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ルノー、3列シートミニバンの新型「グラン カングー」をカングー ジャンボリー 2023で日本初公開
2023年10月16日 15:59
- 2023年10月15日 開催
ルノー・ジャポンは10月15日、山梨県南都留郡にある山中湖交流プラザ きららで「カングー」オーナーなどを対象としたファンイベント「ルノー カングー ジャンボリー 2023」を開催した。
カングー ジャンボリーは2009年に初開催され、今回で15回目を数えるファンイベント。前日から降り続いた大雨にもかかわらず、カングー1350台、カングー以外の車両152台(参加者数は大雨の影響もあって未計測)が参加して開催された。近年では欧州でも“世界一カングーが集まるイベント”として注目されるようになっており、当日も会場の模様を取材するため、欧州各国から20人の報道関係者が来日している。
このほか、当日は会場に足を運んだファンに向けたサプライズとして、ドイツで9月に開催された「IAA モビリティ 2023」でワールドプレミアされたばかりのニューモデル「グラン カングー」を日本初公開。さらに日本専用の限定車「カングー ヴァリエテ」もお披露目されている。
ニューモデル「グラン カングー」
グラン カングーは3月に発売された3代目カングーをベースに、ホイールベースを延長して拡大したキャビンに3列シートを備え、7人乗りとしたモデル。シートは7席すべてが独立したタイプとなり、2列目シートと3列目シートは個別にスライドやタンブル、脱着が可能。2列目シート、3列目シートをすべて取り外せば広大なラゲッジスペースが出現し、大きな荷物の運搬や車中泊などにも対応する。日本市場での販売開始は2024年度中とアナウンスされている。
限定車「カングー ヴァリエテ」
限定車のカングー ヴァリエテは、10月21日~11月19日の期間にルノー正規販売店で抽選販売の購入申込を受け付ける200台限定のモデル。ベース車両はクレアティフ・ガソリンエンジン車(395万円)で、価格は419万円。
“プロフェッショナルのための道具”をイメージさせるため、通常はカングーに設定されていないスモーキーカラーの「グリ アーバン」をボディカラーに採用。通常はオプション装着となる「ブラックスチールホイール」「マルチルーフバー」を標準装備してプロ仕様のイメージと実際の使い勝手を高めている。さらに通常はカングーに設定されていない「スマートフォンワイヤレスチャージャー」をセンターコンソール下のトレーに内蔵している。
「ファミリーのため完璧に仕上げられているのがこのグラン カングー」とレーヴ上席副社長
オープニングセレモニーで主催者を代表してあいさつしたルノー・ジャポン 代表取締役社長 小川隼平氏は、まず豪雨にもかかわらず多数の参加者が来場してくれたことに感謝を伝え、合わせて3月に発売した新しいカングーの納車が、生産と出荷が遅れた影響で今回のカングー ジャンボリー間近になってしまったケースもあることについて謝罪。8月以降は納車も順次進んできているという。
また、今年度のフリーマーケットではルールが厳格化された理由について説明。これは前回の2022年開催時に商標など著作権侵害と判断される販売物が出品されたことが影響しており、小川社長はフリーマーケット自体を中止する意向を持っていたが、長年に渡ってカングー ジャンボリー開催に携わってきたメンバーからフリーマーケット継続が強く希望され、各種対策案も提示されたことから今年度も継続することになった。結果としてはフリーマーケットの参加枠が100台から200台に倍増されることとなったが、今回も先着販売を売り切ることができた。そんなフリーマーケットでの協力に感謝する意味も込め、ステージ上でグラン カングー、カングー ヴァリエテの2モデルをサプライズ公開している。
グラン カングーを伴って来日した仏ルノー LCV部門 上席副社長 ハインツ・ユルゲン・レーヴ氏は、まずカングー ジャンボリーに参加した感想として「カングーを愛する日本の皆さんとお会いすることができて非常に光栄です。ステージに立つ前に駐車スペースに置かれた皆さんのカングーを見させてもらいましたが、カングーがフランスのアイコン的な存在になっていることをしみじみと感じました。2002年に日本でカングーを発売して、現在のようなアイコン的存在に成長したのは皆さまにご愛顧いただいた結果だと感謝しています。今年から販売が始まった第3世代のカングーも、先代モデルの販売台数を超えてアイコン的な存在として認められるクルマになると考えています。このカングー ジャンボリーが来年、再来年といつまでも続いていくよう祈っています」とコメント。
日本初公開されたグラン カングーについては「この車両は9月にIAA モビリティ 2023でワールドプレミアしたミュンヘンから直接持ってきました。ルノーとして久しぶりとなる7人が乗車できるモデルになり、後席はスライドさせたりいろいろなアレンジが可能で、ファミリーのため完璧に仕上げられているのがこのグラン カングーです。この場で日本初公開しましたが、導入については来年のどこかのタイミングということで、発売が決まったときにはサプライズをしたいですが、とにかく早めに持ってきたいと思っています。ご期待ください」と説明。日本導入に向けて調整が始められており、2024年度中の発売を予定しているという。
仏ルノー LCV部門 セールス&マーケティングダイレクター ティエリー・プランテジュネ氏も、14時間のフライトに耐えてカングー ジャンボリーに参加して、会場に集まったカングーファンと交流できたことはとても光栄だと述べ、日本のファンがカングーを愛するエネルギーは1万km離れたフランス本国の事務所にも届いていたが、今日は実際にこの場でエネルギーを感じて心が温かくなった感謝の言葉を口にした。
グラン カングーについては、最も大きな差はボディサイズで、全長の違いは見ただけでも分かる部分になると説明。具体的にはカングーの全長(4490mm)より420mm長い4910mmとなっている。ホイールベースも3100mmまで拡大して、余裕のレッグスペースを確保できているという。また、スライドドアの開口スペースもカングーと比較して拡大している。
ホイールベースを拡大したことで直進安定性も高まり、日本の5ナンバーサイズミニバンよりもワイドな全幅によって高いドライバビリティを発揮できるという。また、カングーでも人気のカラフルな限定車をグラン カングーでも展開していく予定で、ライバルモデルにはないユニークな特徴になると説明した。
仏ルノー カングー プロダクトマネージャー フローラン・ピシュロ氏は、ステージ上に置かれたグラン カングーを使い、シートアレンジの使い勝手などについて解説。2列目以降でも大人5人が余裕を持って座れるスペースを用意しており、3列目シートの座面高を高めたシアター方式を採用して3列目シートに座っていても視界を確保して、これによってクルマ酔いも予防できるとした。
リアハッチについては展示車に装着されている跳ね上げ式に加え、日本市場向けのカングーでも採用されているダブルバックドアも設定。日本導入仕様をどのようにするかは検討中とのことで、ステージ前に集まった参加者に手を上げてもらってどちらがいいか意見を求めたところ、カングーオーナーが多いカングー ジャンボリーだけにダブルバックドアが多くの支持を集めていた。
ライバル車と差別化するポイントについては、多くのモデルで2列目シートに採用するベンチシートと比較して、セパレートされているグラン カングーの2列目シートは大人3人が窮屈な思いをすることなく座れて、3列目シートもしっかりとした構造でリラックスできる一方で、5つのシートがスライド、タンブル、脱着に対応していることもメリットになると説明。シートを取り外して大きな荷物を運んだり、車中泊も気軽に楽しめる多様性を実現しているという。
限定車であるカングー ヴァリエテについては、ルノー・ジャポン プロダクトマネージメント部 ダイレクター 新道学氏が解説。これまでカングーの限定車としては特別なボディカラーなどを与えられた「クルール」が登場するケースが多かったが、ヴァリエテではカングーが持つ多様性をさらに知ってもらうため、特別な限定ボディカラーとルーフレール、人気となっている黒いスチールホイールなどを専用装備として装着して発売することになったという。
ステージイベントの司会は、ルノーの「メガーヌ ルノー・スポール」を愛車とするモータージャーナリストの竹岡圭氏と、「団グー」と名付けたカングーを愛車とするお笑いトリオ・安田大サーカスの安田団長の2人が担当。グラン カングーをサプライズ公開したあとの紹介中には、安田団長からレーヴ上席副社長に「このクルマにはMTはないんですか?」と質問が投げかけられた。
安田団長はこれまでMT車ばかり乗り継いできて、3代目カングーにはMT仕様がないことを残念に感じてきたという。そうした説明を聞いたレーヴ上席副社長は「この場で購入を決断してもらえるなら、MTのグラン カングーを持ってきますよ」と発言。突然の展開に安田団長も戸惑っていたが、力強く「はい!」と宣言して、MT仕様のグラン カングーが少なくとも1台は日本導入されることが決定(!?)した。
このほかオープニングセレモニーでは、山中湖村 村長 高村正一郎氏もあいさつを実施。今年度で15周年になるカングー ジャンボリーは、山中湖交流プラザ きららを会場に開催されるようになって8回目となっており、コロナ禍の中断を経たものの再開にこぎ着け、たくさんのカングーが山中湖周辺を走る姿を目にしてようやくカングー ジャンボリーが再開できることを実感。10月に入って気温も下がり、紅葉も始まってきているが、晩秋に掛けて深まっていく山中湖一帯の季節感をカングーに乗ってまた味わいに来てほしいと語った。