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2023年の「ニスモフェスティバル」開催 ヘリテージカーの走行からサステナブルモータースポーツへの挑戦まで

2023年12月3日 開催

NISMO FESTIVAL at FUJIi SPEEDWAY 2023が開催された。2024年のスーパーGT GT500クラスを戦うためのテスト車両も走行した

 日産自動車とNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)は12月3日、富士スピードウェイにおいてファン感謝イベント「NISMO FESTIVAL at FUJIi SPEEDWAY 2023」(ニスモフェスティバル)を開催した。年末恒例となったこのイベントは同社におけるこの1年のモータースポーツ活動を締めくくる節目の1つであり、今回は「電動化技術やCNF(カーボンニュートラルフューエル)を活用したサステナブルなモータースポーツへの挑戦」がテーマとなっていた。当日、日中は終始、暖かな日差しが降り注ぐ穏やかな陽気となったこともあり、会場には2万7000人もの日産ファンが詰めかけた。

 例年通り、会場は「レーシングイベントエリア」「スタンドイベントエリア」「パドックイベントエリア」の3エリアにわかれて数多くのプログラムが用意された。

レーシングイベントエリア

 このエリアでは富士スピードウェイの本コースをフルに使用し、SUPER GT GT500クラス車両を筆頭にさまざまなレギュレーションで戦うマシンや、一般オーナーのNISMOロードカーによるパレード走行、そしてドライバーやチーム監督によるセレモニーなどが行なわれた。

ウェルカムセレモニー

日産モータースポーツ&カスタマイズ 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏

 ホームストレートにさまざまなレースに参戦中のチーム監督やドライバーらが勢ぞろいし、あいさつと今年1年の感謝の意を表わした。

 最初に登壇した日産モータースポーツ&カスタマイズ 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏は、「こんなに多くのファンの皆さまに集まっていただきまして本当にうれしいです。全ドライバーがさまざまなクルマを使って皆さまによい走りをお見せしますので、ぜひ今日1日楽しんでいってください」とあいさつ。

 続いてドライバーを代表して松田次生選手が登壇。「今シーズンここに居る全ドライバー、チームにたくさんの応援をいただきまして本当にありがとうございました。今日は僕たちにとっても、ファンの皆さんにとっても交流できる場なので、しっかりと僕たちも楽しみながらファンの皆さんにも楽しんでいただき、ニスモフェスティバルを盛り上げていただきたいと思いますので今日1日よろしくお願いします」と述べた。

日産自動車 代表執行役社長兼CEOの内田誠氏は「本当に寒い中ありがとうございます。今日は存分、楽しんでください」とコメント
集まったファンに感謝を述べた松田次生選手
午後のコンテンツを前にしたウォームアップ走行では同乗走行やバスの車内から走行するマシンを見られるサーキットサファリが実施された

サステナブル モータースポーツ

日産フォーミュラE Gen2車両や市販EV車がデモランを実施

 サステナブルなモータースポーツにチャレンジするマシンを中心としたデモラン。参加車両は日産フォーミュラE Gen2(フォーミュラE)、2023 MOTUL AUTECH Z(SUPER GT GT500)、LEAF NISMO RC、LEAF NISMO RC 02、そして市販車のアリア、サクラ、リーフという計7台。

 2023 MOTUL AUTECH Zをドライブしたロニー・クインタレッリ選手。2022年のテストでCNF燃料を使い始めたときはエンジンパワーが落ちている印象があったものの、「エンジンマップのセッティングなどで(開幕戦では)通常と変わらないぐらいのパワーになった」とコメント。今後、より環境に優しいモータースポーツにむけて進んでいければ、と述べた。

 日産フォーミュラE Gen2.をドライブしたサッシャ・フェネストラズ選手は「2024年は東京で、日産のホームともいえる日本でレースがあります。チケットは1月17日に発売されますので皆さんぜひ買って見に来てください。僕も全力で頑張ります」とコメントした。

ピットからスタートする日産フォーミュラE Gen2.車両
日産フォーミュラE Gen2.車両
LEAF NISMO RC_02
走行後にロニー・クインタレッリ選手とサッシャ・フェネストラズ選手がファンにあいさつ

日産モータースポーツヘリテージラン

ピット前に往年のスカイラインが並ぶ

 ヘリテージランでは毎回、異なるテーマで日産のモータースポーツマシンを振り返っているが、今回はスカイラインにフィーチャー。プリンス スカイライン GT、スカイラインHT 2000 GT-R、スカイラインHT 2000 GT-R レーシングコンセプト、トミカスカイラインターボ、リーボックスカイライン、カルソニックスカイライン、'95 NISMO GT-R LMが登場。車両トラブルにより走行できなかったスカイラインHT 2000 GT-R レーシングコンセプト以外の6台がデモランを行った。

プリンス スカイライン GTを先頭にデモランを実施
プリンス スカイライン GT(1964)
「(自分が生まれる前のクルマですが)運転できて幸せ」と影山正美氏
スカイラインHT 2000 GT-R(1971)
柳田春人氏は「(Zじゃないけど)素晴らしいね、全開で乗ってみたい」とコメント
トミカスカイラインターボ(1982)
長谷見昌弘氏は「乗ると当時の記憶がよみがえってくる。1年に1回このクルマに乗れるのは光栄」
リーボックスカイライン(1989)
「今もブースト1.5までスパッと上がって、すごいな、こういうクルマで走っていたんだと懐かしく思う」と和田孝夫氏
カルソニックスカイライン(1990)
星野一義氏は「35年ぐらい若返っちゃったかな。この直6の音は最高だよね」とコメントするとともに「もう少し走りたい」とも
'95 NISMO GT-R LM(1995)
近藤真彦監督は「(当時のレーシングスーツを着て)もうお腹のとこパンパン、ギリ。星野さんとあと5周ぐらいしたかった」と終始笑顔だった

ニスモGP 2023

 SUPER GTやスーパー耐久、GT World Challenge Asia(GTWCA)などのモータースポーツシーンで活躍したレースカーによる2023年最後のバトル。参加車両はSUPER GT(GT500、GT300)、スーパー耐久(ST-X、ST-Z、ST-3)、GTWCAから計17台。グリッドは今シーズンのポイント順で、周回数は12週。GT500車両に関してはドライバー交代、GT300、ST-X、GTWCA車両はピットスルーが義務づけられていた。

 レースは序盤からGT500の2台、3号車と23号車が激しいトップ争いを演じ、後方は各クラスごとにわかれて争う展開。このまま激しい争いになるかと思われたが、このテのイベントでは恒例となっているドライバー交代時の妨害行為により23号車が脱落。替わってポジションアップを果たした24号車との争いとなったものの、3号車がトップチェッカーを受けた。

ニスモGP 2023のスタート
序盤は3号車と23号車がシーズン中さながらの激しいトップ争いを演じた

フィナーレ

 イベントのフィナーレではウェルカムセレモニー同様、監督と選手らがメインストレートに集合。まず、2023年限りでGT500クラスへのタイヤ供給を休止するミシュランタイヤへの感謝を込めた花束贈呈を実施。

 NMC 片桐CEOは「15年にわたりよいパートナーシップでレースを一緒にすることができ本当によかったです。その間、何回も勝ち、そして何回も負けましたけれども、総じていえば非常によいパートナーシップだったと思います」と総括。寂しいけれどもたくさん学んだこともあると振り返りつつ、「また一緒に仕事ができることを祈念しております」と述べた。

 日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明氏は「GT500のレースはレーシングチーム、ドライバーだけではなくわれわれタイヤメーカーにとっても非常に大きなチャレンジです。そのGT500で2009年から今年2023年まで15年間、ニスモさんをはじめハセミさん、モーラさん、B-MAXさんと組ませていただき、われわれミシュランは大きな学びがありました」と述べるとともに、今年の装着マシンをドライブしたドライバーにも「たくさんのコメントや評価をいただきわれわれも気づきをいただきました」と感謝を述べた。また、会場に訪れたファンらにも「皆さんの声援がわれわれにとって大きな力になりました。本当にありがとうございました」とコメントした。

 続いて、日産フォーミュラE Gen2.マシンと2024年シーズンのSUPER GTを戦う新型Zの開発車が登場。登壇した日産自動車 内田CEOは「本当に今日は朝早くからこの時間までNISMOフェスティバルにご参加いただきまして本当にありがとうございます」とファンに感謝の意を表わすとともに、今シーズンを戦ったドライバーやチーム関係者にも謝辞を述べた。続けて「日産は今年90周年を迎えます。これからもモータースポーツ、皆さんに日産ってよいクルマを出すよな、日産って必要だなと言っていただけるようにこれからも頑張ってまいります」「来年の3月にはフォーミュラEの世界選手権が日本で行なわれます。ぜひ皆さんにも来ていただいてワクワクするクルマを感じていただき、これからも日産を応援していただければと思います」と1日を締めくくった。

 続いて登壇したNMC 片桐CEOは今シーズンのSUPER GT GT500クラスを振り返り「日産系4チームが全力を尽くして戦ってまいりましたがタイトルを取れませんでした」と述べるとともに、「(チャンピオンにはなれなかったものの)トップ5の中に3台占めていることを考えれば安定していた」と総括。しかし、「やはり1位を取れなかったのは悔しい」とコメントし、来シーズンを戦うマシンについて「エンジニア、メカニック、チームが懸命に開発しております。ぜひともご期待いただきたいと思います」として雪辱を果たすことを約束。そして2024年3月にはフォーミュラE東京ラウンドが開催されることから「初めて日本の、しかも東京の公道でレースができるということもありますし、日本メーカーの中で唯一参加している日産として、日本のファンの皆さまの前でエキサイティングな走りをぜひとも見せたい」と意気込みを語った。

夕日が照らす中フィナーレとなった
日本ミシュランタイヤ モータースポーツダイレクター 小田島広明氏(写真左)とNMC 片桐CEO
ドライバーらにも囲まれ笑顔の小田島氏

ピットビル&パドックイベントエリア

 ピットビルにはサーキットエリアで走行するマシンをはじめ、モータースポーツで活躍した多くのマシンを展示。これだけのマシンを一度に見ることができるのはニスモフェスティバルならではで、終日多くのファンでにぎわっていた。また、ピット内はもちろんピットレーンまで張り出した観戦エリアが設けられるなど、普段のレースでは立ち入ることのできない間近な場所で、ドライバーやチームのピット作業を見ることができるようになっていた。

 ピットビル3階はレーシングカー体験イベントのエリア。運転席に座ることができるコクピットライドやタイヤ交換に挑戦できるピットワークシミュレーションが開催され、こちらはファミリー層でにぎわっていた。

 ピットビル前には多くのメーカーやショップのテントが並び、デモカーやチューニングパーツが展示されていたほか、アウトレットアイテムやグッズなどの販売も。会場限定価格の商品が多くのブースで用意されており、大きな荷物を抱えてクルマに戻るファンの姿が多く見られた。

来季の開発車両となる230号車
フォーミュラE Gen3(モックアップ)
フォーミュラE Gen2
LEAF NISMO RC(2011)
LEAF NISMO RC_02(2021)
MARELLI IMPUL Z(2023 SUPER GT)はトラブルにより走行しなかった
Niterra MOTUL Z(2023 SUPER GT)
MOTUL AUTECH Z(2023 SUPER GT)
Realize corporation ADVAN Z(2023 SUPER GT)
PONOS GAINAR GT-R(2023 SUPER GT)
GAINER TANAX GT-R(2023 SUPER GT)
SHOKUMOU Ks Frontier GT-R(2023 SUPER GT)
REALIZE NISSAN MECHANIC CHALLENGE GT-R(2023 SUPER GT)
RUNUP RIVAUX GT-R(2023 SUPER GT、写真左)とNissan GT-R NISMO GT3(2023GT WORLD Challenge Asia、写真右)
HELM MOTORSPORTS GT-R GT3(2023 SUPER TAIKYU ST-X)
DAISIN GT-R GT3(2023 SUPER TAIKYU ST-X)
Nissan GT-R NISMO GT-3(2023GT WORLD Challenge Asia)
NANIWA DENSO TEAM IMPUL Z(2023 SUPER TAIKYU ST-Z、写真左)とOKABE JIDOSHA Z34(2023 SUPER TAIKYU ST-3、写真右)
OKABE JIDOSHA Z34(2023 SUPER TAIKYU ST-3)
raffinee NISSAN MECHANIC CHALLENGE Z(2023 SUPER TAIKYU ST-3、写真左)とraffinee NISSAN MECHANIC CHALLENGE Z GT4(2023 SUPER TAIKYU ST-Z、写真右)
NISSAN GT-R GT1(2011 FIA GT1)
プリンス スカイライン GT(1964)と第3回日本グランプリを制したPRINCE R380 A-I(1966)
スカイラインHT 2000 GT-R(1971、写真左)とスカイラインHT 2000 GT-R レーシングコンセプト(1972、写真右)
スカイラインGT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY(R33、写真左)とスカイラインGT-R NISMO(R32、写真右)
スカイライン 2000GTS-R(R31、写真左)とスカイライン セダン 2000ターボインタークーラー RS・X(DR30、写真右)
スカイライン2000GT-E・L(C210、写真左)とスカイライン2000GT-R(C110、写真右)
スカイライン2000GT-R(C10)
プリンス・スカイライン 2000GT(S54B)
カルソニックスカイライン(1990、写真左)とリーボックスカイライン(1989、写真右)
NISMO GT-R LM(1995、写真左)とTOMICA SKYLINE TURBO(1952、写真右)
Pennzoil NISMO GT-R(1999 JGTC)
XANAVI NISMO GT-R(2008 SUPER GT)
パルサー GTI-R(1992 RACラリー、写真手前)とフェアレディZ 240ZG(写真奥)
NISSAN R91CP(1992 Daytona 24H)
MOTUL AUTECH Z(2006 SUPER GT)
NISSAN R390GT1(1998 Le Mans 24H)
XANAVI NISMO Z(2004 JGTC)
ニスモの直営店舗である大森ファクトリーのブースではR32からR35まで4台のGT-Rデモカーを展示
レーススペックのエンジンも展示されていた
ダンロップブース
ミシュランタイヤブース
横浜ゴムブース
バンテックはトラックの死角を実車で体験できるコーナーを用意
タミヤはMOTUL AUTECH Zを電動RCカーとして製品化することを会場で公表。ただ、会場ではポスターの展示のみにとどまった
体験イベントでは実際のレースカーを使用したタイヤ交換体験などが行われていた

スタンドイベントエリア

 コースを挟んでピットビルの向かいにあるスタンドイベントエリアにはステージが設置され、ドライバーのトークショーやレースクイーンのイベントなどを開催。例年、早朝からにぎわう販売コーナーは今年も人気のマト。レーシングカーのパーツが並ぶガレージセールではレースで使われたカウルやエアロパーツなどの外装パーツはもちろん、タービンやホイール、ウェアなどのマニアックな商品も。ニスモロードカーやオーテックブランド車も勢ぞろいしており、ZやGT-Rのようなスポーツカーはもちろん、ノートやセレナといった車種も人気となっていた。

コロナ渦で実施が自粛されていた観客の前でのトークショーを開催
ガレージセールの目玉は倉庫から発掘されたというREITO MORA GT-R(2013 SUPER GT)のカウル一式
カーボンむき出しのカウル類も
会場限定のミニカー
ほとんどのアイテムが事前予約で完売となっていた
ニスモフェスティバル限定のグッズなども