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トヨタ、クラウン専門店限定の特別な「クラウンクロスオーバー」 手入れしやすいマットなボディカラーを採用
2023年12月12日 11:39
- 2023年12月11日 発表
- 750万円
クラウン専門店「THE CROWN」専売モデルの特別仕様車
トヨタ自動車は12月11日、クラウン専門店「THE CROWN横浜都筑」(神奈川県横浜市)にて、THE CROWN専売モデルとなる特別仕様車「Advanced・THE LIMITED-MATTE METAL」を公開した。価格は750万円。
同車はメディア向けに公開された後、「THE CROWN MEETING」として一般招待客へもお披露目を実施。その後、チーフエンジニアをはじめとする開発者によるトークイベントが実施された。
クラウンのチーフエンジニアを務める清水竜太郎氏は、新型となる16代目クラウンの発売により、「これまでわれわれが見られなかった年齢層の方や、輸入車にお乗りの方がクラウンに来ていただいている」と紹介。続けて、「こうした購買層の変化はわれわれの求めていたところで、今回の特別仕様車のように今後もクラウンの世界観を広げていきたい、クラウンを中心にいろいろな発展をしていきたい」とコメント。
販売店となるウインズトヨタ神奈川 営業推進部 戦略企画室 室長の寺田義明氏は、10月6日の開業以来「2000組を超えるお客さまにご来場いただいた」「想定以上の方にクラウンを見て触って喜んでいただいている」と反響の高さに驚きつつ、「16代目のクラウン、革新と挑戦というテーマで本当に素晴らしいクルマを作っていただいた。私たちディーラーも、今までのディーラーではないところに思いきって挑戦したい」と述べた。
特別仕様車クラウン クロスオーバーRS“Advanced・THE LIMITED-MATTE METAL”
クラウン クロスオーバーRS“Advanced”をベースに、数々の装備を追加した特別仕様車。注目はやはりそのボディカラー「マットメタル」で、一般的な塗装がツヤを増す方向にあるのに対し、こちらはあえてツヤを抑えたマット塗装を採用。最近では一部高級車などにも採用され人気が高まりつつあるものの、キズが付きやすい(ツヤが出てしまう)などメンテナンスや質感の維持が難しいことから、量産車での採用は難しかったという。
だが、このモデルではツヤ消しクリア層の上に特殊表面処理「TMコート」を採用することで、持久力のある防汚性と汚れ除去性を実現している。効果を持続させるためには年1回程度の再コートを必要とするものの、少数回なら機械式洗車機の利用も可能とのこと。
内装面でも専用となる「ブラックルーミッシュ」に加え、ソフトパッドやソフトフィール塗装の採用、レッドステッチのスポーツシートなど数々のアイテムが装着されている。
開発陣らによるトークセッションを実施
招待客を招いたCROWN MEETINGでは、クラウン特別仕様車がアンベールされた後、クラウンのチーフエンジニア清水竜太郎氏、クラウンのチーフデザイナー宮﨑満則氏らが登壇。MCの進行によりトークセッションが行なわれた。
特別仕様車にマットカラーを採用したことについて清水氏は「専門店ならではの特別なクルマを用意することでブランドを高めていきたかった」とチーフエンジニアらしい答えをしつつ、「単純にマット(カラー)が大好き」と本音もチラリ。とはいえ実際のところ、新型クラウンではクルマの販売方法も従来とは大きく変えていきたいという考えが開発の初期段階からあり、その結果が専門店の設立。「お客さまとコミュニケーションを取ることで、その声を直接採り入れていきたかった」と述べた。今回は100以上の案を用意して販売店と折衝、その結果がこのモデルになったという。
内装に関しては「スポーティな方向がいいんじゃないのかいうことで、スポーツシート、ステアリングやシフトにディンプルをあしらった」と宮﨑氏。そのほかにも、助手席前にレーザー加工によるロゴを配していることに触れ、「あまりこれ見よがしではない印字をしているので、ぜひ見ていただいて特別感を体験してほしい」と説明した。
マット塗装はメンテナンスが大変で避けられているという点について問われた清水氏は、「トヨタとしてはメンテナンスしやすいマット塗装を意識して開発していてめどが立った」とコメントするとともに、開発を担当した製造部門のスタッフを紹介。
コーティングの開発を担当したモビリティ材料技術部の竹谷美雪氏は、「マット塗装は特別感があるしすごく格好いいという意見がある一方で、メンテナンスしにくいという声も多いことから、最表層にコーティングを施すことで汚れが付きにくく、付いても取れやすい塗装を実現した」と説明。「フッ素加工のフライパンをイメージを思い浮かべていただくとちょっと近いのかな」と述べるとともに、「メンテナンスしやすいマット塗装をお届けできることを非常にうれしく思っている」とした。
クラウンの生産工場である堤工場で新車切り替えを担当する堤塗装成形部の石垣佑樹氏は「通常の塗装の場合、細かなゴミが入った場合などは磨いて仕上げるが、マット塗装ではそれができないため、通常よりも1時間以上多くかけて塗装前の準備をしている」と説明。工場での作業が増えることから内部から批判の声があったものの、試作車を作ったところ格好よさから批判の声が消失、「何としてもこれを世の中に出すんだ! と、前を向いた瞬間があった」と現場の声を紹介した。
2人の話を受け清水氏は「通常のマット塗装だと手洗いするだとか、あるいはヘタをすると鳥のフンが付いてしまうとそれが跡になってしまうとか、相当気を使う塗装かなと思います。この新しいマット塗装に関しては、マットに見えるクリアを塗りながら、その上からさらにコーティングをしています。手入れに関してもあまり手をかけなくて済むようなマット塗装を開発したので、通常よりは少し手をかけていただかないといけないですが、通常並みのお手入れで十分です」と説明した。
続いて参加者からの質問に答えるトークサロンに移行。THE CROWN横浜都筑 ゼネラルマネージャーの宇佐美健氏も参加し、現場サイドの声を紹介した。同店が誕生した反響につて宇佐美氏は「10月6日にオープンしてから約2000組のお客さまが見えた」「今まではクラウンを所有している50代、60代が多かったが、若い方が非常に増えている」と説明。さらに「スポーツが発売となってから、クロスオーバーも問い合わせや試乗の申し込み、商談が非常に増えている」とするとともに、セダンの実車を展示していることから「(多くのお客さまに)ご来店いただいて現車を確認していただいている」と反響の大きさを紹介した。
その後、「どのクラウンが好きですか」「今回のクラウンは一般的な機械駐車場に入るサイズを超えている。やはりデザインを優先させたのでしょうか」「今後どのようなクラウンが登場しますか」といった質問に答えていた。