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ブラックベリー、AIを活用してタイヤやブレーキパッドの消耗率を予測するソリューションをCES2023で展示
2023年1月17日 12:54
- 2023年1月5日~8日(現地時間) 開催
カナダのソフトウエアベンダー「ブラックベリー(BlackBerry)」は、1月5日~1月8日(現地時間)に行なわれた「CES2023」に出展し、同社の自動車向けソリューションを展示した。
ブラックベリーは自動車向けのセキュアOS「QNX」を自動車メーカーやティアワンの部品メーカーに対して提供しているほか、「BlackBerry IVY」(ブラックベリーアイビー)と呼ばれる車載向けプラットホームソフトウエアを自動車メーカーなどに提供している。
今回同社のブースではそうしたBlackBerry IVYを利用したロバート・ボッシュ(ボッシュ)の車載システム、中国のティアワン部品メーカー「パテオ(PATEO)」向けのEVバッテリ管理ソリューション、そしてAWSのクラウド型Armプロセッサ「Graviton」を利用した開発環境などを展示した。
BlackBerry IVYを利用してAIによるタイヤ、ブレーキパッドの消耗率を予測
ブラックベリーは、QNXブランドのセキュアOSやハイパーバイザー(1つのSoC上で複数のOSを別メモリ空間で動かすために必要なハードウエアとOSの協調を実現するソフトウエアレイヤー)を提供しており、機能安全などを標準で実現していることなどからADASなどの制御系などに採用されている。
そうしたブラックベリーは、2022年にBlackBerry IVYというエッジ(車載側)からクラウドまでソフトウエア環境を一気通貫に提供するプラットホームの提供を開始しており、今回のCES2023ではBlackBerry IVYを利用したアプリケーションの展示、デモを行なった。
デモで利用されたジープ「グランドチェロキー」にはボッシュが開発したクアルコムのSA8195をSoCとして採用したECUが採用されている。その上でQNXのハイパーバイザーが動作しており、そのハイパーバイザー上でAndroid OSなどが動作しており、ユーザーインターフェースなどの表示が行なわれている。
このECU上で、BlackBerry IVYが動作しており、CompredictというドイツのAIベンチャーが開発した予測型保守機能が搭載されていた。予測型保守機能とは簡単に言うと、車両から上がってくるデータを利用してAIがセンサーでは認識不可能な部品の寿命を予測する機能だ。
前出のボッシュのECUに接続されている各種のセンサーから上がってくるデータをクラウドへアップロードする。この時に、データはBlackBerry IVYにより実現されている仮想センサーを経由してクラウドへアップロードされる。送られるデータは、例えば加速、減速、急ブレーキなどのデータになる。そのアップロードされたデータを元にAIがデータを解析して、タイヤやブレーキの摩耗状況を予測し車両に数値として表示する、そうした使い方が意識されている。
タイヤの空気圧などであればセンサーを入れてデータをとることは不可能ではないが、ブレーキパッドやタイヤの摩耗状況をリアルタイムにデータ化するのは難しいため、こうしたAIを利用した手法が検討されているということになる。
BlackBerry IVYの開発をクラウド環境で行なう開発キットのデモを実施。AWSのGraviton上で行なえる
このほかにもブラックベリーは、中国のティアワン部品メーカーであるパテオが開発したデジタルコクピットを展示した。こちらもBlackBerry IVYのAIを利用した予測機能を活用しており、EVのバッテリ管理をより高精度に行なうことが可能になるという。
また、そのほかにもブラックベリーは、BlackBerry IVYのクラウドベースの開発キットを公開した。BlackBerry IVYはどのCSP(クラウドサービスプロバイダー、AWSやMicrosoft Azureなどのパブリックにクラウドサービスを公開している事業者のこと)のクラウドサービスでも利用できるようになっているが、Amazon.comの子会社であるAWS(Amazon Web Services)と共同開発しているという背景もあり、AWSで利用するのが最も容易になっている。
そうした背景もあり、ブラックベリーがBlackBerry IVY向けに提供している開発キットは、AWSの仮想マシン(EC2サービス)上で実際に仮想マシンを走らせて、自動車メーカーがAIの開発を行ない、サイバーセキュリティーの開発が行なえるようになっている。今回ブラックベリーは同社ブースでそうした開発環境を公開し、AWSが低消費電力さを売りに導入を訴えているArmアーキテクチャのプロセッサ「Graviton」上で、そうした仮想環境を走らせることで、コストを削減しながら開発できる様子などをデモした。