ニュース

SIP-adus 第2期自動運転「自動運転Awards」表彰式実施 秋葉原UDXで成果展示会を開催

SIP-adus 第2期自動運転 PD(プログラムディレクター)葛巻清吾氏

 SIP-adusは3月7日、東京都千代田区の「秋葉原UDX」で「自動運転Awards」表彰式を実施した。この会場では3月7日~8日の2日間にわたり、2014年から日本政府が官民一体の取り組みとして推し進めてきた「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」の自動運転領域(SIP-adus)における9年間の取り組みについて総括する最終成果発表会を開催している。

「SIP自動運転の成果とその先へ!-成果展示会&自動運転シンポジウム-」を併催。成果展示会やシンポジウムとあわせて今回の表彰式も行なわれた。

 自動運転AwardsではSIP-adus第2期(2019年度~2022年度)に実施された事業を対象として、外部有識者による「自動運転Awards審査委員会」がユーザー目線や社会的観点に基づいて評価を行ない、5つの事業が受賞事業に選ばれている。

安全貢献賞「新たなサイバー攻撃手法と対策技術に関する調査研究」PwCコンサルティング合同会社

「安全貢献」賞 「新たなサイバー攻撃手法と対策技術に関する調査研究」PwCコンサルティング合同会社

 安全貢献賞を受賞したのは「新たなサイバー攻撃手法と対策技術に関する調査研究」。プロジェクトを代表して登壇したPwCコンサルティング合同会社 ディレクター 奥山謙氏は「この活動は、この会場で皆さまがご説明されている自動運転を実現する新しい技術を支える技術になります。この活動が将来の自動運転の実現に貢献できるものだと自負しておりますが、これはわれわれだけではなく、多くの皆さまにご協力いただいて得た成果だと思っております。共同研究の横浜国立大学さま、一般社団法人JASPARさまなど多くの皆さまにご協力いただいた結果だと考えております。この場を借りてお礼申し上げ、スピーチとさせていただきます」とコメントした。

人への配慮賞「自動運転の高度化に則した HMI 及び安全教育方法に関する調査研究」産業技術総合研究所

人への配慮賞「自動運転の高度化に則した HMI 及び安全教育方法に関する調査研究」産業技術総合研究所

 人への配慮賞を受賞したのは「自動運転の高度化に則した HMI 及び安全教育方法に関する調査研究」。プロジェクトを代表して登壇した産業技術総合研究所 佐藤稔久氏は「われわれは、技術を使う人の研究をしています。自動運転というのは多くの技術要素で成り立っており、SIP-adus 自動運転も多くが“技術を作る研究開発”をしていると思います。ただ、技術を作るだけでは若干無責任で、技術を使う人側の研究も必要不可欠だとわれわれは考えています。人を扱う研究は非常に難しい部分もあり、人の認知、生理、行動といった本質に迫る必要があり、われわれもそこを目指して研究開発を心がけております。今回、このような賞をいただくことができたのはその方向性を評価していただけたものだということで、非常にうれしく思います」とコメントした。

イノベーション賞「仮想空間における自動走行評価環境整備手法の開発」。神奈川工科大学

イノベーション賞「仮想空間における自動走行評価環境整備手法の開発」。神奈川工科大学

 イノベーション賞を受賞したのは「仮想空間における自動走行評価環境整備手法の開発」。プロジェクトを代表して登壇した神奈川工科大学 井上秀雄氏は「このプロジェクトはDIVPと呼んでおります。プロジェクトには2つ大きな点があり、1つは今まで安全評価についてシミュレーションを作ると、自動運転は外界が相手になりますので、このモデル化がこれまでありませんでした。環境と空間、そしてセンサーをモデル化したところがほかのシミュレータにはない特徴です。もう1点は水平分業で、それぞれ特徴を持った多くの企業が集まっているのですが、それだけにまったく性格が異なります。その集まりで、環境、空間、センサーといった分野の専門家が議論を白熱させていろいろな問題を解決していったところです。さらに『V-Drive Technologies』という会社を社会実装として作りましたので、この会社と合わせてDIVPコンソーシアムはこれからも精進していきます」とコメントした。

社会インパクト賞「中山間地域における自動運転移動サービス」一般財団法人道路新産業開発機構

社会インパクト賞「中山間地域における自動運転移動サービス」一般財団法人道路新産業開発機構

 社会インパクト賞を受賞したのは「中山間地域における自動運転移動サービス」。プロジェクトを代表して登壇した一般財団法人道路新産業開発機構 加藤宣幸氏は「このプロジェクトに関しまして、われわれコンソーシアム社にプラスして、これまで実験に参加いただいた各地域のみなさまを代表して私がここに立たせていただいていると思っております。自動運転という新しいサービス、しかも高度な技術を用いたものを地域の皆さまにうまく使っていただく、そのつなぎ役としてこれまで取り組んできました。これまでに関わってくださった皆さま、これからは社会実装として地域の方々で運用していただくことになりますので、そんなみなさまの代表として今回表彰していただいたと思っています」とコメントした。

プロジェクトとしてのサステナビリティ賞「交通環境情報の構築と活用及び東京臨海部実証実験」

プロジェクトとしてのサステナビリティ賞「交通環境情報の構築と活用及び東京臨海部実証実験」。プロジェクトを代表して登壇した三菱電機株式会社 津田喜秋氏
同じくプロジェクトを代表して登壇したトヨタ自動車株式会社 南方真人氏

 プロジェクトとしてのサステナビリティ賞を受賞したのは「交通環境情報の構築と活用及び東京臨海部実証実験」。

 プロジェクトを代表して登壇した三菱電機株式会社 津田喜秋氏は「東京臨海部での実証実験は4年間続けていましたが、実験参加社さまが30社近くあり、各社で10人、20人と参加者がいらっしゃると思います。そんな大プロジェクトでも事故なく進めて来られたことが一番ホッとしたことです。この賞をいただくことができたのも、内閣府さま、NEDOさまをはじめ各省庁さま、実験に参加していただいた各社さまとコンソーシアムの9社が力を合わせ、さまざまな支援があって成し遂げることができたと感じております」とコメント。

 同様にプロジェクトを代表して登壇したトヨタ自動車株式会社 南方真人氏は「今回のこのプロジェクトは、日本の強みである“もの作り”を生かし、SIPの研究開発の成果を実際にものとして作って、現地で実証実験するということで、非常に多くの人のご努力とご協力によって実現したものでございます。今回受賞できたのは私たち個人のみではなく、実験に関わられたすべての人を対象とした表彰だと受け止めています」とコメントした。

表彰式の最後に行なわれたフォトセッション

 プロジェクトの審査を行なった審査員からも感想が述べられ、日本自動車ジャーナリスト協会会長 菰田潔氏は「今回、審査員をやるにあたって最初に『一切忖度はいらない』と言われました。そこで縦横に評価点を付けていって、最終的に僕がポイントを付けたプロジェクトが全部表彰されているので、僕としては満足です」とコメント。

 オモテテ株式会社 CEO 高堰うらら氏は「技術の観点や、そもそも自動運転である必要性といったところまで、いろいろな観点から評価して本当に難しかった印象です。今回の賞はあくまでこれからの実装に向けたスタートのようなところがあると思いますので、これからも楽しみにしています」とコメントした。

 株式会社インプレス 執行役員/コンシューマーメディア事業部長 谷川潔氏は「SIPについては1期からずっと取材させていただいていて、ずっと『遅れている』と言われていた日本がSIPのadusのおかげで世界のトップに躍り出て、さらに今、発展していこうとしている段階です。先だってCESにも行ってきましたが、アメリカもレベル3自動運転が始まるなか、日本は現在先頭を走っていて、環境も整えられ、研究開発も進み本当に素晴らしいと思いました」とコメントした。

 scheme verge株式会社 CEO 嶂南達貴氏は「今回は若い審査員も3人ほど入っていますが、自動運転が実現したあとの社会を考えた場合に残っていくレガシーがあると考えて、サスティナビリティという観点から選ばせていただきました」とコメントした。

 表彰記の最後はSIP-adus 第2期自動運転 PD(プログラムディレクター)葛巻清吾氏があいさつを行ない、「このアワードを選定するにあたり、これはSIPとして選ぶのではなく、外部の有識者に選んでいただく形になりました。室山哲也委員長をはじめ、どういった判断軸で選ぶのかという部分から始まり、大変多くの議論をいただいたと聞いております。みなさんどうもありがとうございました」と語り、表彰式を終えた。

SIPの活動内容を8つのゾーンに分けて展示する「成果展示会」

車両やパネルなどの展示でSIPの活動内容を紹介する「成果展示会」

 表彰式の会場となった秋葉原UDX 2階の「AKIBA SQUARE」では、2014年からの9年で積み重ねてきたSIPの活動内容を8つのゾーンに分けて展示する「成果展示会」を開催。3月8日17時まで自由に出入りして展示内容を見学できるようになっている。

「社会受容性の向上」について紹介するゾーンFで展示されたホンダ「レジェンド」。自動運転レベル3に適合する「トラフィックジャムパイロット」(渋滞運転機能)を搭載している
ヤマハの「グリーンスローモビリティ」を使った低速自動運転車両も展示
「自動運転の安全性」について紹介するゾーンC
レクサス「RX450h」をベースとした自動運転実証車両
「イノベーション」賞を受賞したDIVPのプロジェクトを社会実装の段階に進め、2022年7月に設立されたV-Drive Technologiesの展示コーナー
V-Drive Technologiesが提供する「自動運転シミュレーションプラットフォーム」では現実世界の道路環境に存在する舗装や道路標識、車両に施されている塗装などのサンプルを使ってセンサー類の認識データを測定。実際に起きる物理現象のモデリングやセンサー類の検出原理などをシミュレーションに反映して実現象と一致性の高いシミュレーションモデルを生み出している。さらにカメラやLiDARに加え、扱いが難しいミリ波レーダーのセンサーモデルもシミュレーションで利用可能としている点も大きな特長となっており、すでに自動車メーカーやパーツサプライヤーと共同した取り組みも進めているという
成果展示会の会場フロアマップ