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JAFとトヨタ、「水素欠」に対応する移動式給水素車を公開 世界初公開の新型クラウンセダン日本仕様に給水素デモ

「水素欠」に対応する移動式給水素車と世界初公開の新型クラウンセダン日本仕様。トヨタ自動車株式会社 副社長 中嶋裕樹氏(左)と日本自動車連盟 副会長 四宮慶太郎氏(右)

「水素欠」に対応する移動式給水素車(FCトラック)

 JAF(日本自動車連盟)とトヨタは、スーパー耐久第5戦もてぎが開催されているモビリティリゾートもてぎのイベント広場で、「水素欠」に対応する移動式給水素車(FCトラック)を公開するとともに、FCEVの新型クラウンセダン日本仕様(プロトタイプ)を世界初公開した。

 トヨタとJAFが展示した「水素欠」に対応する移動式給水素車は、水素を燃料に走るFCEVの普及を見据えたクルマ。すでにFCEVはミライなどの販売が始まっているが、JAF副会長 四宮慶太郎氏によると年間で20台ほどの燃料切れ(つまり「水素欠」)が発生しているという。

移動式給水素車から新型クラウンセダン日本仕様に給水素。「水素欠」に対応

 JAFと共同で移動式給水素トラックを開発したトヨタ自動車 副社長 中嶋裕樹によると、開発のきっかけはスタッフに水素欠を起こした人がいること。水素欠を起こすと、現在はレッカー移動などする必要があるが、未来を担うFCEVがレッカー移動されるのはかっこわるいということで、その場で給水素できるクルマの開発にJAFとともに取り組んだ。

 ちなみに四宮副会長によると、次世代自動車である電気自動車も年間800台ほどの「電欠」が起きており、こちらについては今年から給電車を配備し始めているという。とはいえ、台数も少なく、ほとんどの場合レッカー移動となるようだ。

移動式給水素車から世界初公開の新型クラウンセダン日本仕様に給水素

新型クラウンセダン日本仕様のプロトタイプ。細部まで作り込まれており、完成度は高い。もてぎを訪れている人はぜひ確認していただきたい

 もてぎの会場では、この移動式給水素車からFCEVに給水素するのをデモ。トヨタがこのデモのために用意したのは、なんと未発売の新型クラウンセダンのFCEV仕様になる。新型クラウンセダンのFCEVは、今年の上海ショーでモックアップを公開。5月の富士24時間レースで内装まで作り込まれた実車が世界初公開されたが、輸出も行なうグローバルカーであることをアピールするためか左ハンドル仕様だった。

 もてぎで公開されたのは、右ハンドルの日本仕様。もちろん世界初公開となる。わざわざ日本仕様を世界初公開までして移動式給水素車の給水素デモをすることに、トヨタの本気を感じられるとともに、FCEVの新型クラウンセダン販売に力を入れているのが分かる。「水素欠」に対する不安を少しでも取り除き、来たるべき水素社会のありようをよいものにしようとしている。

 JAFの四宮副会長は移動式給水素車の工夫点として、水素欠に対応するだけでなく、JAFのロードサービス全般に対応できる点を挙げる。専用車ではないものとすることで、移動式給水素車のコストを引き下げていきたいとした。