分にホテルに到着した。みえ川越ICからホテルへのルートは3日間異なるルートとなった。
笠原氏をピックアップして国道1号へ。前日は真っ直ぐ鈴鹿市内に向かったがこの日は右折して1号線バイパスを亀山方面へ。途中で鈴鹿PAスマートICからサーキットへ向かうルートと合流する。上野町の交差点を左折して県道27号へ。鈴鹿川を渡る定五郎橋はやや渋滞。渋滞の理由はGoogleマップが橋の先の信号を右折してサーキットへ向かうルートを提案するためと思われ、右折車線がないため渋滞が発生気味。直進し道なりに進むと「鈴鹿サーキット4.5km」の看板のある甲斐町の信号を右折、直進すればサーキットだ。
途中のローソンに寄ると「日本グランプリガイドブック」というフリーペーパーが置かれていた。民営駐車場の情報などが載ったアクセスマップ、おすすめお帰りルート、白子駅・稲生駅の時刻表に加え鈴鹿市のふるさと納税やグルメマップなど情報満載だ。ちなみに3日連続でローソンを利用。そう、F1チケットの販売はローチケ。F1期間中のコンビニは積極的にローソンを利用している。
サーキットへ向かう道は渋滞気味。東側に逃げ中勢バイパスをくぐって祓川池の脇を抜け鈴鹿サーキット稲生駅と中勢バイパスの中間の信号を右折してサーキット道路に入り関係者駐車場に10時07分に到着。ホテルから鈴鹿サーキットも3日間異なるルートとなった。駐車場には警察関係者の姿。この日は岸田総理が来場するのでものものしい雰囲気だ。決勝日とあって駐車場内が大渋滞、駐めるのに15分を要した。
ドライバーズパレード
12時からドライバーズパレードが行なわれた。筆者が撮影を苦手とするドライバーズパレードだ。今年はドライバーの登場が例年と異なった。過去は最終コーナー側のピットからバラバラとドライバーが出てきてメインストレートに停止しているヒストリックカーに乗り込む方式だったが、今年はスタンド前の地下通路からドライバーが登場した。ファン感謝デーなどのイベントで登壇者が出てくる階段だ。赤絨毯が敷かれ絨毯に沿ってメインストレートへ。比較的順番に登場するので撮影はしやすくなった。
出てくる順番はバラバラ。同じチームのドライバーが一緒に出てきたり、そうでなかったり。アロンソとサインツが一緒に出てくると、どちらも撮りたいので撮る側はゆとりがなくなった。結果として例年よりは多くのドライバーが撮影できた。来年はチームごとに名前を呼んで1人ずつ登場してくれるとさらに撮りやすくなるだろう。
ドライバーズパレードの途中、雨がポツリと降ってきた。
決勝スタート、そして赤旗
天気予報は外れレコノサンスラップから雨。レース開始のころには雨足は強くなっていた。S字進入付近に向かう途中C席スタンドをスマホで撮影。完売、満員の観客席が嬉しい。
フォーメーションラップ。水しぶきでフェルスタッペンの後ろのマシンは見えない。大丈夫?これでスタートするの?と思ったが決勝がスタート。2位ルクレール、3位ペレスのマシンは見えない。ヘアピン立ち上がりでサインツがクラッシュ、SC~赤旗となった。
レコノサンスラップと決勝では雨量が増え路面コンディションが異なっていた。たらればを言えば全員がエクストリームウェット、ローリングスタートで数周回ってからスタートしていたら長い中断にならなかったかもしれない。
しばらく再開する感じがしなかったので機材はその場に置いて2コーナーのイン側へ。今回、2コーナーのイン側が撮影禁止(レッドゾーン)になっていた。例年は国内レースは背後の激感エリアのアマチュアカメラマンの邪魔になるので報道エリアは撮影禁止。F1は激感エリアがないので撮影可能だった。よく分からないレッドゾーン。行ってみると看板が顔の高さまであり台に乗らないと撮影はできない。マーシャルの人も「レッドなんですよね」と話しをしてS字に引き返した。
待つこと30分、「10分後14時50分再開」とアナウンスが出るも1分前にキャンセル。メディアセンターを出て2時間弱、15時半ごろ「このまま中止かなあ」と思いメディアセンターに戻り、湯野編集長に「中止濃厚ですね」とメッセージを送ると「今バスに乗りました(笑)」と返信があった。友人達からも撤収の連絡。Googleマップを見るとすでに渋滞が始まっていた。
40分、実質22周のスプリントレース
16時過ぎ「10分後、16時15分再開」のアナウンス。あわてて準備をしてコースサイドへ。残り40分でSCがいなくなりレース再開。実質22周、超短いF1日本グランプリがリスタートした。
再開後の最初のラップはS字からB席スタンドを背景にシャッター速度1/400秒で写し止める。次は同じ場所でシャッター速度1/80秒に落として背景を流す撮影。
S字1つ目に移動し、シャッター速度1/125秒、焦点距離106mmで流し撮り。すぐにS字トンネルをくぐってアウト側へ移動した。
S字1つ目を正面から撮影。シャッター速度を戻し忘れて1/125秒のまま撮ったら止まっていた。焦点距離400mm。シャッター速度を1/500秒に変えて何台かカッチリ撮影したあと、シャッター速度1/80秒に下げて立ち上がりを焦点距離254mmで流し撮り。ヘルメットだけ止める撮影だ。
レースは残り20分チョット。2コーナー方向に移動し2コーナー立ち上がりのコース上の川で水しぶきが上がるところをシャッター速度1/125秒、焦点距離186mmで流し撮り。この位置はミラーがバイザーに被り目隠し状態でイマイチだがこれ以上先に進む時間がない。同じ位置で看板を背景にシャッター速度1/100秒、焦点距離176mmで撮影。
S字進入、ピットビルとグランドスタンドが背景となる位置まで戻ると残り15分。レンズをRF24-105mm F4 L IS USMに換えたいが小雨の中、交換時間がもったいないのでそのままRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMで撮ることに。シャッター速度1/50秒、焦点距離109mmでピットビルとグランドスタンドを背景に撮影。
レース終了まで10分。小走りにS字2つ目まで移動。サンニッパは道に置いて土手を滑落しないようにD席の金網まで上がり金網沿いに2コーナー方向に少し移動。最前列の観客に「お邪魔します」と挨拶をして、シャッター速度1/125秒、焦点距離100mmで2周だけ流し撮り。ここは背景に建造物がないので電子シャッターで成功枚数を稼ぐ作戦。
この瞬間を友人I(ポルシェの人)の娘さんが撮っていて後日写真が送られてきた。撤収したはずだったがI氏と娘さんはグランドスタンド裏で雨宿り。友人A氏はクルマに戻って待機。レース再開をラジオで聞いて席に戻ってきたらしい。
観客エリアの流し撮り最適撮影ポイントはこのS字2つ目の左ターン。デグナーと左右は逆だが4つのポイントを満たしている
①背景がシンプルでシャッター速度によるスピード感の差が少ない
②コーナーのイン側から撮影できる
③マシンとの距離がほどよい
④進入するマシンが認識しやすい
F1開催時は指定席なので空いている金曜だけとなるが、国内レースであれば観客席の中段から最上段、観戦者のいないところから快適に撮ることができる。①の条件を外すと2コーナーイン側の激感エリアもお勧めだ。
残り3~4分。土手を降りて逆バンクへ向かう途中でチェッカーが出た。ファイナルラップじゃないのと思いつつ逆バンクで撮影を開始するとフェルスタッペンがウィニングラップとは思えない速度で通過。その後もバトルをしながら走り抜けるマシンがあったが、最後から2番目に通過した角田が観客に手を上げる姿を撮って雨のF1日本グランプリは終了した。慌ただし撮影となったが、観客のことを考えると再開できてよかったと思う。
ここでシャトルバスに乗るとレース直後の観客を見ながらグルッとコースを1周してピットまで運んでくれて、バスを降りるとシャンパンファイトが始まるころとなる。
「フェルスタッペンが年間チャンピオンらしいよ」「ハーフポイントじゃないの」など情報が交錯する表彰式となっていた。
メディアセンターに戻る途中フェルスタッペンの旗を広げた親子がいたので「Car Watchという媒体で掲載して大丈夫ですか」と確認しスマホで撮影。帰宅後に録画を見ると国際映像にも登場していた。
チケット完売、渋滞は?
レース後も最終ラップがプラス1周あるなしの認識のズレ、赤旗から再開したレースはチェッカーまで走るとフルポイントなどルール面で疑問符の残ることとなり、笠原氏によると世界を転戦する回りの外国人記者も理解できずザワザワしていた。
決勝の記事を終わらせ20時10分メディアセンターを出るとパドックは撤収作業中。これをときに3週連続で移動する仕事は過酷だと感じながらパドックを後にした。
20時23分に駐車場を出てサーキット道路へ。空いていたのでF1マートの先を左折するいつものルート。国道23号に出る南玉垣町北の信号で「あれ四日市市内渋滞してる」となり、国道23号を逆走して笠原氏を白子駅で落とすことに。5分ほどで白子駅へ。そこから金曜と同じ海沿いの県道6号を北上。工場夜景には向かわず県道6号を四日市市内まで進み国道23号に入り21時26分にみえ川越ICから伊勢湾岸道に乗り、名古屋高速 呼続ランプを21時49分に出て、名鉄堀田駅でKさんを落として名古屋の自宅に帰宅し、シャワー、仮眠の後深夜に川崎に移動した。
3年ぶり、チケット完売のF1日本グランプリの渋滞はいつもどおり。道は生き物で出発の時間が異なると結果も異なる。集計すると
往路:名古屋高速→サーキットは
金曜:1時間39分
土曜:2時間2分(伊勢湾岸道渋滞と給油が原因)
日曜:1時間37分(最短)
※四日市のホテルとコンビニ経由
復路:サーキット→名古屋高速は
金曜:1時間43分(白子駅経由)、
土曜:1時間17分(ホテル経由)最短
日曜:1時間26分(白子駅経由)
みえ川越ICとなか卯付近の合流までは6回通って8~9分と国道23号と四日市・いなばポートラインの差はなし。みえ川越IC出口が渋滞していた金曜朝に国道23号を通って10分以上かかれば回避ルートと言えるが、差がでる日は少ない印象だ。
四日市のホテルからサーキットも国道23号、国道1号、国道1号のバイパスと異なるルートで51分~54分と大差なし。
SNSで「F1 渋滞」を検索すると「F1渋滞、18:00にサーキットを出て約3時間たちますが、まだ鈴鹿インターにたどり着きません(笑)」など鈴鹿ICを目指した人の渋滞報告が目立つ。鈴鹿サーキットは市街地に位置するので道の選択肢は無数にある。大渋滞しているとき東名阪道の鈴鹿ICや四日市市内の国道23号を回避すれば道中は楽に観戦できるだろう。
決勝9万4000人、延べ20万人
今年のF1日本グランプリの入場者数は金曜日が3万8000人、土曜日が6万8000人、日曜日が9万4000人、延べ20万人となった。過去34年のF1日本グランプリと比較して見よう。
日曜日は2017年の6万8000人をボトムとして3大会連続で増えている。日曜日が9万人を超えたのは小林可夢偉が表彰台に立った2012年以来8大会ぶりとなった。延べ人数20万人も2012年以来だ。わるくない数字だ。
筆者はチケット完売と聞いて「やったね10万人越え」を期待したがサーキット関係者に聞くと「仮設スタンドを増やさないと入場者数を増やすことは難しい」とのこと。コロナ禍で開催できるか分からない時期に仮設スタンドなどの計画を決定するので、中止となるリスクを考えると大幅な仮設スタンドの用意は難しかったようだ。残念。10万人越えは来年に期待しよう。
延べ20万人は久しぶりの大台と感じるが、2022年の海外のF1グランプリ入場者数をみると、アメリカGP 44万人、オーストラリアGP 42万人、イギリスGP 40万人は驚異的だ。スペインGP 28万人、オーストリアGP 30万人、ハンガリーGP 29万人、ベルギーGP 36万人など30万人が世界的な基準と感じられる。少ないのはフランスGPと日本の20万人。F1日本グランプリがずっと継続開催されるように、まずは決勝12万人、延べ24万人を皆の力で達成したい。
カードリーダーを一新
EOS 7D Mark IIはメモリーカードがSDXCとCFだったので時間はかかるが1つのカードリーダーで同時にコピーができた。EOS R7のメモリーカードはSDXCの2スロット。2枚のSDXCカードが同時に読み取れると差し替えの手間と時間ロスを減らすことができる。
探してみるとUSB 3.2 Gen2対応(10Gbps対応)でSDXC×2スロットというカードリーダーが発売されていた。これなら2台のEOS R7で撮った写真を同時にPCに取り込むことができる。従来のUSB 3.0(USB 3.2 Gen1)より理論値で2倍のデータ転送が可能だ。このカードリーダーは最近メディアセンターで人気が高まっているProGrade Digital社の「PG08」だ。
昔使っていたマルチスロットのカードリーダー(USB 3.0 型番不明)、今まで使っていたLexar LRW300U(SD、CFデュアルスロット)、新しく用意したProGrade Digital PG08(SD UHS-II×2スロット)で簡単な速度比較をしてみた。使用した計測ソフトはCrystalDiskMark、SSDやHDD、メモリーカードなどストレージデバイスのRead/Writeの速度が計測できる。PCはUSB 3.2 Gen2対応、CPUは11世代Intel Core i5-11500 2.70GHz、各カードリーダーにはSDXCカードProGrade Digital「COBALT 300R」を挿して計測した。
マルチスロットの古いカードリーダーに対しLexar LRW300Uは約2倍、ProGrade Digital PG08は約6倍となった。筆者が使用しているノートPCは「ThinkPad X1 Carbon(2018)」。メディアセンターでこのPCに画像を保存し、帰宅後のデスクトップPCに移す。このThinkPad X1 Carbon(2018)でカードリーダーProGrade Digital PG08を同じ方法で計測すると、自宅デスクトップPCより少し遅くなるが、従来のカードリーダーよりかなり速い。
現場作業のワークフローは現在検討中。高速なカードリーダーが生かせる方法を見つけたい。
最後は筆者からのプレゼントだ。F1などを一緒に取材している笠原氏のPCの壁紙は2019年に筆者が撮った写真だ。更新できなくて申し訳ないと感じていた。笠原氏が自宅ディスプレイを解像度は5120×1440ドットのU4919DWに変更したときはフルHDの写真では物足りないと思い高解像度の写真を提供した。
Car WatchのフォトギャラリーはフルHDで提供され「壁紙に使っている」という声を聞く。4Kディスプレイも一般的になっているので、今回は4Kサイズの写真を壁紙用に用意した。興味のある人はダウンロードしていただきたい。